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『妄想少年の文学』・・・撮影報告



2016.4.22 model*risu

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 十代の僕は自分のことを文学的文盲だと考えていた。僕は高校一年まで小説を一冊も読まなかったからだ。初めて読んだ小説家は大江健三郎でノーベル賞を受賞する20年以上前だった。読んだというより読まされたというのが本当のことだった。越境して高校に入った僕は寮生活をすることになった。(寮と言っても民家に近かった)同室となった高三のM先輩のひと言でそれは決まった。「これを読んでみなよ」と渡されたのが大江健三郎の『性的人間』(たぶん)だった。ある日、僕たちの部屋に高校の教頭がやってきてM先輩にかなり長い説教をした。M先輩は高校の屋上から良からぬビラをまいたとのことだった。もちろんそのビラは高校にとって都合が悪くM先輩にとって正義であった。先輩は穏やかな性格で勉強はあまりしない人だったが、同室の僕はそれなりに居心地が良かった。実際のところ僕は大江健三郎を読んだふりをしただけに過ぎなかった。今度は同じ寮のS先輩から「これ読んでみいや」と漱石(たぶん『こころ』)を渡された。僕は文学的文盲であったから読むのが遅く三週間をかけて百ページしか読んでいなかった。するとS先輩が「本を返してくれ、妹に貸す。お前より妹の方が大事だからな」といったので僕は小説を読み終えることなくS先輩に返したのだった。

 それから40年が経った。その間に『こころ』は何度も読み返し毎回違う印象を持った。最後に読んだのは昨年で読み終えたあとこころの整理をするために少し時間がかかった。つまり僕は出会って45年目で初めて感動したのだ。

 このごろ急に可愛らしくなった女子高生・Risuを杉の樹の根元に座らせた。ぶ厚く重い漱石全集の一巻だけを持たせて適当なページを開かせた。この漱石全集は赤い刺繍っぽい柄が施された豪華なカバーの岩波のものだ。美しい春の日射しを背後から受けた女子高生と漱石全集を見ていたらあの日々が甦ってきた。文盲だった頃のことだ。しかしその時期に僕は優れた妄想を培った。僕は文盲だったからこそ妄想が深かったのかもしれない。そして僕は、漱石と女子高生と彼女の白いパンツの下との混沌とした関係を妄想しながら撮っている。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。











2016-04-24 : 28thに向けて : コメント : 0 :

(回想)柱時計の思い出

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2012.4.6/model*ジェマ

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赤いワンピースの秘密について誰かに伝えたい
恋というのではないけれど、息苦しさと切なさがあった

ベランダに放置した柱時計の文字盤に砂粒を見つけた
その砂の一粒を人差し指のつま先に載せて、そして空へ弾き飛ばした

もう一粒を口の中に入れ飲み込むと
遺骨の味がした

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□被写体モデル募集。。ただ美しいだけではなく作品を撮らせてください。連絡は ad28682@ha.bekkoame.ne.jp
2016-04-22 : 未分類 : コメント : 0 :

『秋の組曲』(回想)

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 僕が中学一年生のとき教室のあちこちに穴があった。たとえば、教室の後方の壁にある連絡用の黒板のすぐ横や天井そして女子生徒の机の下などにあった。それは覗き穴だった。僕はその三つの穴を時と場合によって選んで訪れた。
 何を覗くかというと、放課後女の子たちが談笑する教室の風景や体育のための更衣、そして机に座って勉強をしている女の子のスカートの中だった。この素晴らしい経験がもたらしたものは、13才までに覗きというものにごく自然に慣れ親しみ成人を待たずに変態化したことだろう。そして、心の中に覗き見た女の子たちの残像が固まっておそらくエロスの成長はそこで停止した。
 信じてもらえる自信はないが、一番印象に残っているのは放課後の教室で女の子たち数人が談笑している場面である。女の子だけの世界を異性の僕が覗き見する状況の素晴らしさは、三島が『午後の曳航』に書いてあるとおりである。(三島の場合は対象が美しい母であったが・・・)

