『リン子』昭和ガール・・・2011.8.30

 これは残暑だろう。このところ涼しい日が続いていたのに、今日にかぎって猛烈に暑いのだ。先週リン子に出したメールには、「天気が悪そうなのがちょっと心配です」と書いていた。つまり天気予報は見事に外れた。
 リン子と対面した。真面目な女性という印象。地味目に映ったリン子の全身は、残暑の熱に焦がされ少しセピア色に見えて懐かしく感じた。僕の小学校の卒業写真の中にリン子と同じタイプの子を探すなら、前から二列目の左から三番目ぐらいに前の子の陰に半分顔を隠して立っている乙女刈りの女の子。つまり、リン子は僕の時代に存在していたとしても、いたって普通で目立たない子だったに違いない。しかし、僕の心の中にリン子に対して燃える何かがあった。理由は、ふくよかな身体であり、とりわけ胸と太腿であった。

「あのぉ~、美味しそうだね」
「はい?何がですか」
「君の身体です」 
「そう言ってくださって嬉しいです」
「どうしてですか」
「写真家の方は、そのエロチックなテンションをカメラに乗り移らせて写真を撮るのだと思うからです。ですから、私にもお役にたてそうな気がしてきました」
「脱げる?」
「ええ」

 僕がリン子に提案したのはこうだ。
『昭和の若妻。その若妻は川の浅瀬で何かを洗っている。浅瀬と言っても流れはある。その中に膝をつくと、勢いづいた水は太腿を這い上り、スカートを濡らし、ついにお尻まで届く。無防備な若妻の白い半袖のブラウスの胸元ははだけ、ブラを付けていないことがわかる』

「やれる?」
「はい、やってみます」

 撮影が始まるとリン子は最初の印象と違った。地味目に映っていた全身は、濡れた肌をみずみずしく光らせて、美しい昭和ガールになっていたのだった。

□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。。
2011-08-31 : 昭和ガール : コメント : 0 :

『たま子の耳』・・・2011.8.14


2011.8.21.58th写真塾にて、model*たま子

僕は最初たま子の眼に惹かれていた。三つ編みの髪だって、似合っている、を通り越してすでに頭の一部にさえ思えた。しかし、たま子を撮った数日後、僕の心にしこりのようなこだわりを残したのは、たま子の耳だった。耳の模型標本があるならば、たま子の耳と同じ形をしているだろう。村上春樹の小説の中に、耳のモデルが出て来るが、きっとその女の子はたま子のような耳の持ち主であったろう。谷崎が生きていたら、やはりたま子の耳について書いたに違いない。僕はたま子の耳が大好きだ。
2011-08-30 : 昭和ガール : コメント : 1 :

『たま子』さてどれを選ぶ・・・NO.3(魚返一真の結論)

僕が選んだカットは(3)です。落ち着いた雰囲気とたま子ちゃんの静かな人柄が完全にマッチしてレトロな作品に仕上がっています。その他の理由は、作品の文章をご参照ください。(3)を選んだ方がお二人。いずれも女性。


□以下、選ばなかった理由を書きたいと思います。
(1)これは写真塾一番最初のカットで、シャッターを押した時、とても納得が行く感触がありました。構えのないたま子ちゃんを撮れたことが原因です。これを残すべきだろうという思いから、以後撮るのが少し嫌になりました。しかし、これを作品と言い切るのは難しい気がしました。

(2)案の定、次に撮ったカットは小ジャレてしまっていました。とても可愛らしいけれど、僅かにウソが入り込んだ気がしたのです。

(3)----------------

(4)傘についた雨粒を撮ろうと言いました。たま子ちゃんの眼が何かを訴えているようで印象深い作品です。しかし、まったくたま子ちゃんらしさがありません。

(5)とても良くポーズされている秀作だと思います。それが欠点だと思います。僕らしくないと言うか、、、
コメントの、、「僕が撮っていたら、左手も添えてもらって撮ったかも・・・」について。こういうあら探しをしてはダメです。他人の撮った写真に対する愛情がありませんね。僕に対してはまだ良いけれど、他のカメラマンが撮った写真に対して、言うべきではありません。きっと気を悪くしますよ。それとも、「そういう細かい指示をついつい出してしまい、不自然な写真にしてしまうことがあります」ということでしょうか?
魚返一真写真塾は個々の作風を尊重して運営しております。どうぞ安心してご参加ください。

□次回第四弾、お楽しみに。
2011-08-30 : 写真塾 : コメント : 0 :

『たま子』さてどれを選ぶ・・・NO.3

最初に書きますが、シリーズ『さてどれを選ぶ』には正解はありません。カメラマンによって選ぶカットがまったく違います。それはプロもアマも同じです。違うからと言って何でも良いはずはありません。選ぶにはそれなりの理由があるはず。自分らしいカットを選んで欲しい、もっとセレクトに力を入れて欲しいということ。その為には、写真を見る眼を養うことが大事です。このシリーズがそのお役に立てれば嬉しいです。

1)今回は僕のセレクトの手順を少し書きます。いつも同じではありませんが、まあこんな感じです。最初に当日の気分や天候を思い出します。それに沿ったカットを選び、さらに最も印象に残ったカットを選びます。あとはモデルの特徴や内面が出ていると思われるカットを追加。それで5カットぐらいです。

2)次に写真を観てストーリーが浮かぶかを考えます。つまり、それが最終的にその写真の持つ説得力になってきます。

3)選んだ写真が単なる人気取りになってないか検証する。

以上、簡単ですがまとめてみました。

今回5カットを選びました。さて皆さんはどれを選びますか?回答以外にご質問もどうぞ。より多くの方々からコメントを頂きたいと思っています。塾生以外の方のコメント、毎回ありがたく励みに感じています。塾生でコメントをためらっている方、、是非書き込みをお願いします。

********************************

(1)↓


(2)↓


(3)↓


(4)↓


(5)↓

□2011.8.21*58th写真塾にて、model*たま子。終日小雨の降り続く写真塾となりました。・・・・以上撮影順に並べてあります。

■新しい塾生を募集しています。僕といっしょに写真を楽しみながら上達しませんか。僕の写真塾は入りにくい雰囲気だと勘違いして躊躇している方、決してそんなことはありません。塾生同士も和気あいあいでやっています。どなたでも、まったくの初心者でも必ず上達します。なお、当塾はモデルとマンツーマンで撮影するシステムですから、どなたにも公平にシャッターチャンスがあります。とにかく、メールでお尋ねください。待っています。
2011-08-27 : 写真塾 : コメント : 7 :

『沈黙の夏』・・・2011.8.14


2011.8.14.57th写真塾にて、model*理乃

 寝苦しい熱帯夜、僕はカメラが壊れた夢をみた。まるで失恋したみたいに切なくて涙が頬をつたった。この夏。僕は夏らしい夏を撮っていた。その結果、僕は夏に囚われて行き場を失いつつあった。しかし、やがて秋が忍び寄ると、祭のあとのように寂しくなるのだろう。真夏の公園で理乃を撮った。写っていたのは、口のない少女。それは僕の憂鬱。


あと35日、、『沈黙の夏』も展示?
2011-08-23 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

さてどれを選ぶ・・・NO.2(魚返一真の結論)

僕が選んだカットは(3)です。このカットを見たとき、猛暑の夏の息苦しさを感じました。この作品は、モデルの内面より、むしろ僕の心理を描いています。何かを伝えたくてもがいている自分。暑さに耐えられなくなってきている自分。女の子を何かのまきぞえにしてしまいたい衝動。子供の頃、誰かにいたずらで口をふさがれた時、パニックしたことをも思い出しました。昔話で、口や眼のない人、のっぺらぼう、そんな描写がありますが、ちょっと似ているかもしれません。ムンクの『叫び』とは反対に、『沈黙』と言ったら良いかもしれません。

うっすらと写っている雲を焼き出したいとも考えました。あの日、僕にはちゃんと見えていたあの空。ネガにはちゃんと写っているはず。

つかださんも(3)を選んでくれましたが、norioさんの「物語の先が気になります」には脱帽。EUさんの「私がモデルなら・・・」、などはありがたいことです。

補足ですが、僕の作品は必ずしもモデルに歓迎されません。見栄えのするカットを不採用(撮影しない)にしていることが多いからです。そんな僕の作品を許容するためには、高いモデル偏差値が必要です。誤解を恐れずに言えば、容姿よりある種のIQの方が重要です。僕の作品に出演してくださっているモデルの方々に改めて感謝いたします。

