『古いカメラの幻想』

STATION2006007.jpg
2006年西荻窪

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 カメラを買う日の朝、恋の予感がする。朝の時点ではまだ恋の相手は決まっていない。中古カメラ屋へ行きショーウインドーの中を覗き込んで、たまたまその日に並んでいるカメラの中に相手がいるはずだ。カメラを買う、これ以上幸福な時間はない。

 人生において実際につき合う女の場合を考えたとしても、ごく限られた交友関係の中から女を選んでいるにすぎない。縁である他に何があるだろうか。カメラを買う時に欲しいものをとことん探すことはしない。ひょいと買う。出会いであり縁であるから。モデルも同じだ。とことん探しまわることはしない。

 他人の女は良く見える。他人の女と寝てしまえば憧れはある意味幻想だったことがわかる。現実にはそうはいかない。カメラの場合はそれが可能である。試すことができる。たくさんのカメラを試した。そこで得た結論。上達したければ、個性が欲しければ、自分を磨くしかない。

 しかし、古いカメラは僕の写真を深めてくれるかもしれないという甘味な幻想があって、小春日和の太陽のように冷えた心を暖めてくれる。僕はそれにすがるのが好きだ。だから僕は今日もショーウインドーの中の古めかしいカメラを覗き見しているのだ。


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□古いカメラが必ずしも良いわけではありません。皆さん好きなカメラを長く使ってください。
□ここで言う古いカメラはそんなに古いわけではない。銀塩ではあるのだが。



2013-01-12 : コラム : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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