『恋する虫眼鏡』


2012.6.18 model*みや

           ★

 二度とない撮影の残り火は、一晩眠ったぐらいで消えて無くなるはずはなかった。今朝になってやっと昨日のたま子の残像を胸の底に沈めることができた。ただし、行き場のないもやもやしたものが残った。

           ★

 昨日まで考えていた写真とはまったく違ったものになってしまった。みやのために用意した作品は『ミステリーはいかが?』という探偵モノで、小道具として虫眼鏡を持ってきていた。僕は予定どおりに作品を撮るはずだった。少なくともみやと再会するまでは。

 みやに恋をしたわけではない。だけど、みやをファインダーに入れた時、胸が痛んだのだ。僕は気を取り直し、もはや無意味となった虫眼鏡をみやに渡して撮影を開始した。

「太腿は撮って良いですか」
「ええ」

 僕は次の言葉が出なかった。心の中にははっきりと次の言葉はあった。しかし、それは口に出せなかった。

「みやちゃん、、」
「はい?」
「何でもない・・・」

            ★

■撮影予告した『ミステリーはいかが?』のタイトルを『恋する虫眼鏡』に変更しました。
□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。


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2012-06-18 : リトルファンタジー2012 : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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