心に残る自分だけの作品に巡り会いたいのか、おネエちゃん写真を楽しむのか、その線引きがとても難しいと思います。


□以下、選ばなかった理由を書きたいと思います。

20110814WS001_edited-1.jpg
(1)このカットは写真家として非常に惹かれます。しまださんやMASAMIさんがおっしゃっているように、理乃ちゃんの内面が出ているのかもしれない、と感じさせます。このようにモデルが完全に油断したポートレートをいつも撮れたらいいですね。(3)とどちらにするか少し迷いました。僕が老練なカメラマンになって来たのか?悩むところではあります。前回の『雨合羽』「4」タオルで顔を拭く笑顔の写真(早紀)と並べて展示してみたくなる秀作です。こういった落ち着いた作品が継続して出現するのか興味深いです。

20110814WS014のコピー
(2)ポーズに頼りすぎ。問題外ですね。

(3) --------------------

20110814WS020のコピー
(4)眼を閉じている顔が好きなので度々撮りますが、これは閉じている意味が希薄な気がします。僕の指示が間違っていたのでしょう。

20110814WS031_edited-1.jpg
(5)多くの皆さんの支持を得ましたが、写真家(僕にとって)として最も警戒しなくてはいけないカットだと思います。グラビア的な方向性がだめですね。ちょっと上達すれば誰でも撮れてしまうカットで商業的な匂いがします。この写真を撮っている時、このカットを撮る自分に対して嫌悪感がありました。どんなに上手く撮ってもスタンスがダメなんでしょうね。


以上は、すべて僕のたわごとであって、皆さんのセンスを否定するものではありません。皆さんも、自分が撮った写真を見て、ある事ない事、思いを巡らしてみてはいかでしょう。今回も多くの方からコメントを頂きました。励みになりました。本当にありがとうございました。

次回第三弾、、お楽しみに。
2011-08-23 : 写真塾 : コメント : 0 :

アイスキャンデー・・・2011.8.6

20110812snap017_edited-2.jpg
2011.8.12武蔵野市

20110807Rollei006_edited-3.jpg
2011.8.6*武蔵野市

あんなに暑かった夏が終わったなんて。何だか寂しい。

24st個展DM裏-写真面
あと36日
2011-08-22 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

第1回グループ展・第一位

20110731hyosho001_edited-1.jpg

第1回グループ展『ALL GIRL』第一位の鍋ちゃん、おめでとうございます。
先日の写真塾にて賞状をお渡ししました。
2011-08-21 : グループ展 : コメント : 0 :

『無題』さてどれを選ぶ・・・NO.2

好評につき第2弾。これは8/14(日)に開催した56th写真塾(model*理乃)で撮影したものです。5枚のうちあなたならどれを選びますか。コメント待っています!ちなみに、、僕の考えを当てる場ではありません。みんなの意見を聞きたいのです。それが皆さんの参考になります。多くの方のコメントを待っています。

(1)↓


(2)↓


(3)↓


(4)↓


(5)↓
20110814WS031_edited-1.jpg


M000075622010006.jpg

■ついでに、、イルフォードXR2のテスト

上の5枚はいずれもイルフォードXR2で撮影したものです。印象は以下。
C-41現像できるモノクロフィルム。つまり、カラーネガと同じように現像ができる。多少コントラストなど不満だが、それはトライXと比較する癖がついているからであって、普通にモノクロフィルムとして使える。とてもナチュラルで優れたフィルムである。

このフィルムはカラーネガと一緒にスピード現像できるから用途は多いだろう。しかし、ヨドバシカメラとコイデカメラで断られた。ビックカメラはまだ聞いていない。いずれにしても、フジフィルムの機械では現像しないという規則なのだろう。(想像)面倒くさいから店員に理由を聞かなかった。結局、ヨドバシからもう一本撮ったトライXと一緒にコダック送り。しかも料金は割高。よほどの理由がない限り、もう使わない。がしかし、近くにこのフィルムをスピード現像してくれる店があったら絶対に使いたいフィルムである。

24st個展DM裏-写真面
□いよいよ来月は個展です、、
2011-08-20 : 写真塾 : コメント : 11 :

『たま子の眼』・・・2011.8.9


2011.8.9/model*たま子

写真を見ていると、真っ先にあの日の暑さを思い出した。僕の身体の中に取り残されたむかしの夏の残骸も、たま子が人としてややレトロなせいもあって、かすかに蘇って来たような気がする。たま子がいつどこで会っても懐かしさを感じさせてくれるような女子であり続けて欲しいと願っている。
2011-08-17 : 放課後カメラ : コメント : 1 :

『ダンス・夏・ナナセ』・・・2044.8.7


2011.8.7.55th写真塾にて、model*ナナセ

 昔、遠くに住むナナセからモデルをやりたいとメールをもらった。その時ナナセは中二だったと記憶する。その数年後、ナナセと三鷹駅の改札で会った。僕は車に少女を乗せて小さな公園へ行った。そして、ギリギリの写真を撮った。
 ある年、ナナセはダンスに憧れて東京へやってきた。今はプロのダンサー。「私のダンスを観に来てください」と何度ナナセから誘われたことだろう。でも、僕はナナセのダンスを観たことがない。ある女の子の芝居、ある女の子のライブ、ある女の子の絵画展、どれも僕は行っていない。申し訳ないと思っている。だから、写真だけはちゃんと撮って、それで女の子たちに詫びているつもりだ。

「ナナセちゃん、飛び跳ねて欲しい」
「ここでですか」
「そう、何度も跳ねて欲しい」
「わかりました!」

 ナナセは思い切りジャンプした。大人になった今の自分を全身で僕に伝えているようだった。今、またこうしてナナセを撮ることの不思議。僕とナナセはある意味、深い関係なのだ。
2011-08-15 : 昭和ガール : コメント : 0 :

G2展に向けて考えてみた・・・2011.8.15

24回目の個展が近い。今回は僕の作品(六つ切)の半分ぐらいにマット枠を付けて展示する予定です。同じように来年のG2展でもマット枠を採用しようと思っています。

今年のグリープ店(G1)展の時、六つ切での展示の場合、他の大きな作品を展示している人に比べて、貧相に見えてしまっていました。マット枠を付けることで解消すると思います。

そう思っていた矢先。昨日の写真塾でますださんから、いくつかのご意見をいただいた。「来場した僕の複数の友人からの意見として、展示方法に問題があると言われました。第1にピンで直張りすること。第2に写真のゆがみやテカリが問題であると」僕はこの意見に対して大変失望しました。

展示環境は必ずしも完全であろうはずはありません。それは、どこのギャラリーで展示しても必ず起きうる問題です。その中で、展示の簡素化、展示の公平性などがG展では大切だと思っていました。しかし、今回のG1では、展示スペースにおいて、3名の塾生において著しい不利がありました。3名には改めてこの場で謝罪したいと思います。

次回は、展示方法において、一部変更(複数展示法から選択)します。しかし、ますださんの主張のように、額に入れたり、平面生を保つための処置、作品がテカらないようにすることは光源の問題もあり無理です。苦労して撮った写真をキレイに展示したいという気持ちは理解できますが、この先ずっと続けて行くことを考えると、できる限り簡素にしたいと思います。そうやって僕は23回個展をやってきたのです。

ちなみに、今回のG1展アンケートの中で展示方法に関してのご指摘は、一通だけありました。僕が他のグループ展を観る時、展示方法などを気にしたことはありません。作品が大事です。作品から人となりを感じられることが大切です。むしろ、未熟な作品を豪華な額に入れても作品が貧相に見えてみっともなく感じます。僕は他のG展を観る時は、良いところを探すことにしています。他の人たちの作品をちゃんと観て、反対に自分たちの作品をちゃんと観てもらおうではありませんか。

僕たちはG展を通じて多くの皆さんに若々しさや、写真に対するポップな感覚、写真を愛する気持ち、などを伝えて行きましょう。ありがちな、熟練カメラマンたちのG展のように、美しく額装して、写真を上質な趣味のごとく、来場者を上から目線で迎えることは絶対にダメです。まずは、作品に自分らしい愛が込められている事。それが大切です。何事にも、上げ底はだめです。恥ずかしいことです。自分たちが無理なくできる範囲で、自己主張をして行くことが大切です。

昨日、アベちゃん(次回G2参加)が、ニコンサロンでも1日100人から200人程度の入場者だと聞きました。僕たちのG展は人数こそそれに遠く及ばないけれど、他のG展と比較すれば、入場者数は多い方です。ニコンサロンでは写真をやっている人が入場者の大半だと想像しています。僕たちのG展は、渋谷という場所柄、様々な人々が来場します。そんなオープンな場所で開催できることは何より価値があります。

僕は、僕が過去23回やってきた個展と同じ方法でG展をリードしてきました。これからも、自由に若々しく心に残るG展を続けていきます。これは他のG展への提案でもあるんです。皆さんの不満はわかります。でもその不満は、いずれ開催するご自身の個展で思う存分やって解消してください。その時のすべてのヒントがG展の中にあると僕は信じています。

□写真塾マニュアル一部変更(2011.8.15)
9)フォトコンなどに応募する場合は「魚返一真写真塾にて撮影」と銘記すること。
上記一項目を追加しました。これはモデルさんが観た時、勝手に使っているとの指摘のないよう、僕がチェック済みだという証です。以前から参加の皆さんはそうして来たと思いますが。
また、もう一度マニュアルを読んでください。少し乱れてきているので。。
◎マニュアル⇒こちら

第2回G展『ALL GIRL』2012.10開催予定。参加者募集中
2011-08-15 : グループ展 : コメント : 3 :

『夏・アズサ!』・・・2011.8.6


2011.8.6.56th写真塾/model*アズサ

 小麦色に日焼けしたアズサと太めのモッキーとカメラおじさんの僕という三人は、陽射しを遮るもものがまったくない河原の土手の自転車道路をとぼとぼ歩いた。暑いなんてもんじゃない。太めのモッキーは僕が貸した帽子にいっぱい汗を吸い込ませ、絞るとジャーっと水が出そうなほどだった。
 あまりの暑さにアズサはスカートの裾を両手で持って上下に大きくあおり出した。

「これ女子高生がやっているよ、あとは下敷きとかでスカートの中をあおぐ」
「あのぉ~、パンツ見えてますけど。アズサってアグネス・ラムみたいだね。ただし太めの」
「はあ?それ誰ですか」
「ハワイ出身のモデルだよ。肌が小麦色でスタイルが良くて童顔で、昔とても人気があった」
「へ~」

 モッキーの撮影がほとんど終わったころ、僕もカメラを持った。

「とにかく暑いから川に入ろう」
「はい!」
「じゃあ、女子高生がやるやつ、何だっけ、扇風機だっけ?あれやってよ」

 何度も何度もスカートをひるがえすアズサの姿を目の当りにして、アズサは夏が似合うなあ~、と思った。
2011-08-13 : 鉄道と彼女、 : コメント : 0 :

夏の旅・・・その5(efke/R100)



2011.8.7*57th写真塾/model*ナナセ

このフィルムも井上さんがくれた。誰って?カウボーイハットの・・・。これも個性あるフィルムだが、少しは使いやすい。深い味わいがある。きっと前項のARISTA.EDU/ULTRAもシックな場面で撮るべきだったのだろう。Tri-Xなど普通に流通しているフィルムでは撮れない深みがある。
 こうやって個性的なフィルムに触れると、万能フィルムを良しとしてきた僕の考え方にも少し変化が起きるかもしれない。いや、きっと起きるだろう。モノクロが大好きでありながら、ちっとも他のフィルムにチャレンジしてこなかった自分の考え方が少し柔らかくなった気がする。今後も様々なフィルムをテストして行きます。
 これまでにフィルムを提供してくれた、雨ちゃん、井上さん、ありがとう。
2011-08-13 : 鉄道と彼女、 : コメント : 0 :

夏の旅・・・その4(ARISTA.EDU/ULTRA)



2011.8.7*57th写真塾/model*ナナセ+ジョン井上

 実はこのフィルムは井上さんからもらった。誰って?写真の中でカウボーイハットかぶってナナセちゃんを撮っている人。このフィルムは箱で取り寄せたらしいんだ。すごい人だよ、井上さん。これぐらい研究熱心な人はいないな。
 現像後のフィルムを見てびっくり。ぬめっとしていて青い。井上さんから手渡された時、青いよって言われたけど、まさかここまで青いとは。大昔のネオパンも青かった気がするけど、比ではない。
 このフィルムの力はすごい。というか写らなさが驚異的。つぶれ、飛び、どれをとっても超一流。
 いったいどうした?僕のカメラ壊れた?いえいえ、カメラは壊れていません。私を使って撮るとそうなるのでございます。何だって?君はフィルムのくせに写真の仕上がりに関してカメラをしのぐ影響力があるって?はい。そうでございます。とにかく、古い写真に写ることは確かだね。
 あっ、思い出した。井上さんから、日陰で使ってください、と言われていた。後の祭り。たぶん、今回の撮影状況がこのフィルムに合ってなかったんだと思う。今度は曇りや雨の日に試してみよう。
2011-08-13 : 写真塾 : コメント : 0 :

