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『レモン』

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『レモン』
2019.3.13 model*レモン+Olivia

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 このレモンを買って二ヶ月になるけれど、まだどこも傷んではいない。そればかりか、冷蔵庫の中での生活を気に入っているみたいだ。なるほど、レモンは冬が旬の果物だと納得した。

 最近の僕がレモンのことを考えることが多いのは、もうすぐ個展『檸檬のしずく』を開催するからである。しかし、実際のところ僕とレモンの間に何か特別なことがあるのではなく、檸檬を連想させるような甘酸っぱい思い出があるだけなのである。

 娘にレモンとメジャーを持たせた。娘の健康的で華奢な足とレモンとメジャーの組み合わせが僕の心の中に潜んでいた古い思い出を蘇らせたのだった。

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□作品は次回個展にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□神保町画廊〜http://jinbochogarou.com/?p=2022




2019-03-14 : 33th個展 : コメント : 0 :

『檸檬のしずく≒Lemon’s mood』


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2019.1.24 model*Olivia

                 、

 最近の僕は一日の何時間かは四月の個展のことを考えています。タイトルは『檸檬のしずく』。例えば檸檬の甘酸っぱさは、日本人なら少女の初体験をなんとなくイメージできるけれど、それを言葉にすることはとても難しい、とか。檸檬という漢字の見た目の複雑さは、少女の思春期を理解しようとすることが簡単じゃないことを教えているのだろう、とか。もうひとつ檸檬と言えば大好きな梶井基次郎の短編『檸檬』があるが、これもやや難解である、とか。

冬晴れの今日は気温が低いだけではなく風が強いから几帳面に空気が澄んでいる。今朝二個のレモンと果物ナイフをバッグに詰めて、遠くからやってくる女の子を待った。女の子は紺色のジャヤンパースカートを身につけていなければならない、と考えている。

そして僕は梶井の檸檬と少女の物語を一枚の写真に納めたのだった。

                 、

□個展タイトル『檸檬のしずく』は神保町画廊の佐伯氏が候補にあげてくれたものの中から選んだ。僕では恥ずかしく勿体無い感じがして絶対に付けられないタイトル。とても気に入っているし、佐伯氏に心から感謝している。
□女の子が持っている本は最近の僕に少なからず影響を与えている『エロチック・ジャポン』(アニエス・ジアール著)
□作品は次回個展にて公開予定。気に入った方は拍手を。





2019-01-27 : 33th個展 : コメント : 0 :

『冬の陰影』

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2018.12.30 model*たま子

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 もう冬のまっただ中だから、あと二日で年が変わるから、やり残したことを終わらせなければならない。背中を押してくれたのは、やはりこの娘だった。自分よりまっすぐな人と会うのがいい、自分より暗い部分を持った人と会うのがいい、自分よりふしだらな精神を真面目に育んでいる人と会うのがいい。だから、やはりこの娘なのだ。

 冬の低い日差しを背中で受けとめる娘を逆光でファインダーに入れる。白いコートの前を開く。最後には形の良い乳房を見せた。「美しい」と僕は言った。二人で大木の後ろに回り込み、胸元がはだけた娘を冷たい地面に寝かせた。右手に羽子板を掴ませて、左手でさざんかの花を下着さへつけていない股間にあてがった。

 その時の僕には発すべき言葉がなかった。ただ娘の美しさをただ眺めているより他はなかった。

                  ∴

□作品は次回個展にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。




2018-12-31 : 33th個展 : コメント : 0 :

『羽子板』

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2018.12.28 model*Olivia

                  ∴

 風が吹いて寒く、何となく年の瀬を意識させられていた。撮影中、この場所から数百メートル離れたところにある三島由紀夫の墓の存在が心をよぎった。

 僕は娘と羽子板をさざんかの木の側に寝かせた。冬の日差しを浴びる娘の口はあまりにもピュアだった。僕は野蛮な男の視線で汚されぬようにその口をさざんかの花で塞いだ。

 帰り際に娘が「三島のような作品になっているのかな」と僕の心を見透かすように言ったのを聞いたとき、三島由紀夫の霊がこの娘に言わせたのではないか、と思った。

                  ∴


□作品は次回個展にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではない可能性があります。


2018-12-30 : 33th個展 : コメント : 0 :