 僕はカーステレオから『フランス組曲』を流しながら覗きの経験を三人娘に熱く語った。僕は覗き見たあの放課後の思い出を甦らせるためにこの三人を連れて車で郊外へやってきた。秋の陽射しはやわらかく照らし女の子たちを包む世界のすべてがセピア色だった。僕はそのノスタルジックな楽園で思う存分女の子たちの放課後を撮影したのだった。たとえば、三人が輪になって遊んだり、列になって一人足りないアビーロード歩きをしたり、女の子同士頬ずりをしたり、ルーズに座った女の子の下着が見えたり、さらに下着さえ脱いで股間を開いて読書したり・・・。

 思う存分放課後を撮った僕はついに目眩とともに立ち尽くし、色づき始めた樹々の葉っぱが雲ひとつない秋空に浮き立つのをただ眺めていた。そして、<あの日々こそ僕がいちばん幸福な時代だったんだな>、、そう心の中でつぶやいたのだった。



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□モノクロは修正しています。無修正版は27th個展にて展示します。


□被写体モデル募集。。ただ美しいだけではなく心に残る作品を撮らせてください。連絡は ad28682@ha.bekkoame.ne.jp
2016-04-22 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :

『写真集食堂めぐたま、にて』


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写真集食堂めぐたま/僕の写真集「鉄道と彼女」と"MOSO"

 
高森線(現在の南阿蘇鉄道)1970.10撮影。

2016.4.20 写真集食堂めぐたまにて

 昨日、恵比寿(渋谷区東)にある飯沢さんの「写真集食堂めぐたま」に行った。フランスで出版した"MOSO"と「鉄道と彼女」があった。"MOSO"は白いカバーに手書きの文字でKazuma Ogaeri MOSOと書いてあった。それはさておき、「鉄道と彼女」は良い作品集だと感じた。世界中の写真集の中にあっても決して埋没することのない個性がある。売れないとわかっていながら自由に作らせてくれたぶんか社の角谷さんに感謝気持ちでいっぱいです。ページをめくるうちに、その本に収録した高森線(現在の南阿蘇鉄道)の写真を見て絶句した。1970年に撮ったものだ。阿蘇の地震でこの白川鉄橋はどうなっているのだろうか。故郷ともどもとても心配。故郷は大分の山間部で山に登れば阿蘇がすぐ近くに見える所だ。


□なぜ”MOSO”に白いカバーがしてあるかというと、出版社のダミアンが几帳面な人で黒い表紙にキズがつかないようにと、一冊ずつ丁寧にカバーしたのだが、そのカバーの紙が立派すぎて捨てられないのである。たぶん、飯沢さんはそのカバーにタイトルと僕の名前を書いたのであろうと想像している。

□めぐたまの料理は素晴らしいです。毎日でも食べたい。
2016-04-21 : 記憶 : コメント : 0 :

『梅の樹の下で』


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2016.03.04 model*りな

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りなと過ごす時間は穏やかに流れていく
りながすごく無口だから。
りなとの時間は怠惰に流れる
まるで春眠のごとく緩くぬるいのだ。

脱ぎなさいよ
・・・
黙ってないで、パンツ脱ぎなさいよ。
あと三回くりかえしたら脱ぐかもしれない?
ええ、そうするかもしれません。

満開の梅の樹の下に座って、
フランスの本をひらいてだらしなく脚をひらいてごらん。
ええ、それならわたしできます。
信じられないぐらいだらしなく脚をひらいてごらん。
ええ、わたしそうします。

フランスの本にりなのパンツ写っているよ。
ああ、ほんとうだ。
りなとの時間は怠惰に流れる
まるで春眠のごとく緩くぬるいのだ。

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□この作品はモノクロもとても良いです。


2016-04-21 : 28thに向けて : コメント : 0 :

被写体モデル募集!!


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2006.11.10撮影/model*ミッチ

ネットを通じて応募してくれる女性も同じようにお一人ずつ丁寧に作品にして行きたいと思っています。

○作品・被写体モデルと写真塾の被写体モデル(ギャラあり)を募集しています。詳細はこちらをどうぞ⇒⇒⇒
○現在募集しているのはカメラマン、フォトテクニック、日本カメラなどに作品を発表している魚返一真の作品の被写体・モデルで28th魚返一真個展、魚返一真写真塾、海外出版収録作品が対象です。
2016-04-21 : 未分類 : コメント : 0 :

『草木が芽吹く頃に少女は』・・・撮影報告


20160412dsc06847GG80のコピー


2016.4.12 model*リス、美乃里

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 少女が大人になる瞬間に立ち会えるとしたら、それは男にとって奇跡と言えるだろう。何故なら少女というものは大人になるための儀式を大抵は密かに行っているからである。少女というのはリスのことだ。二ヶ月前に会った時のリスには男の子のようなところがあって、少女というより少年ではないかと思う瞬間さえあった。しかし、リスがわずかな時間で脱皮した。
 リスの変化についてこれ以上語ることは避けたいと思う。この日撮った二種類の写真を皆さんに観て頂いて感じてもらうことでしか、本当のことは伝わらないと考えるからである。最後に、僕はこういう写真を撮らせてくれたリスと美乃里に感謝するとともに、過去にこの種の写真を撮ったことことは一度もないことを付け加えておきます。


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□この作品はトリミングしています。またベストショットではありません。本当の作品は個展で発表予定です。



2016-04-20 : 28thに向けて : コメント : 0 :

『白い肌と赤い紐』


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2016.3.22 model*yoko

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 わずかに白い肌が視界に入っただけで心がざわめいた。雑貨屋のポストカード売り場に立っていたyokoの後ろ姿を見つけたときのことだった。その肌はただ白いというだけではなかく特別な潤いがあった。僕はyokoに吸い込まれるように近づいていった。すいません、と話しかけると、美しい瞳を僕に返してきた。Yokoには僕を一瞬で夢中にさせるほどの愛らしさがあった。

 もうすぐ桜が開花するだろう。そして僕は少年時代に経験したさくらにまつわるの負の思い出を甦らせるだろう。僕はyokoの肌が一時的にでもその憂うつな気分を忘れさせてくれることを願った。赤い紐を買った。yokoの白い肌を縛るためだった。

 樹の下でyokoの白い手首を縛った。とても嬉しかった。そのあと両足と胸を縛った。Yokoの白い肌は赤い紐によってさらに白く見えた。

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□モノクロ作品もとても良いですが今回は赤を見せるためにカラーを選びました。機会があれば両方をご覧に入れたいと考えています。




2016-04-19 : 28thに向けて : コメント : 2 :

『Purple』


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2016.4.15 model*Olivia

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 数日前のことだ。今年も紫の花が群生している場所へ行ってみた。春になると咲くこの花には大切な思い出がある。2001年の春の或る日、僕は少女・KEIKOと遊歩道にいた。土手に咲いていた小さな花をみて「あっ、紫大根だわ。わたしの大好きな花」とKEIKOは言った。そのあと純白のエプロンドレスだけを身につけた少女はロリータな写真を撮らせてくれたのだった。紫色の花が咲くと僕はあの時のことを思い出す。

 紫大根の群生は今この瞬間がまさに満開だと思った。僕はOliviaをつれてこの場所へやってきている。僕はやはりKEIKOを思い出していた。そしてタイプの違うOliviaとKEIKOを無理に重ね合わせていた。それが出来るのはこの紫の花の魔法なのだ。ここへ座ってごらん。そして君に足枷を着けてあげよう。つぎに黒い紐で君の両手首をコンクリートの柵に縛るんだ。Olivia、もう何処にも逃げられないよ。Oliviaは観念し宗教画に描かれた欧州の女性みたいにその場に納まった。
 空は雲ひとつなく日射しはOliviaの斜め後方から射している。なんてチャーミングなんだ。ちょっとだけELLEのグラビアページみたいに見えるところが気にいらない、などと贅沢なことを思ったけれど、それがOliviaの魅力だから受入れることにして眼の前に広がるPurpleな宗教写真を撮影した。

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□この時撮ったモノクロネガとカラーネガで撮影した写真を同時にご覧に入れたいと思っています。



2016-04-18 : 28thに向けて : コメント : 0 :