夏の旅・・・その3(イルフォード・DELTA)

images.jpeg
20110806WS008-2.jpg
 2011.8.6*アズサ

 この写真はまったくレタッチなし。とておもそうとは思えない深い描写。しかもナチュラル。黒はTri-Xほどではないものの適度に締まり、特にハイキーから中間域までは他にこれほどの描写をしてくれるフィルムがあるだろうか?と考えてしまう。
 僕の耳に聞こえてくるものは、DELTAならピアソラのタンゴであり、ヘンリーマンシーニのムーディーな映画音楽である。一方、TRI-Xではマイルスのペットやコルトレーンのサックスが聞こえる。料理は、DELTAはおせち料理、Tri-Xは李朝園の焼き肉。ベッドなら、DELTAはムーディで倒錯した大人の夜、Tri-Xは短時間に頂点に達し何度でも行為に及ぶアニマルセックス。ラーメンなら、DELTAは西尾中華そば、Tri-Xはラーメン二郎。絵画なら、DELTAはルソー、Tri-Xはピカソ。女優なら、DELTAはオードリー・ヘップ・バーン、Tri-Xはマリリン・モンロー。風景なら、DELTAはシチリア島の海辺の景色、Tri-Xはキューバの夜の街。どっちも行ったことないけど。

 DELTAを今まで使わなかったことを後悔するほど素晴らしい。DLTA400は536円。つい7月までTri-Xが300円だったから8割高。その後Tri-Xは440円に値上げされたから価格差はぐっと縮んだ。考えてみれば、遠くまで撮影に行く手間ひまを考えたらその価格差は考慮すべきではない。僕は一度の撮影に1~3本しか使わないから、なおさらのことだ。

 しかし、素晴らしさゆえ、そこに落とし穴がありそうな気がする。スクウェアのフォーマットで撮ると何となくシャレた感じがして、自分のスタイルがそうだと勘違いをしてしまうのと同じ。DELTA的な写真を自分の写真だと言い切れるのだろうか。僕にとって悩ましい問題が一つ増えたことは間違いない。それにしても、アズサはいいねえ。ゴーギャンの島の娘みたいだ~、すげっ!

■つづく
 フィルムの印象はネガをそのまま透かしたり触ったりしたり、さらにスキャニングした印象だから一概には言えないだろうけど、印画紙に焼いても味的にはどこかにその印象が残る。その程度で参考にして欲しい。
2011-08-13 : 写真塾 : コメント : 0 :

『奥茶屋バス停にて』2011.8.4


2011.8.4奥多摩町・奥茶屋バス停にて*model*メル

 メルを五日市駅で拾い檜原村を目指した。この村について、東京都とは思えないほど田舎、という表現を聞く。人に尋ねれば、たしかに檜原村はそういうところらしい。しかし、行ってみると驚くほどの田舎ではなかった。もちろん、僕が九州の田舎育ちのせいで僻地に対するイメージが都会の人と少し度合いが違っていることもあるだろう。あ、ここでメルのことを紹介しよう、と言いたいところだが、メルは謎の女の子。
 バス停オタクの間で少しは名の知れた人里(へんぼり)バス停に着いたが特に何も感じなかった。僕はさらに奥へ車を走らせた。行けども行けども、僕の心をくすぐるような古いバス停はなかった。
 はてな?僕はいったいいつからバス停オタクになったのだろうか。大分で『笹』という名前のバス停を撮ったからなのか。そんな疑問を持ちながらも曲がりくねった道をどんどん登って行った。
「あっ」
「あっ!」
 あれだな。メルと僕は同時にそうそうつぶやいた。車を降りるとメルはバス停の小屋のベンチにちょこんと座った。僕はローライの中のスクウェアなその光景を懐かしく感じながら、静かな感動を胸に刻むようにワンロール一気に撮ってしまった。

□メルちゃんが写真塾に登場するかも・・・
2011-08-12 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『雨合羽』さてどれを選ぶ?・・・(魚返の結論)

20110731saki053_edited-2.jpg


「早紀ちゃん、雨合羽を着てくれる?」
「はい!」
「僕が合図したら、空を見上げて欲しい。雨を感じて欲しい。僕はカシャカシャ撮り続けるから、早紀ちゃんは思うように動いていいよ」
「はい。わかりました!」

