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『萌の詩』・・・作品




2013.6.27 model*萌

 萌から送られて来たメールは3ヶ月半のあいだ迷惑メールボックスの中にあった。メールにはバストショットと全身の2枚の写真が添付されていた他には、18才、高校生、特技や趣味は料理と洋服のリメイク、とだけ書かれてあった。

                ⁂

「頂いたメールが迷惑メールとして処理されているのを先ほど見つけました。本当にごめんなさい。もし、まだモデルにご興味がありましたらお返事ください」
「こんにちは、お返事ありがとうございます。是非、よろしくお願いします」

                ⁂

 メールの中の萌は正直だった。はぐらかしたくなるような質問にも告白さながらに応えた。質問のたびに返ってくる萌の告白を読むのが楽しみだった。ついに、今日撮影をすることになった。迷惑ボックスの中の萌を発見した日からわずか五日しかたっていない。

 駅で萌と会った。季節はずれの赤い長袖のカーディガンを着ていた。それから、いろいろあって・・・、最終的に郊外の公園へやってきた。空は青く雲は白い。まるで真夏みたいだった。草むらに萌を座らせて、ノートとボールペンを渡し「詩を書いてください」と言うと、彼女はそれに従い黙々とノートに向かった。

 萌は静寂を作り出すことができる。喋らないこと、何も気を遣わせないこと、そこには静寂があった。現代人というものは、常時何らかのコミュニケーションを必要としていて、それが僕には騒がしく感じる時がある。しかし、萌にはそれがない。静寂の中で詩を書く乙女の乱れたスカートとブラウス。その姿にエロスを感じた。

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□個展では別カットを掲載する可能性があります。。








2013-07-07 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『ホタル』・・・撮影報告

2013.6.25 model*たま子


              †

 午後のにわか雨は予報に反して強く降った。僕たちが歩いている未舗装の道にはあちこちに水たまりができていた。たま子はかかとの低いシャレた空色の靴を濡らさないように蛇行して歩いた。東屋へ辿りつき二人並んで座った。時計見ると5時55分だった。「十分後に撮影をはじめよう」と言ったのは僕が少し息を整えたかったからと、もう少し暗くなるのを待つためだっだ。
 たま子に撮影の準備をするように言うと、たっぷりした薄い上着の袖を脱いで肩掛けにした。最初に地味な色合いの花柄の夏のロングワンピースの上着部分を腰まで下げて、タンクトップを脱ぎブラジャーを外した。僕はカバンから虫除けスプレーを出し、たま子の上着を開いて乳房に吹きかけた。
 陽が西の雲に隠れるとあたりの明るさが静かに落ちはじめた。湿った冷たい風が吹き抜けて行った瞬間に僕の心の中をよぎったのは、ホタルだった。少年時代、夏が来る前の湿った時期に僕の家の回りをホタルが飛んでいた。

 僕とたま子は川沿いに立っているモチ科の大木の下に移った。その場所は、ちょうどたま子の身体を覆うように葉っぱが垂れていた。僕が合図すると、たま子は上着を脱ぎ捨てた。シャッターを押す度にストロボが光ると、たま子の幼い乳首がホタルの光にように見えたのだった。

              †
              †
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□タイトルを『梅雨の思い出』から『ホタル』に変更しました。。。



2013-06-26 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『野草』・・・作品




2013.6.9 model*みや

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 この子と出会ったのは去年の今頃だった。ミニスカートからあふれんばかりの真っ白い太ももが眼をひき、まだ恋の経験など浅そうな直線的な眼差しと健康な青年を待つ柔らかい潔白な唇が印象的だった。地面に密かに咲いた野草の花を見つけた時のように、僕はこの子をそっとしておこうと思った。

 この子の美しさを言葉にすると危うさが生まれる。無理をせず、伝えようとせず、そっとしておけば良い。それがお互いの幸せにつながっていることはわかる。でも、彼女の美しさに触れないでいると、言葉はどんどん胸の内に溜まって別の意味を持ちそうになる。思い切って「君、美しいね」と言って手を差し伸べた瞬間に、止めておけば良かったと後悔がやってきた。そして、もう後戻りはできない。

 野に咲く野草は健やかである。それほど目立つことはなく、ひっそりと季節を彩っている。ある詩によると野草は、『手折られた時から型を失ひ決してもとのすがたをとどめない』ものらしい。美しさとは何と排他的だろう。

 この子を大木の下の草むらに寝かせると、梅雨の中休みに照らす蒸れた光が彼女の全身を刺した。ミニスカートから溢れた太ももにできた葉影の模様が僕の心をざわつかせた。僕は、右手に虫眼鏡を握らせ左手で服の胸元を下げるように言った。このポーズの理由は遠い少年時代の思い出の中にある。

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□この作品は2013.6.9に開催した127th写真塾にて撮影させて頂きました。。
□第3回グループ展が開催されます。
3rdGDM.gif





2013-06-16 : ファンタジー2013 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

『地球儀とセーラー服の物語』・・・作品


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2013.6.6 model*ジェマ

                ⁂

 今日の鎌倉は梅雨の中休みで海の匂いが溶け込んだ湿った風が南から吹いている。浜に出ると海の家の立付けが一斉に始まっていた。僕は1977年梅雨の伊豆七島・式根島のことを思い出していた。僕と去年死んだノブはその年の6月に島へ渡り小さな自動車整備工場の敷地にディスコとビアガーデンを作り始めた。7月後半、ついに完成したころ東京からたくさんの女の子が島へ遊びにやってきた。僕たちは女の子たちと遊んだ。しかし、いくら遊んでも何か満たされなかったばかりか、そばに女の子がいるだけで傷つくことさえあった。その頃の僕は、ただ清純な女の子と風のように爽やかなキスをしたいだけだった。

                ⁂

 女の子は夏のセーラー服を品良く着こなしている。そのセーラー服は、灰色の襟に紺色の二本線が入り、シルバーグレーのリボンを胸元の布の通しにくぐらせている。スカートは車24ヒダで紺色だった。セーラーにありがちな、紺色の襟に白い三本線の定番ではなく、質素で厳かな感じがした。このセーラー服が似合う子はそうはいない。しかし、この女の子が着ると自然に美しく、まるで彼女のために特別にデザインされたプレタポルテのようだった。そして、美しい女子高生は地球儀を手にしていた。

 地球儀は傷ついていた。地図の部分が剥がれ落ちもはや日本さえも存在していない。だけど、地球儀は今この浜辺に立っている。そう、地球儀は僕である。

                ⁂

 僕と女の子は砂浜にゴザを敷いて並んで座った。二人とも同じ言葉が堂々巡りしていた。海を見ながら流れる僕と彼女の思惑の違うその時間がとても幸福だった。もし、彼女ともっと心を通わせることができたなら、そして僕がコンプレックスを持たない17才の少年だとしたら、海を背に彼女に風のように爽やかにキスをするのだが・・・。


 波がゴザの前まで寄せて来たとき僕たちは立ち上がり握手をして、海に、そしてお互いに、さよならを告げた。

 

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□7月開催の個展では別カットを展示する可能性があります。
25th個展DM裏-写真面



2013-06-15 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『僕のメルヘン』・・・作品





2013.5.2 model*たま子

               †

 毎年五月五日に、僕が生まれた町では『日本童話祭』がおこなわれていた。町中の人がこの祭にたずさわり、子供たちも何らかの役割のためにかり出された。しかし、僕は役割から逃れ、屋根にのぼり瓦の上に干した布団の上で日光を浴びながら少女について妄想していた。その時、僕の身体の中ではメルヘンとエロスは撹拌され混じり合っていたのだ。

 僕の家に柱時計があった。十五年前に友人にプレゼントされたもので、時計の文字盤にはメルヘン調の装飾が施されていて、人間はメルヘン的に生きることが幸福だ、と言いたげな造りであった。その時計が突然壁から落下しこなごなに壊れた。

               †

 今日は五月晴れである。処女のたま子を、例の銀行の支店長家族が住んでいた洋館の中庭に似た場所に座らせ、たま子の股間にこなごなに壊れたメルヘン調の柱時計を置いた。それは、日本童話祭の日に屋根の上で起こったメルヘンとエロスの混在だった。僕は彼女と向き合ってカメラを構え直射日光を浴びた彼女の丸い乳房をじっと眺めていた。

               †
              †††
               †


□個展では別カットを展示予定。
□その日本童話祭だが、この小さな町だけが盛り上がっているにすぎないことがずっと後に東京から祭りを眺めてわかった。僕はその虚しい事実を知ってから、むしろ小さな町ができうる最大の営みの尊さを知り、何の手伝いもしなかった自分を恥じた。





2013-06-01 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『Drive My Car』・・・作品





2013.5.15 model*濱 未亜


「ロックが好きだと言っていたね」
「ロックというか、ビートルズとかも好き」
「どんな曲?」
「Drive My Carが好き」

                ⁂

 Drive My Carは、ビートルズのアルバム、ラバー・ソウルの冒頭に納められた曲で、成功を語る女のことを歌っている。この次の曲があのNorwegian Wood、ノルウェイの森という名曲だ。Drive My Carが今日の撮影をいつもとやや違うものにしたことは確かだ。

 僕は、まず女と駅で会い、バス停の前にある露天の花屋でバラ科の薄い色の花を一輪買った。車に乗って小さな森のある場所まで行き女を撮った。ほぼ、いつもの撮影と同じだ。しかし、別れるころには女と不思議な関係になった。ふたりの間に信頼が生まれていたのだ。実は、会う前までは女をかなり遠い存在に感じていたから、かなりの驚きだった。

 女は未亜(みあ)という。未亜は身長174センチ。僕にとって森の樹に等しい。肌は白く美しい。上唇はキュートで下唇は厚くセクシー。瞳は黒い。手脚は細くて長い。そして話し方はゆっくりだった。

 未亜はピンクと若草色の絵の具を使って乱暴に描かれた不思議な柄のワンピースを着ていた。僕がカメラを向けてメールでの約束を催促すると、ノーブラの未亜は大きくVの字に開いた胸元からさらりと乳房を見せた。乳房は小ぶりだが動物的で不思議な魅力があった。

 駅で見送ったあと、去って行く女の細くて森の樹のような後ろ姿を見てとても美しいと思った。今度は裸の後ろ姿を撮らせてもらおう。未亜は一言では説明のしにくい独特な魅力のある女だった。

                 ⁂





□熟考の末、胸が露出したカットのブログでの公開は見送りました。


 




 
2013-05-23 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『五月の美乃里』・・・作品




2013.5.8 model*美乃里

              ⁂

 美乃里を魅力的に見せているのは、宗教画にさえなりそうな非の打ちどころのない美しい躰と、礼儀をわきまえた言葉と態度である。しかし、それらの組合せが醸し出す妖艶さに僕は少し気後れを感じていた。

 これから武蔵野の一画で美乃里の写真を撮るところ。胸元が大きく開いている以外は比較的地味な装いの美乃里は、小木の脇で僕が目隠しに持った布の筒の中で、白地に丸く黒い模様がプリントされたスリップドレスに着替えた。すると途端に美乃里は弾け、小悪魔的な美しさを発散し始めた。

 僕がカメラを構えると、美乃里は草むらに寝そべって下着を脱ぎ、スカートの裾を持ち上げ脚を開いた。次にその場に立ち上がり、スカートの裾を首まで持ち上げて股間と乳房を同時に見せたのだった。「何てイイ女なんだろう」美乃里はそんなストレートな言葉を容赦なく男に使わせるしたたかな女だ。

 撮影が終わったとき、虚ろになった僕はしばらくのあいだ空を見上げた。ついに我にかえったとき、僕は美乃里の虜になったことに気づいた。

              ⁂




□ブログにはこの作品をアップしましたが、7月の個展では別カットを展示します。是非、ご来場ください。






2013-05-17 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『生娘の拘束』・・・作品





2013.5.2 model*たま子


               †

 一面にばら蒔かれた白い金平糖を囮に少女を拘束する、というようなことを妄想すると眼の前の風景は東ヨーロッパの村のような気がした。その時、雑木林を霧のように流れてくる音楽は、例えばハーメルンの笛吹き男を題材にした少年少女の清らかなアカペラの合唱曲が良い。

 白い金平糖に見えたのは白雲木(はくうんぼく)の夥しい数の白い花が一気に散ったものだった。白雲木は、五月に白い小さな花を鈴なりに咲かせる小高木で、五裂した花冠は何らかの閉鎖を意味するかのような清潔感があった。つまり、それは生娘を意味しているようだと思った。

 地面にこけし人形のように愛らしいたま子を寝かせて手錠をかけた。僕は傍らに立ってたま子の躰を俯瞰した。何か物足りなかった。僕は彼女に下着を脱いで欲しいと言った。白雲木の大きめの葉が作る木漏れ日は、たま子の脚の着け根の黒い部分と白い金平糖を美しく揺らした。

