『花札と宿題』&『爪切り・その2』
『花札と宿題』
2016.2.27 models*T子&G子&M子
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僕は花札が好きな少年だった。トランプよりずっと好きだった。僕は家の隣にあった文房具屋で任天堂の花札を買った。花札あそびに憧れるということではなくただ絵柄が好きだった。十二ヶ月×四枚の計四十八枚を繰り返し畳の上に並べた。やがて僕は花札自体に悪が込められていると感じ始めたのだった。
T子とG子とM子の三人は同じ中学の同窓生で今は別々の高校へ通っている。
T子の家は戦前に建てられた二階建ての日本家屋である。時々三人は放課後にT子の家に集まって二階の畳の部屋にある円座卓の上で勉強をするが、真面目に勉強しているのはG子とM子のふたりで、T子はシャンソンを聞きながら花札で遊んでばかりだ。やがてT子は悪戯を始めるが他のふたりは構わず宿題にむかっている。T子の悪戯はいつも決まっている。両脚を開きパンツを脱ぎあそこを両手の人差し指で開いてふたりに見せ、そこに花札の坊主を当てる。
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『爪切り・その2』
2016.2.27 model*T子
ひとりになったT子は板張りの廊下で爪を切る。脚を開いて爪を切る。娘にとって大人たちがする醜いことへの憧れが仕草のどこかに出ている。わたしを犯してごらんなさい。さもなければあなたが犯されますわよ。
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“MOSO”

"MOSO"の表紙

"MOSO"は印刷終了し発送準備中。。2016.2.22
出版はLieutenant Willsdorff(ルーテナント・ウィルスドルフ社)です。
※この本は完全なフランス仕様で日本国内では販売できない内容を含んでおります。
購入をお考えの方はご注意ください。
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"MOSO"
Lieutenant Willsdorff 刊
サイズ/201mm×148mm
144ページ
値段42ユーロ
Lieutenant Willsdorff(ルーテナント・ウィルスドルフ社)代表のダミアンは「魚返一真の写真からは不可思議な忘れがたい詩が聴こえてくる。隣家の娘とでも呼ぶべき女たちが自らを捧げるように被写体となった結果、美しく傷つきやすく目も眩むほど純白な妄想写真を実現している。」と評している。
・ダミアンが出版に寄せた全文は以下のとおりです。
http://www.bekkoame.ne.jp/%7Ek-ogaeri/MOSO/MOSO.html
□"MOSO"を出版するLieutenant Willsdorff 社
HPはこちら→ http://lieutenantwillsdorff.com/
"MOSO"はこちら
http://lieutenantwillsdorff.bigcartel.com/product/moso
※この本は完全なフランス仕様で日本国内では販売できない内容を含んでおります。
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『旅立ち』・・・撮影報告
2016.2.10 model*ティーナ
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エメラルドグリーンのキャリーバッグが目印です、とティーナはメールに書いていた。派手なキャリーバッグを引き、こじゃれたビジネススーツ姿で待合せ場所に現れたティーナは僕を見つけると、19年前と同じ笑顔ときっぱりとした口調で、お久しぶりです!と言った。あまりに大きなティーナの声に通行人が振返った。相変わらずだ、と僕は思った。
僕がティーナを撮ったのは彼女が19才のときで、阿佐ヶ谷の通りに露駐していた自転車に股がるポーズでパンチラという写真だった。それからティーナは世界中を駆け巡った19年だったという。近いうちにまた旅立つらしい。置きみやげにまたパンチラをどうかな。いいですよ。春一番らしき強い風を避けるために身を寄せた大木の下でティーナは得意だというバレエのポーズをとった。
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G6

魚返一真写真塾グループ展『ALL GIRL.6』の開催が決まりました。2016.9.20TUE〜25SUN.場所〜アートコンプレックスセンターACT.5です。お洒落なギャラリーです。。
http://www.gallerycomplex.com/index.html
□今回は少し違った趣向を考えていますので参加ご希望の方は是非。。
□塾生でなくても参加できる可能性があります。(審査があります)
ご興味がある方はこちらへメールください。 ad28682@ha.bekkoame.ne.jp
『性問題の研究』・・・撮影報告
2016.2.6 model*うい
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昨日ダミアンからフランスの印刷所でMOSOを刷り始めたと連絡が来たのだが、僕にとってかなり大きいはずのその知らせは、突然ういが僕の前に戻ってきた驚きに掻き消されてしまった。「平和でない精神的な倒錯の状況に平和を感じてしまう」と、ういのメール。「ういは、かろうじて平凡で清純な姿を保っているのだろう」と僕は返した。
僕たちは真冬の河原に辿りついた。
ういはどうしてあんな本を持っているだろう。「なぜ?」「ええ、これは私の・・・」ういは何か言おうとしてやめてしまった。その本のタイトルは『性問題の研究』で、性に関する真面目な論文集のようだった。それはういの僕への挑戦?などと考えてみたが、ういがそれを持参した本当の意味はわからない。
撮影は遊びではない、そう自分に言い聞かせるため、いや本当はういにわからせるために、僕はこの清純で乙女チックかつ罪なき娘に対してどこか命令的にならざるを得なかった。まず、寒い河原に立ち『性問題の研究』を抱いたういにスカートをたくし上げるように指示したのである。当然だが、その先はただエスカレートするばかりで決して後戻りすることはなかった。撮影中バックに流れる曲はピアノトリオが演奏する『Exit music』である。それは僕が13才の僕を刺激した映画ロミオとジュリエットのエンディングテーマだった。
僕はまた、これは恋ではないという強い意志を示すように凍える娘に命令をつづけたのだった。
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