美優に会って、そして昔スイッチバックがあったという、笹子へ行った。駅を出てスイッチバックの方へ歩いて行った。スイッチバックを見たのは金網の外からだった。スイッチバックのポイント部分が残っていたが、妙に新しく、誰かの仕業であることが僕を怒らせていた。美優も金網の中を覗き込むと「中には入れないですね」とけげんな顔をした。美優はハキハキとした誠実な女の子だった。そのお陰で僕は怒りがおさまった。
「その金網に足をのっけられる?」「はい、まあ。。。」と僕はいつもの妄想写真を撮った。
僅かな散策と撮影を終えて、僕たちは再び駅前に戻った。山から降りて来る冷たい風に少し冷えた身体を暖めようと、駅前の自動販売機で暖かい飲み物を買って、ホームへ。
やっと会えた美優ともう別れる時が来た。僕はホームに立つ美優にスカートの裾を上げるように合図した。美優はじれったいほど少しスカートを上げた。そして、なんとも普通の写真が撮れた。しかし、その普通さのせいで僕の中に古びた感動が蘇った。それでいい。これなんだよ。僕が本当に撮りたかった写真は。。美優がそれを教えてくれた。
「さようなら」
「はい、ありがとうございました」
と言って、僕が飲んでしまった缶コーヒーの空き缶を持って、美優は去って行った。
*ライカM3/90mm*model〜美優**2007.10/10 笹子にて

*追加カット
