『あの夏の匂い』・・・第一章

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2008.7吉祥寺駅二番ホームより三番ホームを撮る

          ☆

 天然色はノスタルジー、モノクロは感情。

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 人はある夏を特別に記憶することがある。僕の場合、ある夏とは2008年の夏のことだ。どこで撮ってもそこにはあの夏があった。もうあの夏から逃げるなんて不可能な気がしていた。その証拠に僕は学生時代以後一度も飲んだことのないスプライトを飲んだ。飲みながら僕は女の子を虐めてみたいと考えていた。もちろん、それは夏のせいだった。

 ほとんどの人は面と向かって女の子を虐待することはしない。だけど、虫たちが執拗に女の子の肌を刺し、掻きむしったその白い肌の奥がかすかに内出血するのを見て何らかの刺激を受ける。「あ、刺されてしまったの。大変!」などと言うがその同情の奥で真逆な気分に襲われることもある。

 僕は八王子で女を撮っても府中で女を撮っても、多摩川で浴衣の女といても、同じ気分だった。フレンドリーな感情の向こう側に流れるものが疎ましかった。つまり、仲良くしたくてもどうにもできない自分がその夏にはあった。

 あの夏、女に襲いかかろうとする虫や植物はおそらく僕の分身だった。

          ☆

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■3/4(日)の写真塾は3/20(火・祝)に日程を変更しました。









2012-03-02 : 記憶 : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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