『12が三つ並ぶ日に』・・・作品



2012.12.12 model*ジェマ

            †

 昨夜はバッハを聴きました、とジェマが言った。几帳面で精神性を重んじるジェマらしい選曲だった。偶然だが僕も昨夜はバッハを聴きながら休んだ。撮影を前に二人ともバッハを選んだということになる。

            †

 公園にやって来た。僕たちの足下はイチョウの落葉が黄色く敷き詰められていた。葉は落ちてから少なくとも数日は経っていて、しかもこのところの乾燥でカラカラになっていた。そこへ柱時計を置いた。針は7時49分を指している。この時間は彼女に割当てられたもので、それがジェマ時間なのだ。

 ジェマは黒いミニのワンピースを着て黒いパンプスを履いていてシックだった。そのせいか、いつもより大人の女に見えたし、この先どんどん美しくなりそうな、そんな片鱗を見せていた。僕は嬉しくもあったが、その美しさに対する漠然とした焦燥感もあった。

 僕がジェマの美しさについて何度説明しても、ジェマは首を横に振るだけだった。なるほどジェマはそういう女の子だ。その様子を見て僕は安堵し、ジェマという女の将来がとても楽しみに思えた。いつかまたジェマと何処かでジェマ時間に柱時計と写真が撮れたら嬉しい。

           †††

 今日は2012年12月12日、几帳面に12が三つ並んだ。柱時計の針は7時49分を指している。今から263分後、つまり12時12分には、ついに12が五つ並ぶ事になる。加えて12秒には六つの12が並ぶのである。僕はこんな日に写真が撮れる幸運と、この時を選んだジェマの几帳面さに感謝している。

            †
           †††
            †


□この作品は2012.4.6に撮影した『柱時計の思い出』の続編である。




2012-12-18 : リトルファンタジー2012 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター