『どうして海はこうなんだろう・・・』

2004.3.29sui003のコピー
2004.3.29由比ケ浜にて


 ジェマを武蔵野で撮ることは間違っていた。それに気づいた時は、すでにジェマと雑木林の中を歩き回って撮影した後のことだった。しかし、その遠回りは本当のことを知るのには必要だったと思う。

            ☆

 海へ行くと日常の自分より大きな人間になったような錯覚をする。そうかと思うと、蟻みたいに小さな自分を感じてしまう。いつも海を前に思うことは同じだった。たぶん、今でも同じに違いない。

 ジェマは海の女の子だ。もし僕が大学生の頃にジェマと会っていたどうだったろうか。夏の似合うジェマは貝殻で作ったアクセサリーを身につける習慣のない僕には遠い存在に思えただろう。


 僕の永遠は故郷だ。九州の山間部のその小さな町は駄菓子屋もアイスクリーム工場も植物の葉緑素と土の匂いに覆われて、たぶん僕の身体もその自然の営みの一部として光合成していた。ジェマにとっての永遠は海だ。ジェマはもしかしたらカニと話せるかもしれないし、超音波でイルカを浜に呼び寄せることもできそうだ。キャンプファイヤーでは、真っ赤なワンピースを着てヒトデに成りきることだってできるだろう。

 真っ赤なワンピースというのはジェマのお母さんのものだ。

「君にあのワンピースを着て欲しいんだ」
「お母さんの赤いワンピースを?」
「そう。海でね」
「もちろんだいじょうぶです」
「昭和時代の時計を持って行くから何千回も時計の針を逆回転して僕の青春時代まで時間を戻して欲しい」
「はい。わかりました」



          ☆
         ☆ ☆
          ☆

 
□近いうちに海へ行こうと思います。
□4/8(日)の写真塾は「さくらまつり」です。どなたも参加できます。



2012-03-31 : リトルファンタジー2012 : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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