『リンゴとイヴの関係』

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2018.12.24 model*リス

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 毎年この季節になると北国からリンゴが届く。 十二月に入ってから僕は毎朝リンゴの皮を剥き、とうとう今日はイヴだから、なんとなく誰かに剥いてもらいたい気分なのです。何年か前にもイヴの日にリンゴの皮を女の子に剥いてもらったことがあったのです。

 リスは今日も遠くの町からやってきて、僕と真冬の川に行きます。僕はバッグにリンゴを一個と果物ナイフを入れて家を出ました。そう、リスにリンゴの皮を剥かせるのです。もちろん、ただ剥いてもらうのではありません。ブラから乳首をはみ出させ、ジーンズと下着をいっぺんに下げてヘアを寒風に晒しながら。

 川辺は晴れてはいるが、北風が吹いて寒かった。僕はバックからリンゴと果物ナイフを出してリスに手渡し、胸を見せるように、そして下着ごとジーンズを下げるように言った。

「さあ、剥いてごらん。休まず一気に剥いてしまうんだ」
「・・・」

                    ⁂


□作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。


2018-12-24 : 33th個展 : コメント : 0 :

『ネコがいた』

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2018.12.3 model*ひな

                  ⁂

 暖冬とは言え肌寒い土手をひなといつもの川べりを目指して歩いている。ついこの前まで美しく咲いていた黄色い花の群生がすっかり姿を消してしまったこの儚さが僕をセンチメンタルにしていて、それにつられるように僕は少年時代のあるシーンを思い出していた。それは、目の前に死んでしまった少年が横たわっていた、あの事件のことだった。あのことと今日のひなは無関係なのだと自分に言い聞かせていた。

 川べりにたどり着いた。ひなは僕と川の間の位置に華奢な身体をまるで獣のように四つん這いになった。一瞬だったが、あの少年が目の前の風景の中をよぎった。ちょうどひなの後方の川の中あたりだった。ひなは左手に不気味な秋の雑草を掴んでいて、それが僕の複雑な心中に似ていた。僕はひなに下着を見せるように言った。下着は白だった。次に下着を下げるように言ったのだった。

 さっきから僕は動物の気配を感じていた。振り返ると、そこには黒ネコがいた。

                    ⁂


□作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。




2018-12-04 : 33th個展 : コメント : 0 :

『カボチャについて』

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2018.12.2 model*新井りょう

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 一月前のことだった。名前も知らない少女からオレンジ色をした小さなカボチャをもらった。恐らくハロウィーンの時にお家で飾りつけに使ったのだと思う。

 今日、僕はりょうにカボチャを渡して反応を見るつもりだ。彼女ならカボチャを文学的にあしらうにちがいないと考えていた。りょうにカボチャを手渡すと、いきなり片足で一本立ちして膝の上に置いた。それは、ただコートを脱ごうとした刹那にカボチャの置場に困っただけのことだったのだが、それを見た僕はこの娘のただならぬ魅力に気づかされたのだった。

「一首お願いできるでしょうか」
「では後ほど・・・」


馬車になどならなくてもいい、このかぼちゃ。私はどこにも行けなくていい。

散り切った落ち葉を弔うために僕はいい音出して踏んづけてやる

                  ⁂



□作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。




2018-12-04 : 33th個展 : コメント : 0 :

『秋はため息』

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2018.11.17 model*理絵子

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 駅で再会したとき、もはや息苦しさがあった。理絵子が美しかったからという以外に彼女の純粋すぎる視線を浴びるのが怖かったのです。今の僕にはそれを受けとめる力がないようです。いいえ、少年のころから今まで純粋に対する怖さがあるのです。実は過度な純粋は、ある種の暴力ではないかとさえ思うことさえあります。彼女に対して美しいと言葉にして良いのかとか、肌を見たいと言って良いかという不安があります。

 川べりまで辿り着きました。誰もいませんでした。僕は何を撮りたいか正直に伝えました。すると、しずかにカーディガンを下げて両肩を出し、背中を見せてくれました。その瞬間、再会の時と同じように僕を息苦しくしたのでした。理由は理絵子が美しかったからです。そのとき浮かんだ言葉は『秋はため息』でした。

                  ﹆


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□この写真は展示作品ではありません。






2018-11-19 : 33th個展 : コメント : 0 :

『暮色の時間に君がいる』

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2018.11.16 model*美月

                  ﹆

 午後三時に中央線のある駅前に現れた美月はJALの封印シールが貼られた大きなトランクを引いていた。つまり、空港から直接ここへ来たのだ。そんな彼女を見て僕はとても混乱した。だって、今日は川へ行くことになっているはずだけど、このトランクを引いて行けるはずはない。美月は少しも動揺した様子がない。この娘は無意識に、どうして?と思わせて、同時に男たちを悩ませ惹きつけるのだ。この娘に似ている子はどこにもいない。この娘は世界中にたったひとりしかいないのだ。そんなことを考えていると、美月が「これをどうぞ」とお土産を僕の眼の前に差し出した。

 とにかく電車に乗った。川へ向かう途中、考えがまとまるだろう。会話すら途切れた二人を乗せた電車は西に傾きかけた黄色い日射しを浴びて南へ走る。もう原点に戻るしかない。僕の大好きな川の土手でチラリズムを撮ろう。

「スカートを上げたりブラジャーを見せたり誰も見ていない隙にやって欲しい」
「人がいますね」
「いるね。でも君ならできる。隙をさがしてやって欲しい」
「はい。わかりました」

 わずか一時間で美月とサヨナラした。
「本当にありがとう。君のおかげだよ」僕は心の中で泣きたいぐらい感動していたのだった。

 美月は暮色の土手でチラリズム写真を撮らせてくれた。僕はこの撮影が懐かしかった。そして難しいな、と思った。200年以前の僕はいつも今日のように無計画で行き当たりばったりのチラリズム写真を撮っていたのだが、簡単ではなかったのだと、妙に感心したのだった。帰宅して古いチラリズム写真を見ると、今見ても新鮮なのだった。エッチ(ちょっと破廉恥)な写真は日本人の本性に訴えて素敵だと改めて思う。


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□この写真は展示作品ではありません。




2018-11-16 : 33th個展 : コメント : 0 :

『わたし、詠みました』

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2018.11.13 model*新井りょう

                  ﹆

 その容姿からして娘と短歌がどうしても結びつかなかった。でも娘がこの荒れた河原の様子を言葉にできる、しかもまともな日本語でつづることができる、と思った驚きは、ある女性の隠された魅力を自分だけが知っていると感じたときの快感に近いものだった。
 ルックスで言えば娘はカッコいい。内面では文学がわかる。そんな娘と河原へ向かっていることがすでに事件なのだった。

「どうしてリバーサイドなのでしょう?」
「川が大好きで、それに犯罪の香りがして怖いでしょう?」
「たしかにそうですね」
「川について君に何か詠んでほしいな」

 眼の前の娘の身体を直視することができない。もちろん美しいからだ。娘がロングスカートの内側を一瞬見せることがエロチックだった。川に入ると豊満な胸が川面を背景にして映えた。僕は懸命にピント合わせをしてシャッターを切りつづけた。

 別れ際に「わたし、詠みました。メールで送りました」と言うと丁寧に頭をさげた。いつのまに詠んだのだろう。

            -*-*-*-*-*-*-*
いくつもの死が転がった多摩川はずっと曇りでありますように
死の匂いたちこめるような曇り空 舌でなめとるキャラメルの味
行ったことのない川、乗ったことのない電車 。私今日ここで死ぬことにした
                       新井りょう

                  ﹆


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2018-11-14 : 33th個展 : コメント : 0 :

『舞うがごとくに』

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2018.11.7 model*ミミ

                  ﹆

 女と出会ったのは十二年前だ。中央線のとある駅に降りた女を改札の外で見かけ、タクシー乗り場まで後を追った。小柄だが凛とした感じが古い日本女性が持っていた気品を漂わせていた。もちろん、女は今よりずっと若かったのだが、気持の強さをその顔つきに彷彿させ、どこか貫禄があったのを憶えている。

 美しい大人の女性になった女と川に来ている。女が持って来た浴衣を見て驚いた。着物のことを熟知し着付けできなければ所有しえないシックなものだったからだ。
「ここで着替えられるのですか」
「ええ、わたしはできます」

 女は僕の眼の前で二種類の浴衣を瞬く間に着替えた。その立ち振る舞いは女としての自信に溢れていた。やがて着物を乱し肩越しから乳房を見せたその姿は、美しくそして愛らしく、今は少なくなった眩しいほどの日本美人でした。

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2018-11-08 : 33th個展 : コメント : 0 :

『何もかも洗い流す』

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2018.11.03 Olivia

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 時おり生温い風が吹いているが水は確実に冷たくなっているはずだ。

 川で娘は浴衣を洗っている。僕はそばでただそれを眺めていたのだが、その光景にはどこか違和感があったのだけれど、それは難解な詩のように僕を癒してくれた。繰り返し水に沈めては絞り浴衣は拷問を受け、水中では夥しい数の稚魚たちは布が水面を叩くたびに右往左往していた。僕はずっと見ていたくて洗い続けてくれないかと思った。すると生真面目な娘はひたすら洗い続けた。まるで何もかも洗い流したいと考えているみたいだった。

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2018-11-04 : 33th個展 : コメント : 6 :

『リバーサイドの薔薇』

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2018.10.27 model*たま子

                  ﹆

 ついさっき晴れ渡った青い空が大地のすべてを美しく照らしている。そして色とりどりの薔薇の花が水面に漂っている。それらは娘の掌からこぼれ落ちたもので何だか儚い気持になる。僕が何百キロも離れた高原から持ち帰った薔薇の花びらと娘との間には何らかの関係があるみたいだ。

 いつものことだけど、娘とはほとんど言葉を交わすことはない。だからと言って気まずさはない。ただ互いにかかえているある苦しみだけが場の空気を埋めているのだ。

 事実、娘は美しい。僕が「美しい」と口にしても、軽い無視を表情のごく一部に見せるだけだ。ブラジャーからこぼれ出した娘の乳房はあまりにも眩しい。さらに下着を下げるように言うと、無言で従った。

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□この写真は展示作品ではありません。



2018-10-29 : 33th個展 : コメント : 0 :

『ヒペリカムな娘』


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2018.10.16 model*万里菜

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 電車の中で万里菜の左手に手錠をして、もう一方はドアの近くの金属の手すりに固定した。万里菜は嫌がるのではなく、その状態の自分を受入れたかに見えた。それは、僕たちの間には暗黙の了解があると信じていて、合い言葉は『ギリギリ妄想だけで、君と』だからなのか。カメラを向けると本当の万里菜はたぶんナイーブだけど、フレームの中では自らが演じるべきポーズと表情を瞬く間に完成させる才能の片鱗を見せた。

 万里菜は赤いベルベットのワンピースに緋色の靴を履いていた。これから荒れ果てた川に行くコスチュームではない。僕は花屋に立ち寄ろうと決めていた。そこで万里菜が赤い実をつけたヒペリカムを選んだのを見て、彼女が当たり障りのない答えを用意してくれる人ではないのだと思った。とにかく僕たちは赤い実をつけた不思議なヒペリカムを買ったのだが、それは今日をある意味で決定づけることになったと思う。つまり、今日は良くも悪くもヒペリカムな日で、決して逃れることはできないと。

 ぴかぴかの緋色の靴のまま万里菜は河川敷を歩いた。時には僕の前を枯れ草をかき分けて歩いた。川は数日前に比べてかなり水がひいていた。万里菜は川べりに立った。そして、片足を上げたポーズが妙に様になっていた。さらに緋色の靴と白いソックスを脱いで数歩だったけど川に入ったのである。僕はただ唖然としてシャッターを押し続けた。最後に同じ茎に白とピンクの花を咲かせている不思議なツル系の草の前でヒペリカムを持った万里菜を撮った。

 今日が終わろうとしている。僕はこの娘と別れるのが寂しかった。幻よ。醒めないで。僕の記憶の中で、万里菜はヒペリカムな娘として永遠に記録された。

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2018-10-17 : 33th個展 : コメント : 0 :

『黒髪ロマン』

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2018.10.13 model*ひな

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 この世に存在するすべてのロリィタを嗜好する娘に言えるのだが「成長」、それはそれらの少女にとって望まざることなのだと、以前に撮った子から聞いたことがある。ひなに会った。かすかだったが大人の女性としての魅力をごく一部に漂わせていた。僕はそれをとても好ましく思い「少し大人の女性に成長したね」と褒めた。「そうですか?でも・・・」

 ひなの髪がとても美しかった。少女の髪そのものだった。そして、ひなが三つ編みを解くと、毛は真っ黒でその一本一本が絡み合うことなく見事にカールしていた。実際こんなに美しい髪を見たことがなかったから「美しい」と言ったあと絶句した。でも、今日の濃紺のクラシカルロリィタテイストのワンピースは髪を目立たなくしていると感じていた。だが待てよ、この紺色に抱かれた黒髪だからこそかすかな光り輝きがこちらに伝わっているのかもしれなかった。ああ、これこそ谷崎の言う陰翳礼賛の精神なのだと。。

 ひなは白い下着を下げて右足のくるぶしのあたりで留めた。スカートを開くと薄いヘアーに護られたとても小ぶりな花園があって、そこは限りなくロリィタだった。それは好ましかったけれど、その太腿の小女性が僕の心を打った。こんなに白く見えるのは、やはり濃紺とのコントラストのせいだった。

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□この写真は展示作品ではありません。





2018-10-14 : 33th個展 : コメント : 0 :

『陰翳礼賛 / いんえいらいさん』

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2018.10.09 model*詠子

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 僕のバックに1冊の文庫本が入っている。その本に書かれていることが今日の詠子に無関係ではないことに気づいてとても戸惑っていた。そもそも詠子はスカートを履いて来るはずだった。それは撮影場所が川で、詠子に川に入ってもらう約束だからだ。しかし、僕の前に現れた詠子は着物姿だった。

 僕がバックに入れて一ヶ月近く持ち歩いている本は、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛/ いんえいらいさん』という随筆で友人から渡されたものである。そこに書かれている日本の古き時代の暗い明かりと美の関係が僕を刺激してやまないのである。美の中には当然だが着物が含まれている。今日の詠子を見て、瞬間的に日陰で暗めに撮ろうと考えたのは随筆の影響からだった。

 古めかしく艶やかな着物を着た詠子はこけし人形みたいだった。これを着て混んだ電車に乗って来てくれたことに感動すら憶えるのだった。だが、僕にすれば一緒に電車に乗るのが怖いのだった。今にも詠子が化けて僕を襲いかねないと感じたり、他人の視線が痛かったりで、僕の心は折れそうだった。

 荒れた河原を足袋に草履でこけし人形姿の詠子と歩いてやっと川べりへ辿り着いた。曇り空が陰翳を作っていた。そこで奇跡が起きた。詠子の太腿の美しさ、陰に立った詠子の美は、やや現代から逸脱して過去のことのようだったのだ。

「下着は着けてないよね?」
「はい」
「足を開いて見せてくれる?」
「はい」
「川に入れる?」
「はい」

 撮影が終わって、詠子は僕の様子を見て「お家にお帰りになられた方が良いのでは?」と言った。現代と過去の間を彷徨ったからだろうか、僕はとても疲れていた。


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□この作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定です。
□この写真は展示作品ではありません。




2018-10-10 : 33th個展 : コメント : 0 :

『白い花のように』

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2018.10.8 model*麻衣子

                  ﹆

 メールに添付されていたいずれの写真にも麻衣子の魅力の欠片さえ写っていないことに驚いた。いや、ショックさえ感じていたのだ。そして麻衣子が実年齢より若く見えることが彼女の顔立ちが整っている証拠だった。

「君、写真より何倍も美しいんだね」
「そうでしょうか?」こんなやり取りを何度か繰り返した。そう、麻衣子は控えめな女性なのである。

 僕たちは荒れ果てた川辺にいた。僕は唖然としていたけれど、ノーメイクの麻衣子は穏やかな表情のままだった。僕は側に咲いていた白い花を鋏で切って麻衣子に渡した。僕は「ほんとうの君はこの花のように素敵なひとなんだよ」と言いたかったのだが、彼女に伝わるはずはなかった。せめてもと、リップクリームをひいてもらった。すると麻衣子の表情が見事に変化したのだった。ただそれだけのことで女の魅力が見る側からすれば劇的に変化することを本人は知らないのだ。

「麻衣子さん、清楚で素敵だね」
「そうでしょうか?」

 これからこの女は脱ぐのだと思うと、強い刺激が僕を襲ってきたのだった。麻衣子とのメールで撮影時に乳房を出し下着を下げ、あそこまで晒すことに同意しているのだった。僕は改めて本人に確認するのをためらった。気持が変わるのが怖かったからだ。ひとつだけ麻衣子と約束した。それは、撮影しているときは出来るだけ笑うことだった。僕は女の子の笑顔を撮ることをあまりしない。でも、麻衣子の笑顔は人を惹き付け癒す力があったのと、何より麻衣子の魅力の欠片さえ写っていない写真を撮ってはならないという写真家としてのプライドがあった。

 麻衣子を川の中に立たせた。そして小ぶりな乳房を見せるように言った。次に下着を水中まで下げ、ついに薄いアンダーヘアーを見せたのだった。そして、ファインダーの中の麻衣子は約束どおりずっと微笑んでいた。

                  ﹆




□この作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定です。
□この写真は展示作品ではありません。



2018-10-09 : 33th個展 : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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