『下町の天然色』・・・カラーについて

2008.9.24メイ019_edited-2

          ☆

 荒川鉄橋を訪ねたのは2008年のことだ。メイは風貌も話し方も下町娘だった。川風に吹かれてメイと過ごす時間が心地よくて、僕は彼女に気安さを感じていた。どこか昭和っぽい匂いのする女の子と一緒だったせいか、初めて訪れた大きな鉄橋も懐かしく感じたのを憶えている。

 その日はネガカラーで撮った。写真にも僕が感じた懐かしさがきちんと表現されている。僕にとってカラー写真とは、昔ながらの天然色のことだ。写真とはどこかノスタルジックなものだ。撮った写真は、その瞬間は『今』であっても次第にノスタルジックになるべきである。その意味で僕は最近のカラー写真にはちょっとついて行けない。人生を最初からやり直さない限り僕には無理である。

 去年は一年間モノクロしか撮らなかった。それはある個人的な理由からだった。今年は、カラー写真も撮る。ノスタルジックな天然色で撮ることは言うまでもない。


□2008.9.24撮影/荒川にて/model*メイ マミヤ7+55mm?
□最近のカラー写真=主としてデジタルを指している

□僕の塾生はモノクロ指向の人が多い。僕もその一人だと思われているけれど、それは違う。本当に違う。皆、もっとカラーを撮ろうよ。

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2012-02-29 : 昭和ガール : コメント : 0 :

電車の中のようこ

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2012.2.5/写真塾にて/model*ようこ



電車の中のようこ

ようこがよく食べることはこの前肉まんを三個食べるのを見たからわかる

ようこがかなり強引なオシャレを好むことも会えばわかる

ウエストの美しい曲線や下着の趣味も何となくわかる

ようこが想像以上にチャーミングだということは、撮った人なら誰でもわかる

ようこの魅力は何もかもわかる、ようこ以外の人には。

          ☆

 実際、ようこは謎の女性である。しかし、自分をさらけ出すようなアピールスタイルが彼女独特の個性になっている。僕たちはようこに見せられたようこの断片だけで彼女を知った気になっているだけなのだろうか。ようこ自身は、その魅力に気づいていないと言うのだが、、、




□写真塾では塾生も僕も女の子のポートレートを学んでいる。当然だが、将来に訪れるかもしれない被写体変化も想定している。女だけ撮っていればいいと思っている人は欲がない。もったいない。



2012-02-13 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『空のファンタジー』

 空は僕が見つけたみずうみのように深い眼をした美しい女の子だ。冬の吉祥寺。僕はこの街のどこかにファンタジーがあるような気がしてならない。そのファンタジーは真冬でもきっと温もりがある。僕は空にファンタジーのことを教えて欲しいと思っている。

            ☆ 


□近日撮影予定。ご覧になりたい方は拍手をどうぞ。



2012-01-22 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『F』・・・その1

 僕が彼女につけた名前は『F』。地方に住んでいる。

 いずれ、「君の胸を撮りたい」と伝えなくてはならない、と考えていた。何度かやり取りをしているうちに承諾らしき内容のメールが来た。それでも僕はその言葉を信じていない。長い経験からそう考えるようになったのだ。ところで、どうして『F』なのかというと、彼女の胸がFカップだからだ。

つづく



2012-01-22 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『りんの部屋』

20120108rin036-3.jpg
2012.1.8 mode*りん

 柔らかい冬の陽射しがカーテン越しに差し込んで、りんのブラウスをまだら模様に照らしていた。りんを陽射しから避けるような位置に立たせると、何か物足りない感じがした。実は、まだら模様の陽射しがりんとぴったり合っていたのだ。

「脱いで」
「はい」

 りんは、まぎれもなく昭和美人だ。
 

           ☆


□このカットがベストだと言い切れないが下着姿のりんをここに曝すのは寒すぎる気がしてこのカットを選んだ。個展では別のカットを展示するかもしれない。
□りんさんが写真塾のモデルとして登場いたします。日程調整中。。




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2012-01-17 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『凧揚げと美しい女』・・・2012.1.10


1996『Who’s Love』より/model*sakura
 この写真は以下の文章とは無関係ですが、深いところでつながってます。

             ☆

 冬になると寒空の下で凧揚げをした。奴凧と凧ヒモを駄菓子屋で買い、家に戻って新聞紙を長く切って凧の下方に貼付け足にする。その足の長さはその日の風の強さによって変える。凧を持って堤防に行くとびゅーびゅー北風が吹いていて、手を離すと凧はあっというまに舞い上がり、巻いた凧糸を全部出し切ってしまう。凧糸の端っこを持って、河原の大きな石の陰に腰を降ろして風をよける。それでも容赦なく風は僕に吹きつけてくるが、そういう時は凧も勢い良く揚がるから、凧揚げを思い出すときは寒さも思い出す。