『偶然の一致』・・・撮影報告


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2016.2.11 model*さくら

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 娘を連れて河川敷を歩いた。ただただ寒かった。「あのね、そこのコンクリートの敷石に座ってブラウスの前を開いてごらん。胸を撮りたいんだ」娘はだまって従った。そして娘に漫画本を手渡した。

もってきた漫画本の中で
一ばん気に入っているページと
娘が適当に開いたページが一おなじ
偶然の一致はいけないことのはじまり
そのページに描かれた緊縛娘はおまえだよ
少なくとも次に会うときにはそうなっている。

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□この作品は本文の作品を撮る前のものです。
□本文中の作品は後日または他の媒体や個展で展示します。(修正後ブログでアップも・・)




2016-04-18 : 28thに向けて : コメント : 0 :

『黄色いバラ』


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2016.1.9 model*たま子

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 娘と歩く。ある伝説的な作家が夕焼けを見るために度々おとずれたという鉄道を跨ぐ橋へ向かうつもりである。僕も数年に一度はその橋へ行きぼんやり空と電車を眺める。駅前の花屋で、何か選んでごらんと娘に言うと、娘は「黄色いバラ」と小声で言った。一輪だけ買うとまた歩き始める。橋へ着いた。鉄柵にもたれてごらん、それからスカートを上げてごらん、下着が見えるまで。
 今日の娘の装いは、白いブラウス、黒いセミロングのフレアスカート、グレーのロングコート、そして真っ赤なマフラーを首に巻いて、手にした黄色いバラが映えている。

 また歩く。ケヤキの大木の連なりに沿って歩いた。枯葉に囲まれたベンチに座る。低い冬の太陽が黄色いバラを鮮やかに照らした時、少し躊躇したけれど、脚を開きなさいと言ってみた。

 また少し歩いた。上水の脇を通る小道の入口の車両止めの錆びた鉄枠に娘を軽くもたれさせた。胸を出してごらん、と言うと娘はしずかに前をひらいた。また低い太陽が娘のパープルグレーのショルダーバッグに差込んだバラを鮮やかに照らした。コートのグレーをベースに、赤いマフラーと黄色いバラとバラに数枚ついている緑の葉、そして背後の空の青は、仕組まれたように見事に調和していた。その刺激的な調和に見おぼえがあった。あっ、ギュスターヴ・モローだ!娘はこの原色の色づかいが自分の白い乳房と薄ピンク色の乳首を際だたせることを知っていて、あの駅前の花屋で黄色いバラを選んだんだな、絵画に精通したこの娘ならやるだろう。

 この娘の本当の美しさは純潔であると改めて思う。


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□ここに掲載した写真は修正しています。
□無修正作品をご覧になりたい方は次回28th個展へいらしてください。(展示予定)






2016-04-16 : 28thに向けて : コメント : 0 :

『地方都市の女子高生』・・・撮影報告


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2016.2.15 model*リス

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 昨日ふいた春一番の南風は明け方にはとおりすぎて今朝は北風にかわっていた。僕とリスが川へ向かって歩いていると小雨が降ってきた。リスを土手へ向かう道路の下で雨宿りさせて、僕は撮影場所を探そうとフードを被り土手の上に出てみたら、河川敷グランドでは野球をしている人々があわただしく片付けをはじめていた。僕は早々と撮影を終わらせた方が良いと思ったので、土手の上に上がっておいでと、リスに手をふって合図した。
 リスは制服を着ていて、その姿にはまだあどけなさがが残り少し古くさくて、まるで地方都市の女子高生でしかも20年前の女の子だった。僕は土手と川を仕切る紅白の車止めにリスを座らせた。寒いね。早く撮ってしまおうか。突然携帯をいじるリス。スカートをあげなさい。胸を出しなさい。この瞬間僕の中で流れはじめたゲンスブールの卑猥な唄について語りあえないことが残念だった。
 
 それから30分後には、僕とリスはサッカー場の脇にいた。小雨の中で撮ってはならない写真を撮った。つまり、それは僕の少年時代の妄想だった。

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□作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。(アップした写真は作品ではありません)


□被写体モデル募集。。ただ美しいだけではなく心に残る作品を撮らせてください。⇒⇒⇒こちらへ

2016-04-15 : 28thに向けて : コメント : 2 :

