待ち合せの三鷹駅のホームにやってきた明日菜を見てカワイイと思ったがすぐにヤバイとも思った。セーラー服姿の女の子とカメラをぶら下げたオヤジなんて何と思われるやら。と言うか、どう思われるかは想像がつく。このことはあらかじめ予想がついていた。前回撮影した後、明日菜に今度セーラー服で撮らせて欲しいけど、一緒にいるのが恥ずかしいと言っていた。そして昨日のメール。
「明日、天気が良さそうなのですが、吉祥寺あたりでセーラー服姿で撮影させてもらえませんか?」
「ええ、もちろん私は大丈夫です。魚返さんが恥ずかしくなければ・・・」
僕はその時、まあ恥ずかしいだろうが何とかなると思った。しかし、事態は思った以上に深刻だった。僕たちは常に皆に見られているのだ。その視線は決して暖かくない。
「ねえ、赤の他人ってことにしてくれない?」
「はい」
どう考えても無理がある。だって、カメラバック持っている僕に明日菜はくっついてくるのだから。
「ねえ、親子ってことにしようよ」
「はい」
とうとう修羅場がやって来た。井の頭線に乗って鷹の台に着くと、紺のフォーマル服を着た中年女性の集団が電車に乗って来た。彼女たちは一斉にこっちを見た。そして明日菜のセーラー服を確認しているようだった。この集団はここの近くの女子小中高に娘を通わせる親たちで今日は父母会だったのだろう。
「あのねえ、この恥ずかしさの中で撮るのが今日の作品なんだよ」と少し言い訳をした
「はい・・・」
僕たちは次の久我山で降りて反対の電車に乗った。するとまた次の三鷹台でまた母親たちに囲まれた。今度は構わず明日菜を撮った。そして井の頭公園駅で降りた。
*書け次第順次アップします。写真も。