 やがて糸が切れて、凧はどこか遠くへ飛んで行ってしまう。雪景色の山々をバックにどんどん遠くへ飛んで行く凧を見て、僕の心は複雑だった。悲しいような、もったいないような、美しく爽快なようで、寒々しく、そして最後には虚しさだけが残る。

 今度は凧を手作りする。枯れた竹を裂いて骨組みを作り紙を貼り新聞紙を切って足にする。凧糸の代わりに家にたくさんあったミシン糸を使う。最初は凧の出来が悪くあまり揚がらないけれど、そのうちにコツを掴むと、駄菓子屋の奴凧ほどではないものの、それなりに揚がる。僕は北風の強く吹く日に堤防へ行き凧を揚げた。僕が作った凧はものすごい勢いで空に舞う。細いミシン糸は手元より先へ行くとすぐに見えなくなる。人差し指で糸に触れると指が切れそうなほどピンと張っている。手元から糸を出し続けている間は多少凧をコントロールできていたが、糸が完全に出きった瞬間にミシン糸はプツンと音をたてて切れて凧は遠くに飛んで行った。そして、また虚しさが残った。

 美しい女を撮る。お気に入りの古いカメラを使い、撮り方はあれこれ工夫しているうちに見つけた僕だけの撮り方だ。美しい女は見事に風景にマッチして感極まった瞬間にシャッターを押すと、プツンと音がして残像と虚しさが残る。まるで凧揚げと同じだ。

 そして今も、僕の手元には美しい女の写真がある。






2012-01-10 : 昭和ガール : コメント : 1 :

昭和ガール『りんの部屋』

 風が弱いせいか日向を歩くと暖かい。僕は路地を歩いているのが気持ち良くてりんの家を通り過ぎてしまった。僕の頭の中は期待でいっぱいで、冷静さを失ってしまっていたのかもしれない。昨夜、僕がりんに出したメールには「ベッドに入っているところを撮るかも。下着姿でメイクしているところも。または、出かける服装で始まり、次第に脱いで行き、最後は裸になる・・・・」みたいなことを書いていた。


 りんの部屋。
 りんは奇麗に髪をカットしていた。そしてリクエストどおり、紺のカーディガン、丸襟の白いブラウス、ライトブルーの細かいプリーツの入ったフレアスカートを着ていて、まさに清楚な昭和ガールファッションだった。

「君、カワイイね」
「そうかしら」
「それに、美しいね」
「そうかしら」

 僕とりんは部屋の真ん中につっ立ったままどう撮ったらいいか考えた。窓辺に差し込む冬の陽射しを見るとほのぼのしていたので、そこへりんを立たせてみた。レースのカーテン越しに差し込む陽射しがりんを美しく輝かせて、僕は思わず「素晴らしい」とつぶやいた。

「りんさん、脱いで頂けませんか」
「・・・」

 りんは何度か僕に促されてからブルーのカーディガンのボタンを外した。

「りんさん、ブラウスも脱いで頂けませんか」

 りんはボタンをゆっくり外してブラウスも脱ぎ、ブラジャーだけになった。りんの肌は美しかった。りんは筋金入りの「昭和ガール」だった。僕は美しい大人の女の上半身を撮った。
 次に僕は昨日のメールどおり、りんの肌に何かをこぼしたり、赤い口紅を乱暴に塗った写真を撮ろうと思った。しかし、その写真は何か違うと感じたのだった。そして、ただりんの背中を撮る方を選んだのだった。

            ☆

□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。






2012-01-08 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『明日はカメラ始め』

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2011.10.10model*りん

 クリスマス・イブに開催した74th写真塾からシャッターを押していない。一向に撮る気が湧いてこない。一種のスランプかもしれない。子供のころからスタートが遅い。正月明け、入学、新学期、どれも順応できなかった。この年明けもこのままずるずる行きそうだ。しかも、心の奥底でそんな怠惰な生活を懐かしく思う自分もいる。いっそのことスルメでも焼いて酒でも飲もうとさえ思うのだが、それも面倒になる。

 とうとう明日カメラを持つことになった。筋金入り『昭和ガール』のりんを撮る。やっと今年の第一歩を踏み出すことになって少し緊張している。さてどんな写真を撮れば良いだろう。りんという女性は清楚であることが一番の個性と言える。僕の経験では、清楚な女を脱がすと、その清楚さはますます際立ってくる。はたして、りんは脱いで今年最初の『カメラ始め』に花を添えてくれるだろうか。結果は明日報告する。

□1/15(日)76th写真塾開催。参加受付中。。




2012-01-07 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『冬のアズサ』今年の最後に・・・







2011.12.23.73th.model*アズサ

 なんと寒い日だろう。底冷え。たった今寒気が空から降って来ているのがわかる。冬の川は枯れたヨシに覆われていた。地面はすでに凍えていたて、ヨシは根元から無造作に刈られ、その茎は地面から出て敷いたゴザ突き刺している。アズサはそこへ横たわりポーズしたのだった。僕はその麗しきアズサをカメラに納めたのだった。一年のほとんど最後に素晴らしいシーンを撮れる幸せを感じた。そして、この日が僕のバースデーだった。

           ☆


 12/24(土)に2011年最後の魚返一真・写真塾が開催されました。今年も多くの方に参加頂き感謝いたします。また、写真塾を始めて7年目、やっと第一回グループ展『ALL GIRL』を開催することができたこともとても感慨深いです。グループ展においては、多くの方々に来場いただき、塾生たちの作品を観てもらえ主催する僕としても、胸をなでおろすことができました。ちなみに、第一回の優勝者は、鍋島ヒロノブ(なべちゃん)さん。来年五月に開催する次回グループ展では、ディフェンディングチャンピオンのなべちゃんを参加する全塾生が追う展開で、接戦が予想されます。

 塾生を募集しています。僕のブログにコメントで参加してくれている人たちは準塾生だと思っています。いつか、会える日を楽しみにしています。

 今年は二年ぶりに個展を開くことができました。来年も個展を開催して、新作を観て頂きたいと思っています。古くからのファン、最近のファン、これから出会うファン、そんな人たちへエロスのメッセージを送り続けます。

           ☆
 どうか皆様、元気でいてください。そして、これからも僕を見続けてください。もっともっと成長した僕をご覧に入れます。

                 2011.12.31 妄想写真家・魚返一真





2011-12-31 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『僕と直さんとアズサの撮影・その1』

 この組み合わせで撮影するなんて悪い冗談に違いない。そう思わせる原因は、直さんだ。直さんは、機関銃のように撮り続けるまっすぐな人で、こんな勢いで撮る人に今までに会ったことがない。撮るカットの多さもさることながら、直さんは僕と真反対な撮り方をしているのだ。どうして?なんで?まさか?うそでしょう?と、僕の口はあんぐりしっぱなし。

 しかし、僕は奇妙なことに直さんに興味を持ち始めていた。興味というより不思議なものを見せられて、ある種の魔法にかかってしまったのかも知れない。

 直さんの撮影を見てどのシーンも僕ならこうするのになあ、と思っていた。しかし、あるシーンにおいて、僕は我慢できなくてとうとう本気でシャッターを押したのだった。それは、直さんが撮っている角度とはまったく違ったし、写真の意味も違っている気がした。

 このシーンのセッティングをしたのは直さんだった。アズサの着けていた黒いガーターの着け方や下着の履き方、スカートの乱れまで細かく指示をしていた。実は、この時僕が撮った写真は間違いなく傑作だった。アズサの恍惚な表情といい、スカートを上げる手のポーズ、足の角度、ガーターベルトの張り具合など申し分なかった。そのすべてを直さんがセッティングしたのだ。

 常々、自分の感性を否定するような撮り方をしようと心がけている。自分を信じているが、過信してはならない、素晴らしい瞬間は神から与えられるものだと考え、撮影中は何か別の要素が入り込む余地を持たせている。

 直さんと撮ることは、僕の撮影に別の要素が入り込み、世界を拡げているのではないかと感じた。

        ☆

「直さん、次はどうしますか」
「そうですね、今日と同じように、電車の中と河原で撮りたいですね。アズサさんの服も同じで良いです」
「まったく同じですか?」
「ええ、ただし次回はその先の撮影について三人で議論したいと考えています」
「議論?」
「はい。それから、アズサさんに黒いイブニングドレスを買いましたから」
「え?買っちゃったの!」
「はい、買いました。それを着て頂いて『ティファニーで朝食を』のイメージで撮影したいと考えてます」
「まさか?この河川敷で?」


□この日、僕が撮った作品『冬のアズサ』をご覧になりたい方は拍手をお願いします。


2011-12-28 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その7『バースデー・プレゼント』


2011.12.23,73th,model*アズサ

 半分しか撮れていないフィルムを見た時、何だか心の中がざわざわした。結局、僕はいつも女の右半分しか見ていないのかも知れないと思った。その女の左側に秘めた心など知る由もないのだ。

       ☆

「スカートを上げてくれる?」
「はい」
「ガーターなんだ、、」
「はい」
「どうして?」
「今日があなたの誕生日だから」

2011-12-27 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その6『貨物列車がくる前に』


2008.3.4.model*Yoshimi

 左側が欠落した写真についてさんざん書いたけれど、結局はそれを面白いと思っているだけのことだ。物事に関してごく自然にまかり通っている後講釈についてたびたび語って来たが、写真において後講釈ほど大事なものはないと思っている。そして、今回もそれにあたるのだ。(以下省略)

         ☆ 

「急がないと切り通しの向こうから貨物列車がやってくるかもしれない」
「そうなんですか」
「間違いなく来るよ、僕にはわかる」
「・・・」
「お尻、見せてくれない?」
「はい」
2011-12-26 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その4『裸』



2008.6.14,model*あゆみ

        ☆

 身体の半分しか写っていない写真がここにある。初めてこの写真を観た時、とても良いと直感した。しかし、彼女にそれを伝えなかった。いいや、顔の写っていない写真が良いなんて、とても伝えられなかったのだ。昨日、思い切ってそのことを彼女にメールし公開の承諾をもらった。

        ☆

「突然ですが、私を撮ってください」
「こちらこそ撮らせてください」
「ヌードを撮って欲しいのです」
 ・
 ・
 ・
「君の裸、美しいね」


□スタジオ写真塾が終わった後に撮ったものです。。




2011-12-23 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その3『売り子』



2008.5.21,model*ミッチ

       ☆

 左側が欠けた写真というものを決して高く評価しているのではありません。欠けたことによって、ポラロイド写真のような一点モノ的な希少さが生まれている気がしてならないのです。単なる錯覚なのですが、妙に大切な気がしてならないのです。カブの酢漬けを作る時、ヘタの方が美味しい気がしたり、残った葉っぱの部分を刻んでちりめんと鰹節をまぶしたおかずが愛おしくてたまらなく美味であることと関係がある気がするのです。
       ☆

「駅員のおじちゃん、わたしはどうすればいいの?」
「次の列車が来たら客車の窓越しに弁当を売るんだよ」
「わかった。がんばるね」


□この作品の別カットは『鉄道と彼女と僕』の中で発表したものですが、昭和ガールで復活させたいと考えています。お弁当など僕が作りました。ただし、ワンカップのお酒、ジュース、さきイカ、笹かまぼこは市販。鉄道の売り子は僕にとって昭和そのものなんです。
  





2011-12-22 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その2『笑顔』


2011.7.31model*早紀

一枚目が半分しか写っていないことを知っていながら撮ることに何の意味があるのだろう。あえて続けているのには僕なりの考えがある。つまり、一枚目は半分しか写らないカメラで、あとの36枚は普通のカメラ。僕は一台で二台分の機能を持った特殊なカメラを持っていることになる。ただし、右半分だけ撮れるカメラは、最初の一枚目しか使えない。その不便さがとても気に入っている。

「笑顔の素敵な子だね」
「とんでもないです」
「お母様から教わった、ほら、あれ、なんだっけ?」
「ああ『あかるく たのしく げんきいっぱい』ですね」
「そうそう、それそれ」
2011-12-21 : 昭和ガール : コメント : 0 :

片思い・その1『左足』

20111211miyu001_edited-2.jpg
2011.12.11.72th写真塾にて/model*ミユ

 僕はフィルムをケチる。最初の一枚が半分しか撮れないとわかっているのに、もう1こま送ってから最初のシャッターを押す事をためらってしまう。しかし、それが僕の本質なんだと思う。僕は最初の一枚をフルサイズで撮っているつもりでフレーミングしている。本当は撮れているはずの半分が欠落している写真はいつも僕を落胆させるけれど、次の瞬間、あとの半分はどうなっていたのだろうかと想像する楽しみが生まれている。

         ☆

「何をお聞きになっているのですか?」
「内緒だよ」
「是非教えて頂けませんか」
「いいよ。いつもの通り、フレンチスーツの2番」
「そうですか」
「僕はミーハーだから、グールド盤だよ」
「・・・」

