『悠々(ユウ)』・・・(1)出会い

          ☆

 五月晴れの渋谷。その日はグループ展の初日だった。僕は突然ギャラリーにやって来た女子高生に声をかけた。彼女は可愛かったし、それ以上に特別な子に見えてしかたなかった。僕たちはそれから二十分もまるで機関銃のように言葉をぶつけあった。それは、二人が出会った意味をできるだけ早く理解するためだ。

 彼女は夏のセーラー服を着て、白いソックスに黒いローファーを履き、髪はポニーテールにしていた。瞳はとても愛くるしく輝いていた。しつけの良さを感じさせる丁寧な言葉遣いの中に女子高生とは思えない古くさい香りがするのは古典文学をたくさん読んでいるからではないかと想像した。きっと校則の厳しい私立の女子校に通っているに違いない。


「君は何者?」
「あなたこそ何者ですか」
「・・・」
「ああ、何だか風通しが悪いです」
「なんのこと?」
「すべてです・・・」
「君の名前は?」
「悠々と書いてユウといいます」
「僕に写真を撮らせてくれないかな」
「はい」

 悠々はとても明るく明晰だった。しかし、その会話から彼女の心の中は伺い知れず一筋縄ではいかない女の子に思えたし、同時に不思議な魅力があることにも気づいた。僕は写真を撮れば悠々のことが少しわかるかも知れないと思った。
 

つづく

          ☆


□この作品に期待する方は拍手をお願いします!


         *-*-*-*-*



2012-05-21 : リトルファンタジー2012 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター