『沈黙の夏』・・・2011.8.14


2011.8.14.57th写真塾にて、model*理乃

 寝苦しい熱帯夜、僕はカメラが壊れた夢をみた。まるで失恋したみたいに切なくて涙が頬をつたった。この夏。僕は夏らしい夏を撮っていた。その結果、僕は夏に囚われて行き場を失いつつあった。しかし、やがて秋が忍び寄ると、祭のあとのように寂しくなるのだろう。真夏の公園で理乃を撮った。写っていたのは、口のない少女。それは僕の憂鬱。


あと35日、、『沈黙の夏』も展示?
2011-08-23 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

アイスキャンデー・・・2011.8.6

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2011.8.12武蔵野市

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2011.8.6*武蔵野市

あんなに暑かった夏が終わったなんて。何だか寂しい。

24st個展DM裏-写真面
あと36日
2011-08-22 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『たま子の眼』・・・2011.8.9


2011.8.9/model*たま子

写真を見ていると、真っ先にあの日の暑さを思い出した。僕の身体の中に取り残されたむかしの夏の残骸も、たま子が人としてややレトロなせいもあって、かすかに蘇って来たような気がする。たま子がいつどこで会っても懐かしさを感じさせてくれるような女子であり続けて欲しいと願っている。
2011-08-17 : 放課後カメラ : コメント : 1 :

『奥茶屋バス停にて』2011.8.4


2011.8.4奥多摩町・奥茶屋バス停にて*model*メル

 メルを五日市駅で拾い檜原村を目指した。この村について、東京都とは思えないほど田舎、という表現を聞く。人に尋ねれば、たしかに檜原村はそういうところらしい。しかし、行ってみると驚くほどの田舎ではなかった。もちろん、僕が九州の田舎育ちのせいで僻地に対するイメージが都会の人と少し度合いが違っていることもあるだろう。あ、ここでメルのことを紹介しよう、と言いたいところだが、メルは謎の女の子。
 バス停オタクの間で少しは名の知れた人里(へんぼり)バス停に着いたが特に何も感じなかった。僕はさらに奥へ車を走らせた。行けども行けども、僕の心をくすぐるような古いバス停はなかった。
 はてな?僕はいったいいつからバス停オタクになったのだろうか。大分で『笹』という名前のバス停を撮ったからなのか。そんな疑問を持ちながらも曲がりくねった道をどんどん登って行った。
「あっ」
「あっ!」
 あれだな。メルと僕は同時にそうそうつぶやいた。車を降りるとメルはバス停の小屋のベンチにちょこんと座った。僕はローライの中のスクウェアなその光景を懐かしく感じながら、静かな感動を胸に刻むようにワンロール一気に撮ってしまった。

□メルちゃんが写真塾に登場するかも・・・
2011-08-12 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『たま子の眼』・・・2011.8.9

 たま子は髪を細めの三つ編みにし品の良い麦わら帽子をかぶった普遍的なお嬢様スタイルだった。そしていわゆるそういう学校に通っている。初対面。「君っ、眼がとてもきれいだね」と言った。たま子の眼をひと言で表現するなら、深い。瞳の動きは、意図的に仕組まれたみたいで、ちょうどアニメーションの少女の眼の動きに似ている。あっ、そうか、もしかして僕は、二週間前ピカデリーでアニメ映画「コクリコ坂から」を観た時、登場していたたま子と同じような眼をした女子高生たちからアニメ少女の洗礼を受けたのかもしれない。

 真夏、その言葉がふさわしい今日のお昼過ぎ、僕はたま子と深い緑の樹々に囲まれたエリアにいた。猛烈な暑さは僕の全身の毛穴から汗を噴き出させていたけれど、たま子は冷えたスポーツドリンクで軽く喉を潤してしまえばそれで暑さをしのげているようだった。僕は、それが不思議だった。こんなに暑いのに?アニメじゃあるまいし。
 僕はたま子に蝶の標本を持たせた。標本箱の中の蝶は僕が捕まえて胸を締め付けて殺した蝶だ。その蝶の羽を開いて板に固定すると数週間ほどで蝶の身体は完全に硬直し美しい標本になった。

「たま子ちゃんの可愛さは、なんと言うか、不思議」
「うっ、そ・う・で・す・か」
 
 たま子の話し方はとてもゆっくりで、彼女との言葉のやりとりは、行ったり来たりする振り子を眼前に置かれてるみたいで、まるで催眠術にかけられているようだった。僕はファンダーの中の世界に引き込まれ行った。青い空、白い夏の雲、樹々の深い緑、そして標本を持った保守的な制服姿のたま子。

「たま子ちゃん、そこの草むらに座って」
「あっ、は・い」
「膝を出して」

 たま子は長めのプリーツスカートの裾を品良くまくり上げて、次に草むらに手を差し伸べ「ショウジョウバッタ」と言って捕まえた緑色の昆虫を僕に見せた。「わ・た・し、む・し・が・す・き」

「下着が写ってもいい?」とたま子に尋ねたものの吹き出した汗でファインダーはとても見にくくスカートの中などまったく見えなかった。「やっぱり、いいや」と僕が言ったのとほぼ同時に「ダメですよ」とたま子の声がした。
 僕はたま子を撮りつづけた。どれぐらいの時間が経っただろうか、僕は持って来たフィルムを全部使い切ってしまった。


「帰ろうか。また君を撮れるといいけど・・・」
「ええ、ぜひ、また、」
「最後にもう一度君の瞳を見せてくれない?」

 僕は暑さとアニメ少女のような深い眼による切なさで気を失いそうになった。
 
□8/21(日)写真塾にたま子ちゃん初登場。。。
□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
2011-08-09 : 放課後カメラ : コメント : 2 :

『夏休みの憂鬱』

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2011.7.28吉祥寺にて

少年時代の僕は、ほとんど毎年夏バテしていた。そんな夏休みの気だるい毎日は、僕の心の中に闇の巣をつくって、その中で一生分の憂鬱を育てた。僕は今年の夏も、その頃に溜め込んだ憂鬱を小出しにして生活している。目の前の横断歩道を渡る人々も下向いて歩いていて、憂鬱なのは僕だけではないんだな、と思ったりする。ところで少女は学習塾の夏期講習へ行くところ?愛らしい女の子だった。

■『雨合羽』さてどれを選ぶ?、、ですがまだまだCommentを待っています。撮る人も撮らない人も、モデルの方々も、、特に塾生の皆様、是非どうぞ。
2011-08-06 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『夏の川遊び』


2011.7.24 53th写真塾にて、model*かおり

 子供の頃、夏は毎日のように川で遊んでいた。裸足て川に入ると、小魚が僕の足の裏と川底の小石の隙間に入り込んで来る。足の裏に生きた魚を感じながら、そっと手を伸ばし捕まえた。人々は川でスイカを冷やした。それほど冷えていなかったはずなのに、とても冷たく感じた。僕の五感は今より冴えていた時代だった。
2011-07-29 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『高原にて』~雲を捕る女子~

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『雲を捕る女子』*model*あい/2011.7.16*飯田高原にて

僕はこの撮影のあとしばらく言葉が出なかった。感動を通りすぎてしまったんだと思う。
2011-07-25 : 放課後カメラ : コメント : 2 :

『高原にて』(2)・・・2011.7.16前後

『高原にて』(2)・・・2011.7.16前後

 農道を後にして再び飯田高原を目指し20分ほどで久住登山口に着いた。車から降りて、あいと高原を歩いた。九州の飯田高原はあくまでも純粋夏だった。空の青、白い雲、樹々の深緑、きらきらと光るせせらぎの水。僕は少年時代の夏を思い出していた。
 草原の中にぽつんと川端康成の碑があった。どうしてここに碑があるのかわからないけど、僕が今回の旅に持って来たたった一冊の文庫本が『伊豆の踊り子』だったことに少し感激し、それも小さな奇跡なんだと思った。この文庫本は僕が九州から東京に出て来た昭和49年の四月頃、高田馬場の芳林堂(たぶん)で買ったもので表紙はボロボロだしフチだけでなく本編もが茶色に日焼けしている。表紙絵は平山郁夫、解説は三島由紀夫。
 僕は碑の写真を撮った。

 不意に現れて目の前の草にとまったアサギマダラ(蝶)を僕は無造作に帽子で捕まえようとした。てっきりあいが網で捕ると思ったけれど、彼女は突っ立ったままだったから、ではでは僕が捕ろう、みたいな感じだった。すると、アサギマダラは帽子を逃れてひらひらと優雅に青い空へ舞い上がった。僕は本気で捕まえようとしていなかったのかもしれない。僕の中に手加減めいたものがあったのだ。それは僕が少年ではない証拠でちょっと寂しかった。蝶が飛んで行ったその空の先に星生山があった。ふと僕はこの山の向こう側のことを考えていた。山の向こうは火の山阿蘇山なのだ。

「君、、どうして蝶を捕まえなかったの?」
「あ、うんっ」
「捕虫網は何のためなの?」
「あっ、これは雲を捕まえるために持っているんですっ」
「はあ?」

2011-07-23 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『高原にて』(1)・・・2011.7.16前後

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豊後森駅にて、、

「良く来てくれたね。もう会えないかと思っていたよ」
「あ、はいっ」

 久大本線・豊後森駅前のバス停であいと再会した。あいが夏のセーラー服を着ていたことで僕は少し安心した。理由は、制服は容易に僕を青春時代に連れて行ってくれるし、今はそれを心から望んでいるからだ。それに、あいはませているから私服だと大学生に見えてしまって別の世界の写真になってしまう危険がある。
 数ヶ月前ここで会った時、あいはまだ高二だった。そして四月からは高三。僕は何故か捕虫網を持ったあいを車に乗せて飯田高原へ向かった。
 カーラジオから映画『奇跡』の挿入歌が流れてきた。その映画は夏休みに九州に住む少年少女のグループが一晩だけの冒険旅行をするというストーリーで、何となくタイムリー。

 30分ほど走ったころ、舗装道路から農道へ折れて田んぼのあぜ道で車を停めた。

「かかしを知っているよね?田んぼに一本足で立っている人形」
「あ、はいっ」
「かかしになってくれる?」
「あ、わたしがっ!」
「そう女子高生かかし、、」
 あいは捕虫網の柄を肩に背負って一本足であぜ道に立った。

つづく・・・

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2011.7.15豊後森駅機関庫跡にて*僕が少年時代毎日遊んだ機関庫は廃墟になってしまった。空に浮かんだ麦わら帽子は、あいちゃんが自分の帽子を投げ上げたものです。
2011-07-23 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『ふたりは奇跡』・・・昨年の作品より

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2010.7吉祥寺にて、、『ふたりは奇跡』


 奇跡って、誰が見てもすごいと感じる現象のことを言うのかもしれない。だけど、自分だけが強く感動する現象だって、それも一種の奇跡なんだと思う。
 
 キュートなふたりが僕の前をとおりすぎて行く。一瞬にして僕はふたりの虜になってしまった。理由は、若さと爽やかさかさ、そして華やかさ。しかし、それだけではない何かを感じてシャッターを押した。一体このサブリミナルの正体は何だろう。

 現像した写真を見て、僕がふたりに惹かれた理由が少しわかった。

 色違いのミニのプリーツスカート、色違いのポロシャツ、黒いローファーと白いスニーカー。二個ずつ付けたバッグのアクセサリーの趣味の違い。そして、ふたりとも同じバッグを持ち、とても細い足に同じブランドの黒いソックスを履き同じ歩調で歩いている。

 ふたりは同じだったり違っていたり。奇跡的に調和していた。
2011-07-10 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

「修学旅行の奇跡」・・・昨年の作品より

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 修学旅行へ行くのが怖かった。何か予想外のことが起こりはしないか、その出来事がきっかけで、友達を失うかもしれないし、もうこれっきりこの町へ戻れないかもしれない。修学旅行に旅立つ日が近づくと僕は少しずつ怖くなっていった。

 僕が修学旅行に行ったのは中二の秋で、行き先は奈良と京都でお寺ばっかりだった。あとは工事中の大阪万博会場へも行って泥んこになった。もちろん一番の思い出は枕投げ、と言いたいところだけど、ちょっと違うんだ。甘酸っぱいミラクルがある。

 昼頃、久大本線の豊後森駅に集合して、修学旅行専用の臨時列車に乗ると、ホームのラッパ型のスピーカーから「蛍の光」が流れる。まるで戦争にでも行くみたいに。当時の修学旅行はそんな大げさな旅だったんだ。九州側の最後の駅門司を出て関門トンネルを抜けて本州へ出る頃、僕たちは家から持参した弁当を食べた。次第に陽が暮れる。四人がけ向かい合わせの座席に八人がぎゅうぎゅうにすわって友達とトランプをする。と言ってもババヌキばかりだ。「オブラディ・オブラダ」を歌っている優等生グループに対抗して「長い夜」のブラスセクションを演奏?した。

 深夜に突然僕はある女子にデッキに呼び出された。

「魚返くん、美術の小石先生がな、魚返くんを呼んで来なさい、ちゅうんよ」
「オレ、、何かしたっけ?」
「ウチも理由は知らんのよ、、けど行かんといけんよ。小石先生は酔っぱらっちょるけん、恐ろしいばい」

 僕が小石先生のいる車両に行くと、小石先生の隣の窓側の席に僕の好きな子が座っていた。先生は僕に彼女と向かい合って座るように言った。
「魚返くん、こん子があんたを好きなんじゃと」そう小石先生は言うと、さっさと別の車両へ消えて行った。

 僕と彼女はひと言も話さなかった。窓の外を街のあかりが飛んで行く。鉄道ファンだった僕は、山陽本線を走るこの列車は、直流電気機関車に牽引されているんだなあ。それと、さっきすれ違った長い列車は特急さくらではなかったろうか?みたいに鉄道のことばかり考えていた。好きな女の子を前にはべらせて本物の大鉄道パノラマを楽しめるなんて、これは奇跡じゃ~!!

 ミラクル修学旅行列車よ。どこまでもどこまでも走り続けろ。

■写真→2010.7.22*渋谷にて、、渋谷駅のこの場所を縦一列になって渡るなんて絶対にあり得ない。修学旅行ではないという指摘があったので訂正します。修学旅行もどきの3人組としておきます。
2011-07-09 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『放課後の始発駅』・・・2010.7.4

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 一年前の僕は何をしていたんだろう。あと数日で七夕が来て、もう少しすると夏休みになる、そんな七月のある日。終着駅のホームのエスカレーターを上がりながら今僕が乗って来た電車を見た。放課後の女子高生がふたり、さっき僕が座っていた座席に座っている。彼女たちにとって、ここは終着駅ではなく始発駅なんだ。
 小学3年生の夏。僕は狂ったように絵を描いた。画用紙に毎日何十枚も書いたかもしれない。水彩絵の具がなくなると、となりの文房具屋に買いに走った。あまりにもたくさん絵を描くから、絵の具の減り方もすごい。僕は絵の具を節約するため薄くして絵を描くことにした。水をいっぱい吸った画用紙は乾くと複雑に波打って悲しかった。僕は水彩画を布団の下に寝敷きした。ところで、そのころの僕は毎晩のようにおねしょをしたのだが。。。
 描いた絵をどうしたかって?良く描けた順番に並べて遊んでいた。毎日が展覧会!

■2011.7.4*JR三鷹駅・2番ホーム(東西線車両)
2011-07-08 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

お参り

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2011.4.15*Sakurako
2011-04-23 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

お参り

 これ以上ない良い天気の谷中を歩く。墓地の周辺を散策するカップルや外人が目立つ。僕は案外信心深く神仏への合掌は日々忘れない。しかし宗教にはまったく興味がない。ただ祈るだけである。このあたりの墓地にそれはそれは遠い親戚がいる。ところが今年になって、とても近い人が眠っていることがわかった。以来、数回足を運んだ。今日谷中を歩いていると、お花と水のたっぷり入った桶と火のついた線香の筒を両手にぶら下げて墓地の方へ向かうセーラー服の女の子を見つけた。

「あの、、何してるの?」と聞くまでもない言葉で彼女に近づいた。
「お墓参りです」
「どなたの?」
「大叔父です」
「はあ?それってどういう関係だっけ、僕に教えてくれないかな」
「私の祖父の兄です」
「ああ、そうなの。それはそれは・・・」
「その、君の、大叔父のお墓の前で君を撮らせてくれない?」
「あ、いいですけど。あなたは何をしに?」
「僕の、すっごい遠縁の親戚の墓があって、僕とそのお墓の仏さんとはジョージハリスンと孫文の関係ぐらい薄い遠縁でね」
「あっははは、、ジョージハリスンと孫文は遠縁ながら親戚なの?」
「そうか。まったく二人は無縁だったね。言いたいのは、信じられないぐらい遠い親戚の墓参りに 来たってこと。いやそれがね、今年になって案外近い親戚が眠っていることがわかったんだよ」
「そうですか。それで今日はどちらのお墓参りに来たのですか」
「ああ、そっちは両方とももうどうでも良くってさ。それより君の大叔父の墓参りを一緒にさせてくれないかな」
「・・・」
「僕のこと怪しいとでも?まあ十分に怪しいけどね」
「じゃあいいですよ。大叔父はきっと喜びますから」

■この作品をご覧になりたい方は拍手をしてください⇒

2011-04-22 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

放課後カメラ16(saya)

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大変お待たせしました。さやちゃんが高校を卒業したのでコンテンツをアップします。
2010年(8/22、8/28、9/27)に撮影したものです。
写真は随時Galleryにアップして行きます。
なお、ビデオクリップ『放課後カメラ』はYouTubeにアップしました。⇒こちら
2011-04-20 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

白いスカーフ


2011.4.4 model*アズサ

この写真をみていると僕の中にあの日が蘇るのである。あの日とは写真を撮影した日ではない。僕の少年時代である。セーラー服から露出する足はアズサみたいに太めがいい。昔、僕の田舎ではみんな足が太かった。その放漫さが僕を刺激するんだ。欲を言えば、電車ではなくディーゼルカーならばもっと良い。

僕のエロスの原点は先行きどうなるかわからない不安の中で培われた。ある意味、今そんな感じがあるんじゃないか。不安の中では抑え気味のエロスが心を揺さぶる。真実こそが最高のエロスである。

僕の中のもやもや、、、増幅しているのはCMのトータス松本、、ぐさりと刺したのは斉藤和義の替え歌。自分に問いかけてみると、やはり僕の中にはささやかなエロス。
2011-04-10 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

白いスカーフ・・・2011.4.4

 僕は眼を閉じていた。春の陽射しが節電で明かりの消えた車内を照らし、瞼の向こうを電車の外側の景色をシルエットにして走らせていた。そこへ九州の山間の町の風景が重なって映し出されると、その中に少年の僕がぽつんと立っていた。隣に座ったアズサとは言葉を交わさなかった。僕が口を開くと映像が消えてしまいそうだったからだ。
 僕が特別にノスタルジックなのは、アズサに買った三本線の古い濃紺のセーラー服と新品の白いスカーフのせいだった。特に真っ白なスカーフを締めたアズサは清潔感があった。セーラー服を着たアズサは僕を青春時代にタイムスリップさせていたのだ。ああ、もう四十年も経ってしまったんだ。あの、僕の、小さな青春時代。僕はどうしようもなく悲しかった。
 やっと口を開いたのは、多摩川にかかる大きな橋の上を歩いている時だった。

「橋の向こうへ行きたいんだ」
「どうして?」
「向こう側に僕の青春時代に過ごした町があるような気がしてね」
「へ~、、行きましょう。橋の向こう側へ!」

 橋を渡りイメージしていたいくつかの場所へ行こうとしたが、思惑がことごとく外れ、僕たちは撮影場所を失ったうえとても疲れて土手に寝転がってしまった。

「うまく行かないということも作品さ」
「う、、その言葉とても響きます」
「そう?だって上手く行ったってことは、思惑が当たったってことだよね。しかし、あらかじめ考えた思惑が正しいとは必ずしも言えない。むしろ、やり場を失ったこの現実が正しいんだよ。そして、現実こそが作品なんだろうね」

「足を上げてごらんよ」
「え?」
「たしかアズサはバレエをやっていたよね」
「ええバレエを習っていました」
「どうして?」
「さあ・・・」

 アズサは寝転がったまま左足を空に向かって上げた。そしてしきりにスカートの裾を整えて白い下着を隠す仕草をする。

「僕の場所から草が邪魔して見えないから、、、」
「あ、はい」

 先日の撮影ではラコステのミニスカートの下の白い下着さえ取ってしまったアズサなのに、今日は妙に警戒心が強い。それは新しい白いスカーフの清潔感のせいかもしれない。再びアズサが足を上げると、後ろの鉄橋を南武線の電車がゆっくりと通りすぎて行った。

■現像ができたら公開予定です。
■この日の映像は写真を組み入れてYouTubeにアップする予定です。
2011-04-05 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

あの坂道で

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2011.3.25*府中

しばしば通る坂道の反対側を自転車に乗った女子高生がやってくる。高低差7メートル全長五十メートルほどあるこの坂を立ち漕ぎで一気に登ってしまった。何でもない出来事だけどそれを見た僕の心は弾んだ。ずっとずっと向こうの鉄橋の下まで行って貨物列車をぼんやり眺めたりアズサの写真を撮ったりした帰りにまたこの坂にさしかかるとやはり自転車に乗った女子高生がやってきた。彼女も立ち漕ぎして一気に僕の前を駆け上がって行った。やはり僕の心は弾んでいた。付け加えると、これはとても日本的な風景なのらしい。
2011-04-02 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

アズサ(1)写真



2011.3.9*アズサ

□この日の他のカットは『Gallery』にアップします。
□WSのアズサ(2)は現像スキャンできしだいアップします。たぶん明日できると思います。
2011-03-21 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

セーラー服

 ずっと昔、僕が少年だったころの初恋の切なさを写真にしようと思っている。その写真のことは何度か頭をよぎることがあったけれど撮影しないままだった。いよいよその時が来たと思う。僕はまず最初にセーラー服を買った。あの子のサイズにぴったりのシンプルな中学生の古着のセーラー服だ。昭和四十年頃に田舎の女子中学生が着ていたみたいな。。

「あのさ、君にセーラー服を買いたいんだ」
「わあ!嬉しいです」
「君はそのセーラー服を着て初恋の女の子になってもらいたい」
「はい。光栄です!」
「付け加えるとその子はとてもグラマーだった。そして君に似ている」
「本当ですか?ほかの子にも同じように言ってると思うけど、それでも嬉しいです」
「ところで君は僕のことをどんなふうに見てる?」
「私は先生のことを尊敬しています。周りに尊敬できる人はほとんどいません。私は先生が好きです。あと、制服楽しみにしてます!」

 彼女の言葉が気遣いだとわかっていても僕はとても嬉しかった。どんな写真を撮るかって?それは撮影後のお楽しみ。。。

■撮影したら必ず発表します
2011-03-16 : 放課後カメラ : コメント : 2 :

そら(制服)・・・2011.2.27


(写真上)横浜中華街の肉まんとたこ焼きと焼きそばを平らげる(写真下)竹馬に挑戦するゆめ

ゆめと公園へやってきた。年末はゆめはこのベンチでおでんなどを食べた。今日は肉まんなどを食べた。そのあと公園で開催していた昔の遊びを子供たちに体験させるイベント用の竹馬を借りてきて乗ろうとした。

「竹馬、、懐かしい」
「乗れるの?」
「ええ、ばっちり!」

そう言い残すと、ゆめは竹馬に足を掛けた。しかし、、、
その前に樹の根っこにつまずいて膝を負傷して大量出血したが絆創膏を貼っていざ出陣となった。素晴らしいバイタリティーだ。ゆめはすごいヤツだ。
2011-03-09 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『遠い冬の思い出』・・・2011.1.23


model*akko,,
2011-01-28 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

遠い冬の思い出

「ねえ君、セーラー服を着てくれないかな」
「えっ、私がですか」
「そうだよ、冗談だと思っているね。本気だよ」
「そんな年齢ではありません」
「そんな年齢ではなくなっているからこそ君のセーラー服姿を撮りたいと思うんだ」

 真冬の公園は寒さのせいでノスタルジックだった。山間の町で育った僕にとって寒さそのものが懐古的なんだ。akkoに冬を感じる。それはakko自身に冬の寒さが染み付いているせいかもしれない。いや、むしろアッコの身体から冬を乗り切るための熱が発せられていて、僕が手のひらを彼女の胸にかざすとうっすら熱が伝わってくる気さえする。いずれにしてもakkoから冬を切り離すことはできない。ふと僕はアッコの胸や太ももで冷えた手を温めてみたいと思った。
 僕はakkoと公園を歩いた。敷き詰められた枯葉は一ヶ月以上も雨が降っていないからとても乾燥していて、サクサクと音をたてて二人の足下で粉々になって舞った。

「その枯葉の上に寝そべってくれないかな」
「はい」
「腕枕をして、スカートの裾を上げてごらん。君の太ももを見たいんだよ」
「はい」

 akkoの太ももは太めで真っ白だった。濃紺のセーラー服のスカートのヒダとのコントラストに僕はとても刺激されていた。僕はいつもより長めにファインダーを覗き慎重にピントリングをまわした。いつの間にかローライでのピント合わせつらく感じるほど陽が落ちていた。シャッターを押した。トライXを詰めた僕のローライはチャッっと頼りない音をたてた。僕はライカに持ち替えてまた数枚撮った。昭和40年代に従兄弟から借りた二眼レフの音も頼りなかった。僕はそのカメラを壊してしまった。僕は壊したカメラを分解して修理しようとしたけれど、今度はすべての部品をもとどおりに納めることすらできなかった。僕はカメラを壊したことを従兄弟に悟られないように、カメラを押し入れの奥に隠した。それから数十年して、従兄弟は自殺した。僕のこころの中に腐りかけた魚の眼のように回復しようのないものが残ってしまった。


☆随時書き足します。
■作品は数日後アップします。
2011-01-24 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

ゆめ~その1・・・2010.12.28



 僕とゆめは年末の公園にいた。晴れ渡った空には雲一つない。ぼくたちの頭上、かなりの低空を頻繁に小型機が通りすぎる。まるで駄菓子屋のような売店の脇のいくつかある正方形のテーブル付きのベンチにと座ると冬の陽射しが真横からゆめを照らした。ゆめが田舎から出て来たばかりの女の子に見えた。ふと何かのシーンを思い出していた。あっ、あれだ!僕はある映画を思い出して吹き出した。春という名前の女の子が老人と旅をするストーリーだった。ゆめが春なら僕は老人。春は徳永えりで老人は仲代達矢。すると、僕は仲代達矢ということになってしまうので、ゆめにそのことを言うのをためらった。ついさっき、ゆめに「恋がテーマだから・・・」と言ったばかりだし、イメージ的に自分が仲代だというのが嫌だった。
 実は僕たちはここへくる前から売店で売っている焼き芋を食べようと決めていた。

「あの、すいません。焼き芋をください」
「それが、、売り切れてしまったんです」パートらしき感じの良い婦人が眉を八の字にして申し訳なさそうに言った。
「じゃあ、団子をください」
「しょうゆ味とみそ味がありますが」
「一本ずつください」
「出来上がったらお呼びしますからベンチでお待ちください」

 僕たちはベンチに座って冬の陽射しを贅沢に浴びながらとても満たされた気分だった。どうしてゆめもそういう気分だとわかるかというと、僕より先に言葉にしてしまっているからだ。ゆめは頭の回転が僕の六倍ぐらい速い。ゆめはとても狭い世界で万田礼子と言われている。偉大な写真家・マンレイについて詳しいからだ。つまり、、そのあだ名は僕がつけたものだ。だから僕が写真について話すときは真剣に聞く。だから僕は調子に乗ってどんどん写真のことを話してしまう。「できましたよ~」売店の方から声がする。団子を受け取ってニコニコしているゆめをベンチからビデオで録画した。それから団子を食べているところをRTSとM4-Pで撮った。
 ゆめはかなり大きな団子を美味しそうに食べている。僕はそれをずっと見ている。このごろの僕はちょっとフィーリングが谷崎的で、人の口が変な存在に思えてならない。どうして顔にあんなものがくっついている?ゆめが団子をかじるのをひたすら撮りながら笑いそうになる。

「おいしい?」
「はい、おいしいです!」

 ゆめは笑顔がすごい。顔の隅々まで全部笑顔なので僕も対抗して笑顔にならざるを得ない。

「何か別のものも食べるといいよ」
「あっ、はい、でもいいんですか」
「もちろん」

 ゆめは売店へ行き大盛りのおでんの入ったどんぶりを両手で大事そうに持ってベンチへ戻ってくる。僕はまたビデオに録画した。ゆめの手に小さな辛子のパックと割り箸が二膳。僕の分の箸も持って来た。僕はいらないと言う。ゆめは良く気の回る子だ。そうだゆめはあの女子大の出身だ。あの女子大出身の子は男社会で女が生きのびるすべを知っている。人類が滅亡する時に最後まで生き残るのはあの女子大出の母とその子供なんだと思う。ゆめは食べながらどんどん話す。正直すぎてドキドキする。あの話だってこの話だってあんなことも話すから、きっと僕が一番聞きたいヘンリー大尉のことだって話すに違いない。ヘンリー大尉って?トークライブに来た人ならわかると思うけど、ミユちゃんが「足首」と答えた、そのことなんだ。つまり、ゆめの言葉を全部書くことは無理。三分の一でも無理。

「次のライブにゲストで出てくれない?」
「はい。でもライブやるって決めたんですか。あの時はしばらくはやらないみたいにおっしゃってたし・・・」
「ゆめちゃんの話をライブでみんなに聞いてもらいたいと思ったんだよ」

 ゆめはまた売店へ行って焼きそばを持って持ってベンチにもどった。今度は箸は一膳だけだった。おでんを冬の弱い陽射しが照らした。半透明な湯気の白、辛子の黄色、こんにゃくの灰色、さつま揚げの茶、みんなとっても光っていた。ゆめは容赦なく美しく光る具を汁で濡れてキラキラ光る唇の奥へどんどん入れた。

「どう、美味しい?」
「はい。とても美味しいです」

 ゆめが食べている姿を見て、ゆめはすごい女だと思った。どん欲な感じ。男には絶対にかなわない生命力みたいなもの。ゆめは自分が着ているオレンジ色のコートを目印だと言ってたけれど、本当にそんな気がしてきた。私はここに存在しているのよ、みたいな。僕はうっかりオレンジ色のコートが世界一かっこいいとさえ思いはじめていた。ツールドフランスのマイオジョーヌのように。ゆめを例えるなら、若いころの松坂慶子と北風小僧を足して二で割ったみたいな、、そんな例えようのない魅力的な女だ。
 今度は僕が売店へ行って紙コップのホットコーヒーを二杯持ってきた。冬の冷たい空気の中で飲むホットコーヒーがこんなに美味しいなんて。

「美味しいね」
「はい。コーヒーも美味しいですね」
「最後に一つ撮りたい写真があるんだけど・・・」
「もちろん、何でも!」
「キスしてるところを撮ろうよ」
「はあ???」
「心配しなくていいよ、影同士だよ」

 僕たちは長くなったお互いの影同士でキスをした。キスはかすかに松坂小僧の味がした。待てよ、、若い頃の松坂慶子みたいに大胆に裸を披露してくれはしないだろうか、などと想像をかき立てられる。いずれにせよこれほど魅力的な女性はなかなかいない。

□ゆめ~その2は制服編です。ご期待ください。
2010-12-29 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

放課後カメラ/カップル2*mika・・・2010.11.7



カップルの第二作。
カメラを向けると不思議な気分になった。
僕がmikaの相手ではないことへの不満?それはあってもとても小さなものだった。
もっと奥の深い問題が投げかけられているのだ。
恋、、それはそれぞれの人生においてとても華やかでありながら重い。
めんどくさい現実を離れて恋ができる方法を誰か教えてくれないかな。
恋だけあればあとは何もいらない。待てよ、そう言い切れるのか?
2010-11-15 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

放課後カメラ/カップル-1*かおり・・・2010.10.17



 この二人、、何だか静かだ。

「かおりちゃん、静かな二人ってイヤらしいんだよ」
「えっ?どうしてですか」
「僕はずっとそう思っているけど、それについてまったく根拠がない」
「でも、、どうして私たちを撮ることにしたのですか?」
「そうだな、かおりちゃんがどんな恋をしているのか知りたいと思って」
「普通です」
「僕はずっとエロスを追求して来たけどエロスだけを撮ったつもりの写真の中に恋心が混入してるんだ。それで、エロスと恋心を分けて撮れないだろうかと考えてみた」
「・・・」
「それから、僕自身の恋についても振り返ってみた。そしたらドキドキするような初々しい恋を撮りたくなった」
「あと、なぜ私が制服を着る必要があるのんですか」
「制服姿は僕の青春時代の初々しい恋へ最短距離で誘ってくれるからね」


□カップルを撮った。たぶん15年ぶりだ。何故そうなったかは12/6(月)のトークライブで詳しく語ろう。
□作品に参加したいというカップルを募集しています!モデル募集サイトから、、



2010-10-20 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

トロンボーン*彩乃・・・2010.10.10


 セーラー服を着た彩乃と過ごす時間はゆっくりと狂いながら流れる。僕は止まりかけた柱時計のように不規則に秒を刻む音を感じながらノスタルジックな気分で武蔵境から盲腸線に乗っていた。この時の流れの違和感は変則的な彩乃の言葉のリズムから来ているのかもしれないと思った。

「僕たちが親子連れに見えると良いのだけど」
「???」彩乃はきょとんとして僕の方を見た。

 今日の彩乃は楽器のケースを抱えていてそれがとても似合っている。セーラー服姿の女子高生に楽器はとても相性が良いと実感した。さらに彩乃の楽器がトロンボーンだというところが僕の心をくすぐった。

「トロンボーンに憧れたことがあるよ。小学六年のころ」
「そうですか。どうしてですか?」
「当然、谷啓だよ」
「あ、、そうですか」
「その次は中2の時で、Chicagoの『長い夜』を聞きながら口でぶーぶー音を立てて右手の肘を曲げたりのばしたりさせてトロンボーンの演奏の真似をしていたよ」
「・・・」彩乃はまたきょとんとした眼をした。




 終点是政駅で降りて多摩川を歩いた。雨上がりの河川敷グランドは日曜日だというのに誰もいない。

「どんな音楽を聞いている?」
「えっと、、TBSラジオを聞いています」
「はあ?『大沢悠里のゆうゆうワイド』とか?」
「はい、それを聞きながら目覚めます」
「・・・」

 僕たちはまだ湿った雑草に靴を濡らしながら大きな橋の下を歩いて川の水が見えるあたりまできた。

「ここで撮ろうか」
「はい」
 
 彩乃はトロンボーンのケースを開けてマウスピースを出し、口にあててぷーぷー鳴らし始めた。トロンボーンの音は僕が想像していたより何倍も大きく、大きな橋に共鳴してさらに大きな音になって、まるで船の汽笛のように河川敷に響いた。僕はその一部始終を撮影したのだ。
 そしてまた是政へ戻り再び多摩川線に乗って武蔵境へ戻った。制服から私服に着替えた彩乃とスーパーの中にある小さなファミレスに入った。彩乃が注文した雑炊を僕もたのんだ。二人で向き合って雑炊を食べていると不思議と言葉はいらなかった。つまり彩乃は他人に気をつかわせない特技の持ち主なのだから素敵だ。こうして彩乃と過ごす時間はゆっくりと、そして少しだけ不規則に秒を刻みながら流れて行った。

2010-10-11 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

放課後の恋*さや・・・2010.9.27

20100927saya088のコピー


「今学校を出ます」とさやからメールが来た。

 僕は下北沢駅のホームでさやが来るのを待っていた。そもそもちょっとフェイクな女子高生モノとして「放課後カメラ」を撮り始めたはずだが、今日は本物の女子高生の放課後に自らを置き去りにして、彼女のテリトリーの下北の駅でセーラー服の女の子を撮るというのだ。一体どうなってるんだ?僕は現役女子高生を撮るこの現実に疑いを持ち始めていた。つまり、本当なの?ってね。しかし、何度考えてみてもさやは可愛過ぎることを除けばごく普通の女子高生なのだった。

「今下北沢に着きました」とさやからメールが来た。
 
 僕は吉祥寺方向の前方からさやを探しながら渋谷寄りへ歩いた。井の頭線は六両編成だから、ホームは短い。すぐにさやと出会った。

「こんにちは」
「はい、こんにちは」

 白いセーラー服に赤いリボン
のさやが昼下がりの雨のホームに眩しい。僕とさやとのツーショットを見て人はどう思うだろう、と僕は女子高生と時を過ごす悦びを忘れ去り、ちょっとネガティブだったけれど、さやを見るとキュートに笑っているだけ。そう、彼女は何も気にしてないんだ。それを見た僕は救われたような、突き落とされたような、複雑な気持が胸の中でうごめいた。「あっ、これって・・・」と口に出しそうになって躊躇した。

 ホームにメガネをかけた真面目そうな男性教師に引率された数十人の小学生がやって来た。教師と僕は眼が合った。教師の何やっているの?って顔。

「あのぉ、僕のこと父親ってことにしてくれないかなぁ」
「はい。でもどうして?」
「だって、みんな僕のこと変な男だと思っている」
「どこがでしょうか?」
「どこって、僕は君の、、つまり女子高生の放課後に写真を撮りに来たんだ。そのことをみんなにどう説明すればいいんだろう」
「・・・」

20100927saya085のコピー


 ホームでぎこちなくさやを撮った。慌てていてピントが合わない。RTSのファインダーは滲んでいるように見えたし、M4-Pの二重像はちっとも一致しない。だけど、だからと言ってオートフォーカスが有利だなんて絶対に思うもんか。そう心の中で宣言するのが精一杯。数枚撮って止めて、次の吉祥寺行き各駅停車に乗り、さやと隣り合わせで座った。

「今日の一時間目は?」
「英語です」
「じゃあ、二時間目は?」
「英語です」
「それで、三時間目は?」
「英語でした」
「ほう、じゃあ四時間目は?」
「現国」
「あはは、そうか、現国だったんだ!」

 僕はさやの父親役であることを半分捨てて家庭教師みたいな、そうでないような、中途半端な自分になって隣や正面に座っている人たちの視線をかわそうとしていた。そんな僕とさやの時間はあっと言う間に過ぎ去って、終点の吉祥寺のホームでさやと別れた。僕は絶対に振り返って手など振ってはならないと心に決めて、人ごみに入り改札を抜けたあたりで、やっぱりもう一度さやに別れを言おうと振り返った。しかし、そこにさやの姿はなかった。何かが僕の胸を突いている、、「あっ、これって・・・」僕はもう一回その言葉を飲み込んだのだった。

□写真はちょっと待って。支障があるから顔のない写真になったらごめんね。
2010-09-28 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

ブラックベリートルテと抹茶ミルク*彩乃・・・2010.9.19

20100919ayano068のコピー


 午後1時だというのに薄暗い小道を彩乃は僕をたどたどしく誘って三四郎池のほとりへ降りた。アップダウンのある池の周りの道をさらに彩乃は僕を連れ回す。途中の少し傾斜のゆるくなった所で僕はしびれを切らし彩乃を撮った。ファインダーを覗くと風景が静止しているように見えて、それと同時に僕たちの周りに静寂が訪れる。何度かファインダーを覗いて見た。どうやら彩乃の動きが止まってしまうことで風景も静止しているように感じる。それに反して、彩乃の眼は頻繁に瞼を閉じている。からくり人形のようだ。その時、僕は笛の音を聞いた。

「君はフルートを吹くべきだよ」
「時々、そう言われます」

 本当は日本古来の篠笛を吹いて欲しいと思った。彩乃の眼の中には昔の風景が映し出されているような気がする。つまり、僕は彩乃にいにしえを感じていたのだ。僕はそれから本郷通りに出るまで、何度も何度もファインダーを覗いて彩乃の本性を確かめようとした。彩乃は何を考えているかわかりにくい子に見えたが、もしかしたら何も考えていないのかもしれない。

「何を考えているの?」
「えっ?何も、、、」

20100919ayano138のコピー


 本郷通りに出て地下鉄の駅の方へ歩いた。大学の塀が途切れた少し先にある不思議なカフェに入った。ここは彩乃のお気に入りの場所らしい。天井がとても高く、客はその空間の中で、お好みのケーキと実験的とも言うべき様々な飲み物の中からカップ一杯を選ぶ。ちなみに飲み物はお代わり自由。そしておまけは何故かボルシチ。大きなカウンターに小ぶりなトレーを載せて、その上にそれらを適当に並べゆっくりと食す。それがこの店での流儀らしい。と言っても、僕は僕の右隣に座った常連らしきおじ様の様子でそう思っただけなのだ。左のスツールに座った彩乃を見ると、ゆっくりとブラックベリートルテを食べ紅茶を飲み、最後にボルシチを味わっている。僕の方は、さっさとブラックベリートルテを平らげて、最初に彩乃の真似をした紅茶を一気飲みして、次に冒険してやるかとばかりに抹茶ミルクをカップに注いだ。そして、その抹茶ミルクを口に含むや「げっ」と思わず声を発し自分の味覚が貧弱なことにがっかりする。抹茶ミルクは僕にはとてもまずいのだ。こうなると、彩乃との話題はこの店のことではなくなる。
 
「彩乃ちゃん、恋したことある?」
「はい、あります」
「どんな?」
「どんなと言われても、、、」

 僕と彩乃は恋について話した。恋は年齢不祥で年齢を問わす悩みは共通なのだ。彩乃と僕は38分も恋の話をした。

「今日のところはこの辺で、、だってこれ以上一緒にいたらオジさんは彩乃ちゃんを好きになってしまうよ」
「私、オジさんとお酒を飲みながら恋についてもっと話をしてみたいです」
「え~、、マジですか」
「ええ、大真面目ですよ」
「でも残念なことに、僕の撮影には掟があって・・・」
「なるほど、、それはそれでわかる気がします」

 僕たちは店を出た。本郷三丁目で地下鉄丸の内線には乗らずお茶の水まで歩いた。彩乃と分かれる名残惜しさがあったのかもしれない。彩乃という子、いにしえに僕を誘った。そして、乙女の想いを語る視線ははるか遠いところを見ているようだった。最初に会った時の印象よりどんどん魅力的に見えて来て、彩乃のことをもっと知りたいと思うようになった。彩乃に、やっぱり飲みに行こうかと言い出しそうだったけど、懐の寒さがそれをかろうじて止めてくれた。そして、お茶の水駅前で「さようなら」と言って、後ろ髪を引かれながらも別れたのだった。
2010-09-20 : 放課後カメラ : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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