 晩秋のイチョウの樹の下は落葉でまっ黄色。ミユはサクサク音をたててヒールを運ぶ。

「クリスマスが近いから?」
「いいえ、そういうつもりではありません」
「そうだね、ヒールは赤ではなく黒いしね」
     


         ☆ 



2011-12-20 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『川魚漁師の教え』

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2011.7.3*写真塾にて*model*アズサ

アズサは昭和ガールだ。そして夏が似合っている。待てよ、アズサの冬はどうなんだ。寒さの中でアズサを撮らなくちゃ。

          ☆

 少年の頃、漁師に憧れていた時期があった。僕の故郷には海はない。だから憧れたのは川魚漁師で、彼は釣り竿も疑似餌も手作りだった。漁師は夕方川に現れて一時間ほどで100匹も釣ることがある。釣った魚は自分で串刺しにして何度も炙って薫製にするのだ。
 母は行商に来た漁師から、川魚の串刺しを買って、七輪で炙り直し溜まり醤油をかけて僕に食べさせてくれた。あの香ばしい味が忘れられない。
 さて、その漁師は道具から獲物まですべて自然から調達したものでまかなっているように見えた。僕はそのことにえも言えぬ感動を憶えたのだった。どうして、そんな生き方ができるのだろう。僕の家は家具屋で売り物の家具は遠くの町から仕入れて販売していた。どうして自分ところで家具を作って売らないのだろうか。近所の店を見渡すと、やはり菓子屋は駄菓子を、洋服屋はスカートやズボンを仕入れて販売しているのだった。饅頭屋にしたって、自分の家で作ってはいたが、材料は仕入れている。僕はそのやり方が不満だったし、ますます漁師の生き方が眩しく見えたのだった。

 僕がプロカメラマンになった時、ポートレートにはそれに必要かつ適した機材が必要で、ファッション写真には欠かせない機材があった。僕は次々に撮影スタイルに適した機材を買い使い方を学ばなくてはならなかった。僕は、プロカメラマンとは自前で勝負する部分のなんと少ない職業だろうと思った。

 今の僕、つまり作品を撮っている写真家としての僕だって、自分でまかなっているものは殆どないのが悲しい。たわ言のように思われるだろうが、僕はあの川魚漁師の崇高な生き方を尊敬しながら写真に向かい合いたいと思っている。



□『どれを選ぶ?・8』の締切は明日12/11です。今回は正解者全員にサイン入り作品(ポストカードサイズ)をプレゼントする。皆さんのコメントを待っています。
2011-12-10 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『ララバイ』model*nana



2011.11.30.model*nana

 nanaは悩ましい顔をしていた。だけど苦しみが深いほどいずれいい女になるのさ、と僕は少し気取って、nanaの将来のためにこの写真を撮った。後になって「私こんなに切羽詰まった顔して、可笑しいなあ」などと言ってnanaがこの瞬間を懐かしく思ってくれたら嬉しい。
 本当は何も悩んではいないのかもしれない。心情的なもの、例えば『マドンナのララバイ』の歌詞に出て来る男を支える女の生き方に心を打たれていただけだったりして。

「nanaは確かに昭和ガールだね」
「そうかしら」
「付け加えれば、美しい」
「それはともかく、今日私は確かに癒されたわ」




2011-12-06 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『昭和の恋・その2』+『中途半端な女のススメ(1)』



『中途半端な女のススメ(1)』

 僕の個展に来て「オマエ、良くもまあこんな中途半端な女を集めたなあ」という名言を吐いたのは、僕の夏の師匠である式根島の西村勝実という男だ。言われてみるとなんとも的を得ている。
 ここで補足が必要だ。『中途半端な女』は当然のこと女性賛辞である。例えれば女優の大地喜和子みたいな女のことを言うのである。完璧な美人とは言えないが、他に似た女優を探しにくく、やっぱり太地喜和子は世界中でたった一人しかいないと知る。僕の世界でも、女性たちは世界でたった一人しかいないという位置づけであり、それによって彼女たちにしか表現できない作品になる。
 街を歩くと美しい女性がたくさんいる。しかし、作品になるような中途半端さが薄い。ファッションや化粧やライフスタイルなどの情報に追われ、かえって没個性となっているからである。そういう見てくれだけの女を持ち上げる男にも問題があると考えている。もちろん、僕も問題児の一人でないかと怯える時がある。
 このブログをお読みになった女性のうち、自分は中途半端だと思う方はすぐにモデルに応募してください。また、自分は磨きのかかった良い女だと自負する方は、どうか中途半端さを取り戻すために、僕のモデルになることをお薦めします。


『昭和の恋・その2』2011.11.25..model*ようこ
 ようこは『中途半端な女』の結論のような女。まさしく中途半端。しかも太地喜和子に似ている。顔?どことなく似ているが、それだけじゃない、口調や振る舞いも似ている。ようこに似ていると言うと、嫌がりながらさらに太地喜和子になっていた。「勘九郎さんたら、嫌だあ~、今度会ったら許さないから」などと言う太地喜和子を想像してください。
 この写真は、服をまくり乳房を出したところを撮ったあと、服を元にもどしているところ。脱ぐ時と着る時は違うんだなあ、と思って撮っていた。

「ようこちゃん、本当にいいね」
「どんなところが?」
「中途半端なところ」
「失礼ねえ」
2011-12-05 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『ララバイ』model*nana・・・2011.11.30

 nanaと多摩川の土手を並んで歩いた。午後三時の太陽の位置はもうケヤキのすぐ上まで来ていて夕方みたいだった。僕はnanaの顔を半逆光で見ていて、ルージュを濃いめに塗った唇はギラギラ光っていた。こんなに艶かしい唇を見たのは間違いなくあの時以来だった。あの時とは、僕が東京に出て来た1974年5月の土曜日の夜で、下落合のアパートで見たあの女の唇のことだ。

「例えば僕たち二人がカフェにいるとしよう。nanaならどうする?」
「そうね、まずロールケーキとナッツの載ったチョコレートケーキを一つずつ注文して、それを二人でシェアし合って食べるわ」
「そんなバカな。だって僕たちは他人で、しかも初対面だよ」
「わかっています。それでも私はそうするわ」

 nanaの口調は矢継ぎ早で、態度も目まぐるしい。しかし、その言動の中に相手を思いやる優しさがあった。
 僕はnanaを土手の上の草むらに座らせた。僕の位置からはやはり逆光で、真っ赤なルージュはきっちり太陽の光を僕の方に反射していた。nanaは肩がすっかり出てしまうほどルーズなベージュ色のセーターとチェックのセミロングスカート姿で、保守的な女性が恋人にクリスマスプレゼントをせがむ時の服装だった。nanaが座ると太腿の奥まで見えた。その足は意外なほど細くて白く、赤いルージュとコラボしていい女だと主張していた。

「nana、乳首のサイズを教えてくれないだろうか」
「どうして?」
「nanaの唇の艶かしさとの因果関係を知りたくて」
「案外うぶかも知れないわ」

 僕はカメラを構えた。nanaは緊張している様子もなくただ川を見つめていた。ファインダーを覗くと、最初にキラキラ光る唇とセーターから露出した肩が目に入った。次にスカートの中が見えた。真っ白い足。そしてその奥も。

「シャッターを押すよ」
「私はどうしたら良い?」
「nanaは三分だけ制止してごらん]
「わかったわ」
「心の中で歌を口ずさむのもいい」
「じゃあ、マドンナたちのララバイを歌うね」

 僕は胸騒ぎがした。

□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
□マドンナたちのララバイ→YouTube
2011-12-01 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『昭和の恋・その2』model*ようこ


 ようこと再会したのは、以前撮影したときと同じ武蔵野の雑木林だ。今日のようこの服装はタートルの白いニットと黒いタイトスカートで、それは中学の教師のような服を着て欲しいと言った僕の望みどおりだった。薄手のニットの下に黒い刺繍入りのブラジャーが透けて見えていた。
 実は、昨日観た映画のせいで僕の心の中のエロスは少しささくれていた。そのせいか、僕のようこへの要求はいつもより少しきつかったかもしれない。

「ニットを上げてください」
「あ、はい」とようこは素直な声で答えると、ニットをたくし上げブラを見せた。
「今日はあなたの乳房を撮ります」
「・・・」
「ブラジャーを下げてください」
「あ、ええ、」ようこは黙って少女のようにうぶな乳首を見せた。

□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。ただし、ネットで大丈夫なカットになりますが・・・
2011-11-25 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『君を襲う自転車』



2011.11.12*model*たま子(67th写真塾)
2011-11-25 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『君はミステリアス』model*ジェマ・・・2011.11.15


2011.11.15*model*ジェマ



 僕とジェマは不思議な世界に迷い込んで抜け出せないでいる。もうその世界から戻れないのなら、いっそのこともう少しジェマのことを知りたいと思った。それは、おおむね僕がこれまで撮って来た手法の逆。僕は写真を撮るとき、モデルのことをあまり深く知らない方が良いと考えている。カメラを向ければおのずと彼女の内面が映るからだ。でも、僕はジェマのことをもっと知りたいと思う。

「ジェマにお願いがあるんだ」
「先生のおっしゃることなら、」
「ジェマのお母さんの服を着て欲しい」
「どうしてですか?」
「僕はジェマに興味がある。だからルーツを知りたいんだ。僕はジェマのお母さんが少女時代に着ていた服を君が身につけているところを想像した。そしたら、レトロな昭和ガールになったジェマが観えた」
「あ~、なるほど、やってみます」
「どんな服を選べば良いでしょうか。実は母はとても衣装持ちです」
「お母さんが少女時代に着たキュートな服。例えばミニスカだったら嬉しい」
「探してみます・・・」

□ジェマの次回作『君はミステリアス2』をお楽しみに。。。
2011-11-23 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『昭和の恋』model*ようこ・・・2011.11.09


2011.11.9*model*ようこ

 現像済みのフィルムが手元にある。それを見ても、あの日のことは本当のことだったのだろうか、と思う。ようこが語ってくれた恋のことはほとんど忘れてしまったけれど、恋への憧れは残った。その憧れは、僕の少年時代の青々とした恋につながっている。写真を見て、ようこは昭和っぽくて哀愁のある素敵な女の子だなあ、と改めて思った。
2011-11-19 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『君はミステリアス』model*ジェマ・・・2011.11.15

 ジェマの顔は端正で美しく個性もある。手入れの行き届いたロングヘアーと洒落た服の着こなしはファッショナブルで見た目抜群、男なら連れて歩きたいと思う麗しさ。女子にとって、それ以上に何が必要なのだろうかとさえ思ってしまう。
 ジェマはエキゾチックで派手な風貌に似合わず、古い日本映画や昭和歌謡にマニアックに傾倒したり、地味な世界を好んだりするところがある。その地味な世界には、僕の写真も含まれている。

「初めまして。よろしくお願いします」とはにかみの入った声で言いながら深くお辞儀をした。その姿には親しみが込められていた。
「あれ?君、そういうキャラだったのかぁ」
「ええ、見た目と違うと言われることがあります」
「あははは、、」僕はジェマの裏切りが愉快だった。

 ジェマの礼儀正しさにちょっと驚いた。そして、僕とジェマの距離が普通の女の子と違うことにも違和感があった。いつもの僕だったら、初対面の女の子に対して、最初にエロスの糸口をつかもうとする。ところが今日は妙な親近感があって、僕の五感に冴えがなかった。ジェマも僕に何か違和感を感じていたみたいだった。

 僕たちは大きな公園の中で一番秋らしさを奏でている場所にいた。ジェマの服は、ポロの選手みたいで、乗馬風とも言えるかな、つまりパンツルックで外国のファッション誌から抜け出して来た女の子のようだ。もちろんそれを撮ったカメラマンはリチャード・アヴェドン。
 僕はパンツルックの女の子を撮った記憶がほとんどない。二十年も女の子を撮っているのに。ジェマがその服装で来ることを許したのは紛れもなく僕だった。スカートを着て来ることは僕の世界では必須だし、もしパンツルックならいずれ撮影中に脱ぐことになるのだが、ジェマにその予定はない。

「さあ、ジェマちゃん、あれをやってごらん!」
「あっ、はい」
 
 ジェマは安西マリアの『涙の太陽』の歌い始めの振りを始めた。『ギラギラ太陽が燃えるように・・・』僕は鼻歌を歌いながらシャッターを押した。リチャード・アヴェドンになりきって「ファンタスティック!ビューティフル!」と言いながら。僕は不思議な世界に引きずり込まれて行くのを感じていた。ジェマって、一体何者なんだ?
 いよいよ撮影が終わって、僕たちはお互いの心の中に抱えている違和感について白状する時がきた。

「僕がジェマに思うこと・・・」
「私が先生に感じること・・・」
「じゃあ、同時にそれを言おうか」
「はい」
「いっせーのせ~」
「私の○○にそっくり」
「僕の○○そのものだ」

 僕たちは誰かがいたずら書きした物語の中で彷徨う二人の主人公。ストーリーはまるで韓流や東野圭吾さながら。違うところは、まだ死人が出ていないところぐらいだろう。

「これは現実?夢?不思議だなあ~」
「そうだね。確かにね」
「ああ、こんなことがあるなんて・・・」
「でもね、僕は不思議な偶然より、ジェマという女の子そのものの方がミステリアスだと思うよ」
「・・・」

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2011-11-16 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『白鳥』model*かりがねさん・・・2011.11.7



かりがねさんでなければこの作品は撮れない。
理由ははっきりしないのだが・・・。
人々の中でうごめく複雑な想いをあっさりと言い放つ思い切りが彼女にはある。
雑草と雑草の影がつくる複雑な模様を自分のための織物のようにしてしまう美しい足。
恥じらいを捨てストッキングを下げる。
その姿に対して感謝すらしないで僕はシャッターを切る。
そしてその時の僕のやや冷酷な感情が写真に残される。

□かりがねさん、ありがとう。
2011-11-12 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『昭和の恋』model*ようこ・・・2011.11.09

 僕とようこは初対面だったけれど自然に挨拶を交わした。それはようこの満面の笑顔が僕の緊張をほぐしたからだ。僕たちは今、薄日が差し込む晩秋の雑木林の一角で撮影を始めようとしているところだ。

「私、昭和と呼ばれていた頃があります」
「なるほど、ようこさんは昭和の香がします」
「恋はどうですか?」
「ええ、たくさんしました」
「どんな恋?」
「ある恋の場合は・・・」

 僕はわずかな恋しさを持て余していた。はっきり恋と言えるような明らかなものではなく、古い恋のかけらのようなものが僕の視界にちらついていた。その恋しい気持ちがようこに向いてしまうのが怖かった。
 ようこはブラジャーをしていない。僕が望んだからだ。少女のようなうぶな乳首がブラウスの下にかすかに見えていた。それを見て、恋しさはやや薄れ昭和のエロスが心の中に満ちてきた。

「ボタンを外してください」
「はい」
「もうひとつ」
「あ、はい」

 ようこの乳房は茶碗の大きさで真っ白だった。僕は「美しい!」と何度も言って、その度にシャッターを押した。ようこは平成生まれだけど、とてもチャーミングで情のある昭和ガールだった。

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2011-11-09 : 昭和ガール : コメント : 0 :

昭和ガール『白鳥』model*かりがねさん・・・2011.11.7

 かりがねさんと会ったのは、個展の会場だった。そのときの彼女は暗い印象だった。今日のかりがねさんの服は真っ黒で、さらに暗さが際立っていた。

「どうして、かりがね?」
「私は秋が好きなんです」
「それと、かりがねとはどんな関係があるのですか」
「雁金(かりがね)は秋の季語ですから」

 かりがねさんを地べたに座らせた。
「あの、無理を言って申し訳ありません。ストッキングを膝下まで下げて頂けないでしょうか」
「どうして?」
「ええ、たった今、そうして欲しいと思ったのです。俳句とのコントラストには露骨なポーズが似合うからです」
「そうかしら。でも、いいわ。脱ぐわ」

 かりがねさんは、品の良いミドルだ。実直で教養もある。でも、そんな女性にこそ不謹慎な写真が似合う。ストッキングを下げたかりがねさんは白くて華奢で中学生みたいな太腿を根元まで見せて、秋の低い陽射しが作った雑草の影の複雑な模様の中にきっちりと収まった。僕はこの写真の意味を考えながらシャッターを押した。
 撮影が終わると僕とかりがねさんは川べりの道をトボトボと引き返した。

「かりがねさんは教養がお有りですね」
「私にあるかどうかは分かりませんが、好きなことを続けていれば教養は身に付くものではないでしょうか」
「教養が身に付くかどうかは素質だと考えています。付け加えておきますが、僕の言う教養は主に人柄なんです」
「それは面白いわ」

「かりがねさん、あの鳥を見て!」
「あっ!」
 真っ白い鳥が二羽飛んで来た。その後をV字編隊で十羽ほど飛んで来た。
「鷺ではないですね。それよりもっと大型の鳥ですね」
「あれは、白鳥です。渡りでしょうか」かりがねさんの静かに確信を持って言った姿が鮮やかで、暗い印象だったかりがねさんが白鳥に見えて来た。

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2011-11-07 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『タクトのえくぼ』


2011.10.23/西荻窪にて/model*タクト

「えくぼ、いいねえ」
「あ、そうですか」
「今度、僕の塾のモデルをやらない?」
「でも、忙しくて・・・」

■第2回グループ展へ参加ご希望の方は連絡ください。11/10(木)に一旦締切らせて頂きます。その後はキャンセル待ちとなります。
2011-11-03 : 昭和ガール : コメント : 0 :

別カット


『帽子について』2011.10.25/model*田中里枝


『秋は裸足で』2011.10.25/model*田中里枝
2011-10-31 : 昭和ガール : コメント : 0 :
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プロフィール

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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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