『モヤモヤは姫踊子草とともに』・・・撮影報告



2015.4.9 model*Olivia

                  ﹆

 Oliviaと出会ってから4年。正確には4年と7ヶ月と一日がたった。初めて見たその姿は羽化したばかりの蝶のアサギマダラのように何ひとつキズのない完全なものだった。そして現在まで僕の前でずっと美しい娘でいてくれた。いや、僕に限らず何時だって他の誰の眼にも綺麗な女の子であることは間違いない。しかし、僕はOliviaの微妙な変化があるように思えた。それはYesterdayを唄うPaulの唄い回しがLiveごとにやや違う程度のことではっきりと何処がどう違うのか指摘するのは難しい。しかし、僕は確かにOliviaに変化を感じていた。そのことで僕はモヤモヤしていた。

 舗装道路の排水溝の脇に溜った桜の花びらをOliviaに手ですくって袋に入れるように言った。Oliviaは桜の花びらのしっとりした手触りを楽しんでいるようだった。「この花びらをどうするのですか」「わからない。でも僕は毎年桜の散るのを待って吹きだまりで花びらを両手ですくっている」「赤ちゃんの肌のように細やかですね」「そう、エロチックだと思わない?」

 僕は姫踊子草が好きだ。あの微妙な色合いと複雑な構造には奥深い魅力がある。その魅力を誰かに伝えようとするとき、僕はモヤモヤしてしまう。きっと姫踊子草の魅力について明瞭に説明された文章に出会えないのは、その魅力を言葉で表すのが困難なため誰もが語ることをあきらめたからだろう。ともあれ僕は姫踊子草が生える季節がやってきたことが嬉しかった。

 Oliviaを姫踊子草が群生する草むらに連れてきた。そして僕は姫踊子草と添い寝するような感じでOliviaを寝かせた。空は曇っている。そのせいかOliviaは眩しそうに瞼にちからを入れることなくリラックスしているようだった。僕はさっきOliviaが両手ですくって集めた桜の花びらを彼女の身体を囲うようにばら蒔いた。美しい。本当に美しい。そう声に出した時、僕のモヤモヤは消え去った。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
□この日はその他に『しおれかけた薔薇』『自縄自縛してみる?』の二作品も撮りました。




2016-04-09 : 28thに向けて : コメント : 0 :

『オリビア』・・・撮影報告



2016.4.2 model*オリビア

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 オリビアを連れて街を歩いたり一緒に電車に乗ると何となく誇らしい気分になる。スラリとした肢体、エキゾチックな容姿、ナチュラルソバージュのロングヘアー、個性的なファッション。誰もがオリビアを連れて歩きたいと思うだろう。しかし次の瞬間に僕はかなり昔の自分を思い出していた。

 四十二年前、そう桜が満開で今日と同じような季節に僕は東京へ出て来て賄い付きの高田馬場の下宿に住みつき、大学の入学式にも出ずに下宿の三畳間で何もせずに過ごした。鉄道ファンの僕なのに電車や地下鉄に乗るのが怖かった。(理由はここでは省く)やっとできた友人のノブと原宿へ行ったときのことだった。竹下口の改札で駅員に切符を渡すとき「これでいいんだかね?」と僕は言った。これは僕の故郷の方言ではない、ただ緊張して変な言葉になったのだった。それからノブは、例えば女の子に僕を紹介するときなどに必ずこのエピソードを披露した。そして、このエピソードは四年前に突然やってきたノブの死とともに二度と語られることはなくなった。

 経緯は省くが、僕はオリビアを拘束することにした。「これから君を縛るよ」「わかりました」僕は黒い何本かのヒモで両手と太ももを露出させた両足、そしてスレンダーな胴体などを慣れない手つきで縛った。そしてそれをネガフィルムで撮影した。「どうだった?」「日頃の罪を悔い改める事ができたような気がして今はとても清らかな気持ちです」とオリビアは神妙な顔で言った。僕の方は、最初は罪の意識があったけど、すぐに魔性が僕の中に根づいてしまったような気がした。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。。


 

2016-04-03 : 28thに向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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