昭和ガール『白鳥』model*かりがねさん・・・2011.11.7

 かりがねさんと会ったのは、個展の会場だった。そのときの彼女は暗い印象だった。今日のかりがねさんの服は真っ黒で、さらに暗さが際立っていた。

「どうして、かりがね?」
「私は秋が好きなんです」
「それと、かりがねとはどんな関係があるのですか」
「雁金(かりがね)は秋の季語ですから」

 かりがねさんを地べたに座らせた。
「あの、無理を言って申し訳ありません。ストッキングを膝下まで下げて頂けないでしょうか」
「どうして?」
「ええ、たった今、そうして欲しいと思ったのです。俳句とのコントラストには露骨なポーズが似合うからです」
「そうかしら。でも、いいわ。脱ぐわ」

 かりがねさんは、品の良いミドルだ。実直で教養もある。でも、そんな女性にこそ不謹慎な写真が似合う。ストッキングを下げたかりがねさんは白くて華奢で中学生みたいな太腿を根元まで見せて、秋の低い陽射しが作った雑草の影の複雑な模様の中にきっちりと収まった。僕はこの写真の意味を考えながらシャッターを押した。
 撮影が終わると僕とかりがねさんは川べりの道をトボトボと引き返した。

「かりがねさんは教養がお有りですね」
「私にあるかどうかは分かりませんが、好きなことを続けていれば教養は身に付くものではないでしょうか」
「教養が身に付くかどうかは素質だと考えています。付け加えておきますが、僕の言う教養は主に人柄なんです」
「それは面白いわ」

「かりがねさん、あの鳥を見て!」
「あっ!」
 真っ白い鳥が二羽飛んで来た。その後をV字編隊で十羽ほど飛んで来た。
「鷺ではないですね。それよりもっと大型の鳥ですね」
「あれは、白鳥です。渡りでしょうか」かりがねさんの静かに確信を持って言った姿が鮮やかで、暗い印象だったかりがねさんが白鳥に見えて来た。

□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
2011-11-07 : 昭和ガール : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター