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『秋はため息』

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2018.11.17 model*理絵子

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 駅で再会したとき、もはや息苦しさがあった。理絵子が美しかったからという以外に彼女の純粋すぎる視線を浴びるのが怖かったのです。今の僕にはそれを受けとめる力がないようです。いいえ、少年のころから今まで純粋に対する怖さがあるのです。実は過度な純粋は、ある種の暴力ではないかとさえ思うことさえあります。彼女に対して美しいと言葉にして良いのかとか、肌を見たいと言って良いかという不安があります。

 川べりまで辿り着きました。誰もいませんでした。僕は何を撮りたいか正直に伝えました。すると、しずかにカーディガンを下げて両肩を出し、背中を見せてくれました。その瞬間、再会の時と同じように僕を息苦しくしたのでした。理由は理絵子が美しかったからです。そのとき浮かんだ言葉は『秋はため息』でした。

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□作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。






2018-11-19 : 33th個展 : コメント : 0 :

『暮色の時間に君がいる』

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2018.11.16 model*美月

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 午後三時に中央線のある駅前に現れた美月はJALの封印シールが貼られた大きなトランクを引いていた。つまり、空港から直接ここへ来たのだ。そんな彼女を見て僕はとても混乱した。だって、今日は川へ行くことになっているはずだけど、このトランクを引いて行けるはずはない。美月は少しも動揺した様子がない。この娘は無意識に、どうして?と思わせて、同時に男たちを悩ませ惹きつけるのだ。この娘に似ている子はどこにもいない。この娘は世界中にたったひとりしかいないのだ。そんなことを考えていると、美月が「これをどうぞ」とお土産を僕の眼の前に差し出した。

 とにかく電車に乗った。川へ向かう途中、考えがまとまるだろう。会話すら途切れた二人を乗せた電車は西に傾きかけた黄色い日射しを浴びて南へ走る。もう原点に戻るしかない。僕の大好きな川の土手でチラリズムを撮ろう。

「スカートを上げたりブラジャーを見せたり誰も見ていない隙にやって欲しい」
「人がいますね」
「いるね。でも君ならできる。隙をさがしてやって欲しい」
「はい。わかりました」

 わずか一時間で美月とサヨナラした。
「本当にありがとう。君のおかげだよ」僕は心の中で泣きたいぐらい感動していたのだった。

 美月は暮色の土手でチラリズム写真を撮らせてくれた。僕はこの撮影が懐かしかった。そして難しいな、と思った。200年以前の僕はいつも今日のように無計画で行き当たりばったりのチラリズム写真を撮っていたのだが、簡単ではなかったのだと、妙に感心したのだった。帰宅して古いチラリズム写真を見ると、今見ても新鮮なのだった。エッチ(ちょっと破廉恥)な写真は日本人の本性に訴えて素敵だと改めて思う。


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□作品は次回個展『妄想ガール・コレクション〜リバーサイド』にて公開予定。気に入った方は拍手を。
□この写真は展示作品ではありません。




2018-11-16 : 33th個展 : コメント : 0 :

『わたし、詠みました』

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2018.11.13 model*新井りょう

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 その容姿からして娘と短歌がどうしても結びつかなかった。でも娘がこの荒れた河原の様子を言葉にできる、しかもまともな日本語でつづることができる、と思った驚きは、ある女性の隠された魅力を自分だけが知っていると感じたときの快感に近いものだった。
 ルックスで言えば娘はカッコいい。内面では文学がわかる。そんな娘と河原へ向かっていることがすでに事件なのだった。

「どうしてリバーサイドなのでしょう?」
「川が大好きで、それに犯罪の香りがして怖いでしょう?」
「たしかにそうですね」
「川について君に何か詠んでほしいな」

 眼の前の娘の身体を直視することができない。もちろん美しいからだ。娘がロングスカートの内側を一瞬見せることがエロチックだった。川に入ると豊満な胸が川面を背景にして映えた。僕は懸命にピント合わせをしてシャッターを切りつづけた。

 別れ際に「わたし、詠みました。メールで送りました」と言うと丁寧に頭をさげた。いつのまに詠んだのだろう。

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いくつもの死が転がった多摩川はずっと曇りでありますように
死の匂いたちこめるような曇り空 舌でなめとるキャラメルの味
行ったことのない川、乗ったことのない電車 。私今日ここで死ぬことにした
                       新井りょう

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2018-11-14 : 33th個展 : コメント : 0 :

『舞うがごとくに』

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2018.11.7 model*ミミ

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 女と出会ったのは十二年前だ。中央線のとある駅に降りた女を改札の外で見かけ、タクシー乗り場まで後を追った。小柄だが凛とした感じが古い日本女性が持っていた気品を漂わせていた。もちろん、女は今よりずっと若かったのだが、気持の強さをその顔つきに彷彿させ、どこか貫禄があったのを憶えている。

 美しい大人の女性になった女と川に来ている。女が持って来た浴衣を見て驚いた。着物のことを熟知し着付けできなければ所有しえないシックなものだったからだ。
「ここで着替えられるのですか」
「ええ、わたしはできます」

 女は僕の眼の前で二種類の浴衣を瞬く間に着替えた。その立ち振る舞いは女としての自信に溢れていた。やがて着物を乱し肩越しから乳房を見せたその姿は、美しくそして愛らしく、今は少なくなった眩しいほどの日本美人でした。

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2018-11-08 : 33th個展 : コメント : 0 :

『何もかも洗い流す』

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2018.11.03 Olivia

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 時おり生温い風が吹いているが水は確実に冷たくなっているはずだ。

 川で娘は浴衣を洗っている。僕はそばでただそれを眺めていたのだが、その光景にはどこか違和感があったのだけれど、それは難解な詩のように僕を癒してくれた。繰り返し水に沈めては絞り浴衣は拷問を受け、水中では夥しい数の稚魚たちは布が水面を叩くたびに右往左往していた。僕はずっと見ていたくて洗い続けてくれないかと思った。すると生真面目な娘はひたすら洗い続けた。まるで何もかも洗い流したいと考えているみたいだった。

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2018-11-04 : 33th個展 : コメント : 6 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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