               †



□ブログにはこの作品をアップしましたが、7月の個展では別カットを展示します。是非、ご来場ください。



2013-05-12 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『洋館少女の思い出』・・・作品




2013.4.18 たま子


            ⁂

 散ってしまった桜の花びらを追って最後のガクを落とした枝には新緑の芽吹きが見えている。薄ピンク色の吹雪が通りすぎたあとの穏やかなこのひとときが一年で一番美しい。

 少し歩いてみた。そよ風はあくまでも優しく亡き母のいたずらのように吹いていた。太陽の光はあらゆるものに反射して若い娘の皮膚の輝きを僕の眼に運んできた。風と光は僕の隣を歩くたま子を包みこんでいる。たま子は僕にとって何ものでもない、しかし僕の脇を歩くことがもはや何ら不思議ではないと言える、そういう奇跡が起きうる季節だった。

            ⁂

 ある場所にさしかかったとき、懐かしさで全身の皮膚がすくんだ。風の向うから、新緑の葉の輝きの向うから、オルガンの音が聞こえてくるような気がした。ああ、あの少女が弾いている、僕はそう思った。

 少女というのは、僕が小学生の頃、商店街の裏手の雑木林の中にひっそりとあった家に住んでいた僕より幾つか年上の女の子のことだ。彼女の父親は町にひとつしかない銀行の支店長をしていた。支店長以外の行員はみんな町内の者だったが支店長だけは都会から数年に一度赴任してきて、この雑木林の中の洋館に家族と住んだ。僕は時々洋館の中庭に忍び込んだ。もちろん、少女に興味があったからで、何度か少女と眼を交わすことがあった。ただ、それだけだった。

 ある日、小学校に行くと僕のクラスに転校生がいた。転校生は男の子で絵が上手だった。彼の上手すぎる絵を見て僕は絵を描くことから遠ざかった。彼は銀行の支店長の息子だった。つまり、洋館の少女はもういない。

             ⁂
 
 僕は懐かしい思い出の中にいたままカメラを構えた。たま子は生成り風のノースリーブのワンピースを着ていて、髪はいつものように三つ編でお下げ。ちょうど、あの少女と同じだった。僕たちが立ち止まった一画は低い樹に囲まれ、あの洋館の裏庭に似ていた。僕はあの時、少女に伝えられるはずもなかった心の叫びをたま子に向けた。

「左の乳首を見せてください」
「・・・」
「右の乳首を見せてください」
「・・・」
「スカートを上げてください」
「・・・」
「後ろを向いてスカートを上げてください」
「・・・」
「下着を脱いでください」
「・・・」
「そして、スカートを上げてください」
「え?」
「黙って言うことをきいてください」
「・・・」


             ⁂
             ⁂ 
             ⁂


□とりあえずこの写真をアップしましたが、本作品は7月の個展で展示します。






2013-04-29 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『緋寒桜の散る道ばた』・・・2013.3.29〜その一(作品)




2013.3.29 model*たま子



             ⁂

 小道を歩いていると僕たちの行く前方の草むらと道ばたに股がって直径五メートルほどの赤い輪が見えてきた。さらに近づくと赤い輪は夥しい数の小さな緋色の花の集合で、それらの花は輪の脇に立っている高さ数メートルの緋寒桜の樹から落ちたものだった。

 緋寒桜の花の形は釣鐘状で花弁は開かないから普通の桜の花のように花びらをバラバラにまき散らすことはない。真っすぐに道ばたに落ちたその花は、うぶで赤くて、処女の乳首が容赦なく望まぬ刺激を受けた結果の色づきのようだった。

 たま子を緋色の輪の中にしゃがませた。やや斜めから彼女を俯瞰すると緋色のじゅうたんの中に処女を閉じ込めたような快感があった。

 たま子は周囲を見回し誰もいないことを確認し、そっと乳房を見せた。緋色の花びらと乳首を比較した。たま子のは、薄くてソメイヨシノの色をしていた。僕はたま子の乳首を緋色にしてやりたいと思った。

             ⁂




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2013-04-11 : ファンタジー2013 : コメント : 2 :

『桜と美乃里』・・・作品



2013.3.30 model*美乃里

             ⁂

 川べりへやってきた。土手の桜は満開のまま散らずに留まっている。空はどんよりとして曇の灰色と桜の薄い桃色が混濁して寒々しい。

 半年ぶりに会う美乃里は見違えるほど美しくなっていた。磨かれたと言った方が良いかもしれない。大人を感じさせるフェミニンな服のせいだけではないことは確かだった。今日の美乃里は春に相応しい薄手のワンピースを着ているがこの気温では寒いに違いない。暖かかった数日前に僕が要求した服を、思わぬ低温になっても予定どおり着てくれたことが嬉しかった。僕は美乃里に「あなたにはある種の美が備わっている」と言った。しかし、何度言っても彼女に今ひとつ伝わらないもどかしさがあった。僕の褒め言葉を執拗に否定する美乃里の態度の意味は何だろう、、ただの謙虚さなのか、それとも魔性を隠すためなのか、などと詮索することも歓びだった。
 
 美乃里は僕が地面に敷いたシートを丁重に拒むと、濡れた草むらに直接座った。この行為の意味は、今日の撮影に対して真摯にモデルを努める気持ちの現れだろう。そして僕は何となく美乃里に主導権を握られたような気がしたが、それも歓びに感じていた。

 やがて美乃里はワンピースの前をルーズに開いた。乳房は白く美しかった。初めて見たとき以上にそう思った。僕は用意した手錠をカバンから取り出し美乃里の両手首にかけ拘束した。これで美乃里はもう逃げられない、観念して僕に従うよりないだろう。

 僕は満開の桜の下で拘束した美乃里を撮る歓びに浸るのが怖かった。


             ⁂




□なお、乳房を見せた作品は7月の個展で展示します。
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2013-04-08 : ファンタジー2013 : コメント : 2 :

『姫踊り子草の群生』・・・2013.3.29〜その三




2013.3.29 model*たま子

            ⁂

 姫踊り子草が地表に出て来る頃、人びとは冬に比べるとあきらかに目線を上にして桜や春の空をみる。僕は下を向いて歩く。すると青く小さなオオイヌノフグリや紫ダイコンの花を見つける。さらに歩いて姫踊り子草の群生を見つけたら、その脇の草むらに座って彼女を拘束することを考える。

 少し不気味な風貌をした姫踊り子草の群生は女の子を拘束するのにふさわしい。


            ⁂
            ⁂
            ⁂



□『緋寒桜の散る道ばた』と『桜の小木と生娘のつぼみ』の二作を撮影したのと同日に撮影した作品ですが、こちらを先にアップしました。前述の二作も追ってアップいたします。






2013-04-07 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『桜と女子中学生の悲劇』

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女子中学生=2013.3.9 渋谷ハチ公交差点にて
桜=2013.3.24 野川公園にて

           †

 僕はこの季節の悲劇を知っている。

           †
          † †
           †


□ここでの「悲劇」は僕の中学時代のイメージに基づいている。桜の季節のどうしようもない心のざわめき。今も少女(少年)たちは僕と同じ体験をしているのかもしれない。
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2013-04-02 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『桜の小木と生娘のつぼみ』・・・2013.3.29〜その二


2013.3.29 model*たま子



             ⁂

 見事に咲いた桜並木を選ばず、ひっそりと線路脇に立っている樹齢の若いソメイヨシノをめがけて歩み寄った。近づくと枝はたま子の顔より低い場所にもあって、満開だが桜の花で視界が遮られるというほどに花は密集していなかった。その頼りない満開は清純な感じがして、人間に例えるなら生娘のようだった。
 ふたたび、たま子は乳房を出した。やはり美しかった。それは処女の乳房だった。

             ⁂

 戦前の小説の中に書かれたある部分を読んで驚かされる。それは、乳房について書いた複数の小説家の文章で、そこには、娘は処女の乳房だった、と断言しているのだ。そこに僕は驚きと共感を感じる。
 眼の前のたま子の胸へと視線をやると、丸い乳房とその中央に小高く盛あがった薄い色のつぼみがあって、それを見た時、まさにたま子が処女だと思った。僕は生娘のつぼみを口に含んでしまいたい衝動にかられながら繰返しシャッターを押したのだった。


             ⁂


□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。。。


2013-03-31 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『人形の家』・・・作品(仮)




2013.3.6 model*たま子

□乳房を見せたベストショットはブログでは発表できません。

            †

『この作品は偉大なるヘルムート・ニュートンがナターシャ・キンスキーをモデルに撮影した写真に触発されたもので、おこがましくもニュートンへのオマージュのつもりである。』

