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『スターチスの花』

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2018.6.27 model*莉菜


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 久しぶりに会った莉菜の髪はショートだった。以前切って欲しくないと莉菜に言った事があったけど間違いだった。莉菜はショートがとても似合っていた。

 莉菜と河川敷スタジオに向かう途中、花屋に寄って紫色の花(ただの枝に見える)を買った。その花を選んだ理由は、莉菜の落ち着いた色使いの服装に合わせるためだった。実は、昨日もあの人の絵を見るために東京駅のギャラリーに足を運んでいた。そのせいで目に入るすべてが昔のことのように見えていた。あの人とは、夢二である。やや古風な今日の莉菜、色の着いた湿った風、紫色のぶっきらぼうな型の花、歳の離れた二人、殺伐とした河川敷、平坦な空、などが創り出した風景には夢二を想わせる何かがあった。そこで僕は莉菜がかなり無理して見せてくれた(たぶん?)背中を風の中で撮った。僕は「愛らしいね」と何度も言った。莉菜は年々少しずつ魅力を増やしつづける不思議な女の子なのだった。

 撮影後また花屋に戻った。
「すいません、さっき買った紫色の枝みたいな花の名前を教えてください」
「ああ、それはスターチースだよ」とぶっきらぼうに花屋のおばさんが言った。
「えっ?スターチーズですか?」
「いや、ちがうよ。スターチースだよ」

 家に帰って調べてみると正しくは『スターチス』と呼ぶ花で、少なくとも夢二の時代の日本には存在しない花なのだった。


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□この作品に興味がある人は拍手してください。
□この作品は九月の個展で展示します。(他のカットになるかも)






2018-06-29 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :

『エヴァについて』





2018.6.26 model*エヴァ

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 すでに夏の後半ではないかと目を疑うように日焼けし、小麦色したエヴァの肌はすべての男性に向けて挑発しているように見えるのだが、実は彼女にそんな気はまるでない。そこがエヴァの不思議なところで、そこに美があると思うから、そうしているだけなのではないだろうか。

 灌木の間を分け入り人の気配を避けて秘密の場所へ向かった。遠回りして辿りつくとすぐに撮影を開始した。「背中を撮らせて欲しい」とエヴァに言うと、すぐに後ろを向いて青いコットン生地のワンピースの背中側ファスナーを下げた。濃紺のブラとお揃いのかなり洒落たパンティーも見せたのだった。僕は「もう少しファスナーを下げて欲しい」と言うと、エヴァはそれに従い、ついにT-バックから漏れ出したお尻を露出した。僕はそのエロチックな姿を前に呆然と立っていた。そして、ひたすらシャッターを押したのだった。
「美しくなったね」
「そうですか?」

 エヴァと別れたあとに考えた。あのエロチックな下着も、それを着けることに美があるからで、決して男を挑発するためではないはずだと。いや、待ってくれ。もしかしたら、挑発こそが彼女にとって美であるのかもしれない。しかし、エヴァは自分のことを僕たちが思うほど魅力があると考えていないこともわかっている。さて、何が本当なんだろう。ともあれ、美女を撮るのは悪くない。

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□この作品に興味がある人は拍手してください。





2018-06-28 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :

スカウト人生・・・序章

『序章』

 写真家になると決めた時、当然だけど被写体には女性を選びました。プロカメラマンになってからタレントやプロのモデルを使った商業写真は作品ではないと考えていましたから、女性を撮るなら一般女性でなければならなりませんでした。つまり僕にとってスカウトは必然だったのです。

 スカウトは街で声をかけるのだから歓迎されるものではありません。それでも僕はやめなかった。日常における一般女性との突然の出会いはそれ自体がサプライズで、スカウトした瞬間のトキメキは時間の経過とともに様々な型(恋愛感情やエロス)に変化し作品に反映されました。

 とは言え、スカウトは難しい。たとえ話を聞いてくれたとしても、簡単に撮らせてもらえるものではありません。26年もの間難しいスカウトを成功させ続けられたのは、僕に声をかけられた女の子たちが賢くて『粋』だったからだと考えています。




□過去のスカウト談を少しずつ書きます。(続きを読みたい人は応援の拍手を!)







2018-06-21 : スカウト : コメント : 3 :

『掌』

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2018.6.17 model*わおん

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瞳は汚れなく澄んでいた
掌いっぱいにするものは何でしょう
清潔な青年から注がれた溢れんばかりの愛でしょうか
数十秒前まで僕が娘の掌に載せていたのは赤い縄でした。本当はこの娘の手首をきつく縛りたかったのです。
でも、僕は娘の瞳に負けてしまったのです。

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□この作品に興味がある人は拍手してください。




2018-06-18 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :

『川のほとりで・ツル植物と娘』

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2018.6.16 model*たま子

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 しつこい霧雨がやっと止んだ河原を二人で歩いて行く。黄色いお花畑を通り過ぎると、ツル植物が這う僕のスタジオに辿り着いた。娘は去年とどこか違っていた。一緒に歩いていると女を感じるのです。以前より華麗になって色気が出てきたのもあるけれど、内面に変化があったと考えるのが正しいような気もします。久しぶりに娘の美しい乳房を拝めると思うと胸がキュンとしました。でも、今日は穏やかに背中を撮ることが目的なのでした。やはり、夢二が僕の中に居座っているからです。

 地を這うツルをちぎって娘に渡しました。「さあ、服を脱いでください」と言ったその後は、いつものように僕たちは言葉の要らない関係になり、背中を撮り、やっぱり乳房を撮りました。
「美しくなった。何があった?」
「さあ・・・」

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□この作品に興味がある人は拍手してください。
□これは展示作品ではありません。作品は九月の個展で展示します。



2018-06-17 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :

『川のほとりで夢二』

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2018.6.14 model*オリビア

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 昨日観た絵の残像が僕の脳裏に残されていたけれど、まさかそれが今日の写真に影響を及ぼすとは想像もしていませんでした。なぜなら、その画家は僕の作風とはまったく違っているし、その画家の被写体がとても日本的であるのに今日のモデルがやや洋風からです。ちなみに昨日の画家とは竹久夢二なのです。

 これから行く多摩川のスタジオは先週理絵子と訪れた時に静かな感動があり、そのことが今日の撮影に繋がっているとも言えるのです。さて、美しい娘と多摩川にやって来ると、一面に黄色い花が咲き乱れていました。僕は花を丁寧に花鋏で切って束ね、娘に渡したのです。この花束こそ無意識に現れた夢二の影響でした。

 最初に花束を抱いた娘の美しさに驚きました。そのとき、理絵子が教えてくれた女の子の背中を撮ることの悦びを思い出したのです。僕は「ブラウスを肩越しに下げて背中を見せてくれないかな」と言いました。そして、やや振り向き加減にこちらを向いた娘の背中を撮ったのです。あれ?僅かだけど夢二っぽいな、と思ったのです。

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□この作品に興味がある人は拍手してください。
□これは展示作品ではありません。作品は九月の個展で展示します。


2018-06-15 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :

『梅雨晴れのワン・ノート・サンバ』

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2018.06.09 model*理絵子

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 再びソバージュの娘を撮れると思うと胸がときめいた。数日前の天気予報を覆し見事な梅雨晴れは、またしてもこの娘が夏を持って来たのに違いないのです。
 スカウトした日のことを思い出す。ソバージュの髪に見え隠れしていた横顔がなんとも素敵だった。そして僕の耳にはボサノバが聴こえていたのです。その理由は理絵子の声と話し方に関係があると気づきました。理絵子は抑揚を抑えたトーンで、ゆっくりと話します。それは、ややスローにした『ワン・ノート・サンバ』を聴いているみたいなのです。

 僕はホームで待ちました。約束の時間に到着した電車の、僕が立っている目の前のドアから理絵子が降りて来たことがちょっとしたサプライズでした。理絵子は帽子を被っていて、黒いワンピースと、あのソバージュとがとてもマッチしていました。僕はカメラを出して、発車してスピードを上げる電車をバックに理絵子を撮りました。
 それから僕たちは多摩川へ行きました。去年あれほど通った僕の河川敷スタジオは、あの時のままだったことに驚きました。冬が来て草花が朽ち果てた後、また同じ場所に同じ緑が生えて来たのです。「石に文字を書いてください」と理絵子に言うと、「逸脱の『逸』を書きます」と応えたのですが、僕は秀逸の『逸』ではないかと思われたのです。

 理絵子はやはり特別な魅力を持った女の子だと思った。だって、理絵子をフレームに入れると、やっぱりボサノバが聴こえて来たからね。

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□この作品は九月の個展で別のカットを展示予定です。興味のある人は拍手をお願いします。
□去年の秋、たま子、オリビア、美月、マリア(他)が文字を書いた石は同じ場所にありましたが、文字は殆ど消えていました。




2018-06-10 : 32th個展に向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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