『冬のドラフト』model*たま子・・ノーファインダーのすすめ


『冬のドラフト』2011.11.23*69th写真塾にて

 僕はセンチメンタルだった。冬が近づいているからだ。公園を歩いているとSLが勾配を登るドラフトの音がかすかに聞こえるような気がした。たま子の昭和を引きずった服装や髪型が僕の心を遠い昔に誘って、大好きだったSLのドラフト音を僕にしか聞こえない周波数で鳴らして慰めてくれた。

「たま子ちゃん、こっちを見てよ」
「あ、はい」
「違うよ、僕の方ではなく、僕の頭上のカメラを見るんだよ」
「・・・」
「何か聴こえてこない?」
「・・・」
「ほら、バッハのフレンチスーツの二番が始まったところだよ」
「・・・」





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<ノーファインダーのすすめ>

 この写真は、カメラを持った手を延ばし頭上の位置に構えノーファインダーで撮ったものだ。塾ではたびたび説明しているが、ノーファインダーの利点など僕の考えを書いてみたい。

 僕がポートレートを始めた頃、低い脚立を持ち歩いていた。40センチ視線が高くなるだけでまったく別の写真になるからだ。特に街中でのポートレートではごちゃごちゃした看板や電柱などの障害物を避けて地面だけを背景にできる有利さが生まれる。また、女の子はちょっと上から撮るとキュートに写る。しかし、脚立を持ち歩くのが面倒になったころから僕はたびたびノーファインダーで撮るようになり、次第に狙いが変わってきたのだ。
 現在はノーファインダーをもっぱら構図やアングルに不確定要素を持ち込むために使っている。つまり、あえてファインダーを覗かないことで、その場で考えたイメージを裏切って、想定外の写真が撮れるのだ。運を見方に着ける、ということだ。

 この場合のノーファインダーは相手に気づかれずに撮るキャンデッドフォト(隠し撮り)とは発想が違っている。ご覧の作品『冬のドラフト』は四枚撮った中の一枚。もしもファインダーを覗いていたら絶対に撮れないと思う。例えば、水平線の傾斜、上部の広い空間、たま子を下部に置いたことなどが相まって意表をつかれてしまった。

2011-11-29 : 写真塾 : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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