 早紀は素直で明るくてはつらつとしていて、僕みたいな不遜な男には絶対に手の届かない素敵な女の子です。

***********************************************************

僕が選んだカットは(1)番です。どれを選ぶべきだということではありません。僕のスタンスを考えると選ぶカットは(1)だろうということです。堀内さんは僕の心理をとても良く理解しています。ありがとう。そしてもう一つこのカットを選んだ理由があります。

大切なことは自分らしい写真を撮ることだと考えています。現在撮影されているほとんどすべての写真は過去の誰かの写真に類似しています。模写していると言っても過言ではないのかもしれません。その中で自分を主張することは容易なことではありません。自分らしさ、その写真の意味、それを考慮してセレクトしています。また、写真が若いことも大切にしています。つまり、僕自身が若い感性を発揮していること。

では、今回選ばなかったカットについて説明します。

(2)シックな写真です。僕はこの落ち着きすぎた構図が気に入りません。
(3)奇抜というのが第一印象。それから本人に少し似ていないかな。
(4)素晴らしい笑顔です。こんな笑顔の写真を撮って行くには僕はまだまだ若すぎるような気がする。かなり老齢のカメラマンが撮った写真に見えてしまう。

(2)(3)(4)共通して言えることは、現時点では個展などで展示する理由が見つからないことです。これらの写真に文を添えようとすると難しい気がします。(4)は将来笑顔に興味を持ったらもう一度選び直してみたいと思います。

 僕はこれを選べば良いとされるだろうな、と思った時、もう一度その写真が本当に自分らしいのか考えます。その連続が自分を育てて行くと信じています。
 僕が他のカメラマンの写真を見た時、その人らしいものを選ぶようにしています。たまに自分の趣味でも選びますが。

 コメントをくださった皆さん。本当にありがとうございました。皆さんに囲まれて写真を撮り続けられる自分をつくづく幸せな写真家だと思いました。もう死んでもいいです。(ウソ)

■近日、『さてどれを選ぶ?』パート2をアップします。またよろしくね。(ホント)
2011-08-11 : 写真塾 : コメント : 0 :

『たま子の眼』・・・2011.8.9

 たま子は髪を細めの三つ編みにし品の良い麦わら帽子をかぶった普遍的なお嬢様スタイルだった。そしていわゆるそういう学校に通っている。初対面。「君っ、眼がとてもきれいだね」と言った。たま子の眼をひと言で表現するなら、深い。瞳の動きは、意図的に仕組まれたみたいで、ちょうどアニメーションの少女の眼の動きに似ている。あっ、そうか、もしかして僕は、二週間前ピカデリーでアニメ映画「コクリコ坂から」を観た時、登場していたたま子と同じような眼をした女子高生たちからアニメ少女の洗礼を受けたのかもしれない。

 真夏、その言葉がふさわしい今日のお昼過ぎ、僕はたま子と深い緑の樹々に囲まれたエリアにいた。猛烈な暑さは僕の全身の毛穴から汗を噴き出させていたけれど、たま子は冷えたスポーツドリンクで軽く喉を潤してしまえばそれで暑さをしのげているようだった。僕は、それが不思議だった。こんなに暑いのに?アニメじゃあるまいし。
 僕はたま子に蝶の標本を持たせた。標本箱の中の蝶は僕が捕まえて胸を締め付けて殺した蝶だ。その蝶の羽を開いて板に固定すると数週間ほどで蝶の身体は完全に硬直し美しい標本になった。

「たま子ちゃんの可愛さは、なんと言うか、不思議」
「うっ、そ・う・で・す・か」
 
 たま子の話し方はとてもゆっくりで、彼女との言葉のやりとりは、行ったり来たりする振り子を眼前に置かれてるみたいで、まるで催眠術にかけられているようだった。僕はファンダーの中の世界に引き込まれ行った。青い空、白い夏の雲、樹々の深い緑、そして標本を持った保守的な制服姿のたま子。

「たま子ちゃん、そこの草むらに座って」
「あっ、は・い」
「膝を出して」

 たま子は長めのプリーツスカートの裾を品良くまくり上げて、次に草むらに手を差し伸べ「ショウジョウバッタ」と言って捕まえた緑色の昆虫を僕に見せた。「わ・た・し、む・し・が・す・き」

「下着が写ってもいい?」とたま子に尋ねたものの吹き出した汗でファインダーはとても見にくくスカートの中などまったく見えなかった。「やっぱり、いいや」と僕が言ったのとほぼ同時に「ダメですよ」とたま子の声がした。
 僕はたま子を撮りつづけた。どれぐらいの時間が経っただろうか、僕は持って来たフィルムを全部使い切ってしまった。


「帰ろうか。また君を撮れるといいけど・・・」
「ええ、ぜひ、また、」
「最後にもう一度君の瞳を見せてくれない?」

 僕は暑さとアニメ少女のような深い眼による切なさで気を失いそうになった。
 
□8/21(日)写真塾にたま子ちゃん初登場。。。
□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
2011-08-09 : 放課後カメラ : コメント : 2 :

『夏休みの憂鬱』

20110728002_edited-2.jpg
2011.7.28吉祥寺にて

少年時代の僕は、ほとんど毎年夏バテしていた。そんな夏休みの気だるい毎日は、僕の心の中に闇の巣をつくって、その中で一生分の憂鬱を育てた。僕は今年の夏も、その頃に溜め込んだ憂鬱を小出しにして生活している。目の前の横断歩道を渡る人々も下向いて歩いていて、憂鬱なのは僕だけではないんだな、と思ったりする。ところで少女は学習塾の夏期講習へ行くところ?愛らしい女の子だった。

■『雨合羽』さてどれを選ぶ?、、ですがまだまだCommentを待っています。撮る人も撮らない人も、モデルの方々も、、特に塾生の皆様、是非どうぞ。
2011-08-06 : 放課後カメラ : コメント : 0 :

『雨合羽』さてどれを選ぶ?・・・(問)

撮影の次に難しいのはセレクトです。セレクト時に重大な決断を繰り返しすることで作家の主張が実現されていくものです。僕はしばしば塾生のセレクトに驚かされることがあります。その問題はほとんど全員に言えるのではないかと思うほどです。その驚きとは、どうしてそれを選んだかということより、何故この作品を選ばなかったのだろうということなんです。写真を見せられた時、その写真が選ばれた理由は何となくわかります。ピントやモデルの表情や風景の美しさ、、、しかし、ボツになったものの中に捨てがたいものを見つけた時、僕はその人の全てのセレクトを疑うのです。

さて下の写真は7/31(日)に開催した54th写真塾(早紀)で撮影したものです。雨の公園。携帯用雨合羽を着た早紀ちゃんをライカで連続27枚撮影しました。さてあなたなら1~4(撮影順です)のどれを選びますか?Commentにあなたの選んだカットの番号を書いてください。

(1)↓

(2)↓

(3)↓

(4)↓

2011-08-06 : 写真塾 : コメント : 12 :

『夏』ポーズについて、、

7/24(日)に開催した53th写真塾のモデルは初登場のかおりちゃん。僕は彼女のひ弱な感じながら誠実で芯の通ったところに惹かれた。かおりちゃんに、どんなふうに育てられたか尋ねたほどだ。

僕の写真は、女の子がきゃっきゃと喜ぶような、いわゆるグラビア的なものがとても少ない。時には、まったく顔が写っていないなんてこともある。そんな我がままな僕のフォローをしてくれるのが塾生たちだ。つまり、真っすぐな写真を撮ってモデルたちを喜ばせてくれている。実は今回もかおりちゃんの顔がちゃんと写っている写真がなかった。塾の終盤になってそれに気づいて数枚立て続けに顔を撮ってお茶を濁した。

それにはちゃんとした根拠があるんです。一心に撮ることを心がけている、、つまり撮るからには作品にしたい。だから、グラビア写真を撮っても仕方ないと思う。(本当は撮る技術がないかも)しかし、ここで僕はこれまでに撮らせてくださった全てのモデルさんたちに謝罪します。ごめんね。これから撮らせてくれるモデルさんにも先に謝っておきます。ごめんなさい。

ところで、かおりちゃんは帽子が似合っている。僕は帽子をかぶった女の子が好きだ。日傘も好きだ。問題はどう撮るか・・・。僕は帽子を主に考えて撮影することを提案した。モデルの目もいらないと。(上の写真)そしたら、塾が始まって最初に撮ったつかださんが「私もそう撮りました」と言った。その後、つかださんのポージングを見ていて、、ほほ~、とうならせるものがあった。下の写真は、単に横から撮っただけなのだが、僕はとても関心して、「僕もいただきます!」と言って撮ったのである。つかださんにパチパチ。

□43th塾の参加者と第2回G展の日程について話し合いました。夏の作品が展示できる10月が適当だろうという意見。。


2011-08-03 : 写真塾 : コメント : 1 :
ホーム

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター