昭和ガール『君はミステリアス』model*ジェマ・・・2011.11.15

 ジェマの顔は端正で美しく個性もある。手入れの行き届いたロングヘアーと洒落た服の着こなしはファッショナブルで見た目抜群、男なら連れて歩きたいと思う麗しさ。女子にとって、それ以上に何が必要なのだろうかとさえ思ってしまう。
 ジェマはエキゾチックで派手な風貌に似合わず、古い日本映画や昭和歌謡にマニアックに傾倒したり、地味な世界を好んだりするところがある。その地味な世界には、僕の写真も含まれている。

「初めまして。よろしくお願いします」とはにかみの入った声で言いながら深くお辞儀をした。その姿には親しみが込められていた。
「あれ?君、そういうキャラだったのかぁ」
「ええ、見た目と違うと言われることがあります」
「あははは、、」僕はジェマの裏切りが愉快だった。

 ジェマの礼儀正しさにちょっと驚いた。そして、僕とジェマの距離が普通の女の子と違うことにも違和感があった。いつもの僕だったら、初対面の女の子に対して、最初にエロスの糸口をつかもうとする。ところが今日は妙な親近感があって、僕の五感に冴えがなかった。ジェマも僕に何か違和感を感じていたみたいだった。

 僕たちは大きな公園の中で一番秋らしさを奏でている場所にいた。ジェマの服は、ポロの選手みたいで、乗馬風とも言えるかな、つまりパンツルックで外国のファッション誌から抜け出して来た女の子のようだ。もちろんそれを撮ったカメラマンはリチャード・アヴェドン。
 僕はパンツルックの女の子を撮った記憶がほとんどない。二十年も女の子を撮っているのに。ジェマがその服装で来ることを許したのは紛れもなく僕だった。スカートを着て来ることは僕の世界では必須だし、もしパンツルックならいずれ撮影中に脱ぐことになるのだが、ジェマにその予定はない。

「さあ、ジェマちゃん、あれをやってごらん!」
「あっ、はい」
 
 ジェマは安西マリアの『涙の太陽』の歌い始めの振りを始めた。『ギラギラ太陽が燃えるように・・・』僕は鼻歌を歌いながらシャッターを押した。リチャード・アヴェドンになりきって「ファンタスティック!ビューティフル!」と言いながら。僕は不思議な世界に引きずり込まれて行くのを感じていた。ジェマって、一体何者なんだ?
 いよいよ撮影が終わって、僕たちはお互いの心の中に抱えている違和感について白状する時がきた。

「僕がジェマに思うこと・・・」
「私が先生に感じること・・・」
「じゃあ、同時にそれを言おうか」
「はい」
「いっせーのせ~」
「私の○○にそっくり」
「僕の○○そのものだ」

 僕たちは誰かがいたずら書きした物語の中で彷徨う二人の主人公。ストーリーはまるで韓流や東野圭吾さながら。違うところは、まだ死人が出ていないところぐらいだろう。

「これは現実?夢?不思議だなあ~」
「そうだね。確かにね」
「ああ、こんなことがあるなんて・・・」
「でもね、僕は不思議な偶然より、ジェマという女の子そのものの方がミステリアスだと思うよ」
「・・・」

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2011-11-16 : 昭和ガール : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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