            †

 僕が少年だったころ僕のベッドの上にはいつも人形が置かれていた。その人形はフランス人形だったりプードルだったりした。母は家の中に人形があることで田舎の生活がお洒落な雰囲気になると考えていたようで、常時置く場所を数カ所決めて僕のベッドもその場所の一つに選ばれていた。
 僕には兄がいる。母は二人目の子供は女の子であって欲しいと願った。確かではないが、そう受取れるようなことを少年の僕に言ったことがあった。その名残がベッドの上の人形だったのだろうか。しかし、いつもベッドに人形があった疎ましさからか僕は人形を避けるようになり、次第に人形が怖くてたまらなくなった。
 ただ、人形が着ていた肌触りの良い少女趣味な服の印象は、歳をとる毎に甦っては消えて、次第に嗜好として心の中の深いところに溜まった。

            †

 たま子は僕の深層に埋もれた少女趣味を甦らせる女だ。三つ編みのルックスはこよなく乙女チックで、そもそも大人しいことに加えて極めて無口であることは人形的であった。 
 二週間前、僕はたま子のうぶな乳房を見てしまった。その時の静かな衝撃が今もつづいている。古典小説の表現を借りるならば、たま子の乳房は処女を意味していた。
 たま子を想像してみる。彼女はそっと白い乳房を出しお気に入りの人形に自らの母乳を与えているかのようなポーズだった。それはずっと以前にみた著名な写真家が撮った写真に似ていた。

            †

 今日たま子を撮った。僕が妄想したとおり、たま子は処女の乳房を出し無表情な人形に母乳を与えた。時折、僕たちの背後に人が通り過ぎる気配があったが、誰もたま子の授乳に違和感を持っていなかった。ずっと昔、女たちは人前で乳房を出して母乳を与えていた。この時のたま子も昔のようにごく自然に授乳をしていたのだろう。
 たま子はエロチックだった。しかし、やがてたま子の無意識の誘惑は授乳という神聖な生命力によって掻き消されていった。

 僕は、処女のたま子に母性が備わっていることに驚いた。そして、母が人形を置いた意味を解く糸口が微かに見えたような気がしている。


            †
            †
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2013-03-10 : ファンタジー2013 : コメント : 1 :

『赤いアコーディオン』・・・仮作品


※僕が選んだベストカットはアダルト系に類するためこの場での公開を見送りました。7月に開催する25回個展で公開します。

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2013.2.23 model*たま子

        
 たま子は僕の知る限りもっとも清純な女の子のひとりである。

          ♭

 今日たま子がアコーディオンを抱えているところを撮る。そのアコーディオンはたま子のものである。僕はザ・バンドのガース・ハドソンがアコーディオン奏者であったことを何となく考え、次に愛読している詩集の中にオルガンを弾く女のことを書いた詩がある事実にたどり着いた。そこで僕は無意識にオルガンをアコーディオンに置き換えていた。すると、その詩の中に出てくる女の艶かしさが、次第にたま子への妄想に変化したのだった。

(妄想)〜アコーディオンを抱えた清純なたま子はスカートをひるがえし両足を開くと、その奥の花園はまだ白い下着に覆われてはいたが僕には透けて見えている。さらに妄想はたま子の胸に向かった。たま子の乙女チックで保守的な服の下に、未だ誰にも見せたことのない美しい乳房がひそんでいるに違いない。僕はたま子に「どうしてもあなたの乳房を見たいのです」と正直に云ってみることにしたのだ。僕の妄想はそんな感じだった。

         ♭♭♭

 たま子と会った。今日のたま子はとても繊細で今までになく美しかった。 
 僕たちは武蔵野の雑木林へやってきた。たま子は赤いアコーディオンを抱えて葉ひとつない落葉樹の根元に座った。すると今朝の妄想が甦ってきた。

「撮影の途中で胸を見せて欲しい」と言ってみた。
「・・・」
 たま子はうなずいたように見えたが確信は持てなかった。しかし僕は問い返すのをやめた。たま子が乳房を見せることを期待し撮影を開始した。もし、たま子が拒否したらそこでやめれば良いと思った。

 たま子にワンピースの裾を上げるように言うとたま子は素直に従った。僕はファインダーの中に白い下着が映っているのを確認しシャッターを押した。

「胸を見せてほしい」
「・・・」

 たま子は上から順にボタンを三つ外しさらに背中に手をまわしブラジャーのホックも外し、ピンクのカーディガンとワンピースの胸元をいっぺんに開くとタンクトップの中からしずかに左の乳房をとり出したのだった。ファインダーの中に真っ白で茶碗の内側ように美しい型の乳房がひとつあった。
 僕はたま子のうなずきが本当だったことに感動した。僕は何度もピントを合わせ直し、何度もシャッターと絞りのダイヤルを確認しながら撮影した。それは、この撮影を失敗できないという思いからだった。

 さらに僕は「右の乳房も見せなさい」と言った。たま子が黙って両方の乳房を出したのを見て、僕はいくつかの感嘆の言葉を発したのだった。
 フィルム一本を撮り終えると、僕は深い未了感に襲われ呆然とした。眼の前のたま子を見ると、いつものように静寂が彼女の全身を覆っていた。

          ♭

 駅の近くでたま子を見送った後も僕の中に未了感が残っていた。彼女のアコーディオンの一音すら聞かないで別れたはずなのに、僕の耳にはたま子の弾くアコーディオンの『ちょうちょ』がリフレインしていた。


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2013-03-01 : ファンタジー2013 : コメント : 2 :

『オレンジの地球』・・・作品



2013.2.11 model*莉菜

            †

地球儀は旅が大好きな女の子へのプレゼントです
これさえあれば世界中どこにでも行けるのです

            ††

 路上に車を停めて莉菜を待っていた。バックミラーで花屋の前の舗道を見張りながら車の荷台に積んだ地球儀に思いを馳せていた。その地球儀が僕のところにやってきたのはまったくの偶然で、地球儀はなぜか火星のような色だった。
 
 バックミラーに少女のような歩き方でやってくる莉菜が映った。ファーのあるベージュ色のコートを羽織り、足もとを見ると生足でソックスさえはいておらず、しかもこの寒さのなかカジュアルな靴だった。莉菜がこんな寒々しい格好をしているのは、昨夜僕がメールで頼んだことを忠実に実行しているからだった。コートを脱げば僕が着ることを懇願した半袖の赤いワンピース姿だということになる。

 莉菜に愛しさを感じたのは寒さに耐えている健気さを見たからだけではない。愛らしさの理由を説明しようとすると少しややこしい。小動物的な眼は常に静かで何事か言いた気な様子はなく、顔の表情は時折見せる笑顔以外は穏やかさを崩すこともなく、かといって無味乾燥な表情というわけでもなく、僕に余計な気をまわさせたり勘ぐらせたりさせる隙を与えることもなく、おおむね僕への癒しの表情にみえる。改めて上半身を見やると、まるで船越桂の木彫りの彫刻作品のように静寂であった。莉菜は自らすすんで語ることを拒否することで無事に時をやり過ごそうとしているようである。僕は静かに莉菜に興味を持ちはじめていた。もっと莉菜を知りたい。もっと莉菜と語りたい。許されるなら莉菜を抱きしめて骨格を感じてみたい。僕の妄想はエスカレートするばかりだ。それは静かな女の子による意外なエロスのへの期待のせいであった。

 莉菜と公園へやってきた。先ほどから北風が吹き始めている。コートを脱ぐと莉菜はやはり僕が望んだ赤い半袖のワンピースを着ていた。しかもワンピースはミニだったから寒いことは言うまでもない。莉菜は地面に直に座ると地球儀を抱きしめて身動きもしない。まるで冷えた身体を地球の熱で温めているようだ。ファインダーを覗くと莉菜のミニスカートの奥まで映っていた。

「白いものが見えているんだ」
「・・・」
 僕はかまわずシャターを押した。

 ある無口な女の子の、「心の中には嬉しい時も悲しい時も冷静な自分がいるの」という言葉を思い出した。莉菜も冷静な自分と対峙しているのだろうか。再びファインダーを覗くとオレンジ色の地球を抱いた莉菜は温もりを発し、その眼差しの静けさと白い下着の清らかさが静寂なエロスを奏でていた。

 僕はまたシャッターを押した。


            †
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2013-02-14 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『いいじゃないの幸せならば』・・・作品




2013.2.2 model*智子

            ※

 まだ冬だというのにかりそめの春の陽気になった。僕は智子を川にさそった。心が萎えて哀愁に変わろうとする時は智子と会うといい。気分が晴れて前向きになれるから。
 僕たちは何のためらいもなく待合せをして盲腸線に乗った。

「盲腸線の意味を知っている?」
「いいえ、知りません」と笑顔で言った。
「簡単に言えば、行き止まり線という意味」
「なるほど」
 僕は行き止まりがとても安心だった。どこまでも続いているとしたらこのままどこかへ行ってしまいそうだからだ。

 終点で降りて多摩川の堤防を越えると暖かい風が少し強めに吹いてきた。その風には水の匂いと水の中の生き物の匂いがついていた。

「水の匂いがする」と智子は言いながら風に合わせるようめまぐるしく表情を変えた。智子のくったくない笑顔について疑いの余地はない。それは反面で僕が暗い男だという相対的暗示のようでもあった。心の中で『いいじゃないの幸せならば』を唄った。ただ、少年時代の僕は川にやって来るとこの曲を口ずさむことがあった。詩と眼の前の女との関係はまったくないのだろうか、そう思ったりする。

 智子は白いブラウスを着ていた。その白が僕を喜ばせた。
「ボタンを外してごらん」
「・・・」智子は躊躇しながらも一つ外した。
「もう一つ外してごらん」
「・・・」また躊躇しながら外した。躊躇する智子が愛らしい。

 三つ目のボタンを外した。智子は白いブラジャーをしていた。その白が僕をまた喜ばせた。

 
            ※

 
***********************************************
■『いいじゃないの幸せならば』(唄・佐良直美、詩・岩谷時子、曲・いずみたく)は1969年に発表されレコード大賞受賞作となった。中学二年の僕はこの詩とメロディーとが織りなす退廃的な世界が自分の人生の先行きの暗さにマッチしていると思った。東京へ出て来て最初に言われたのは、「オマエ、退廃的だな」だった。正確に憶えていないが二つ年上の同級生に酒の席でしみじみ言われた。この曲は最近、由紀さおりが『1969』なる意味不明なアルバムに収録して話題だが、僕はこの由紀さおり盤には何も感じない。作詩、作曲者の意図を理解していないものと考えられる。他の歌手のカバーでは、ちあきなおみ盤もそこそこだが、やはり原曲の佐良直美の唄でこそ退廃の迷路へとつながっているだろう。
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□このブログの前項で『笑顔について』を書いたが、くしくも今回の新作は笑顔の作品となった。様々な想いがある。もちろん彼女の笑顔が真実であるだろう。いずれ笑顔の続編を語りたい。




2013-02-08 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :

『月刊カメラマン・2月号掲載』

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月刊カメラマンに僕の記事が載っています。記事は2ページで作品3カット。良かったら立読みしてください。(104頁と105頁)

□掲載作品のモデルは、華奈、たま子、よしみ、、


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2013-01-19 : ファンタジー2013 : コメント : 3 :

『冬の百合』・・・作品




2013.1.12 model*郁美

           ⁂

 ある厳かな記念日のために百合の花が届けられた。茎を無造作に切り落として安っぽい花瓶に野菊のように束にしてさした。部屋中に漂う香が僕の精神を何となく苛立たせていた。僕は百合の香が苦手だった。香の正体を確かめようと一輪を花瓶から抜いて机の上に置き顔を近づけてみるとどことなくグロテスクだった。花びらから順にバラバラにすると息苦しいほどに強く香った。そして花粉で汚れた指を見ながらなんだか虚しかった。

 葉が枯れ落ちたがらんどうの雑木林に来ている。郁美のもともと無垢な肌はさらに透明度を増し一年前に出会ったときより美しくなっていた。僕は誰に対するのかわからない方向性の定まらない嫉妬をした。家から持ち出した百合の花束を手渡すと郁美はそれを乳飲み子のように抱いた。花粉が郁美に着いてしまわないか心配だった。百合の香は郁美の美しい肌と良く調和し僕を遠ざけようとしているようだった。

「あさっては成人式だと言っていたね」
「はい、雪になるかもしれないそうです」

 カメラを向けた。やはり郁美の瞳は澄んだ茶色をしていた。その瞳はやがて潤んで両眼のふちから涙が流れ出した。本当に泣いている、と思った。これから先ずっと百合の匂いを嗅ぐとき郁美の涙を思い出すのだろう。

            ⁂


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2013-01-18 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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