『僕のメルヘン』・・・作品





2013.5.2 model*たま子

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 毎年五月五日に、僕が生まれた町では『日本童話祭』がおこなわれていた。町中の人がこの祭にたずさわり、子供たちも何らかの役割のためにかり出された。しかし、僕は役割から逃れ、屋根にのぼり瓦の上に干した布団の上で日光を浴びながら少女について妄想していた。その時、僕の身体の中ではメルヘンとエロスは撹拌され混じり合っていたのだ。

 僕の家に柱時計があった。十五年前に友人にプレゼントされたもので、時計の文字盤にはメルヘン調の装飾が施されていて、人間はメルヘン的に生きることが幸福だ、と言いたげな造りであった。その時計が突然壁から落下しこなごなに壊れた。

               †

 今日は五月晴れである。処女のたま子を、例の銀行の支店長家族が住んでいた洋館の中庭に似た場所に座らせ、たま子の股間にこなごなに壊れたメルヘン調の柱時計を置いた。それは、日本童話祭の日に屋根の上で起こったメルヘンとエロスの混在だった。僕は彼女と向き合ってカメラを構え直射日光を浴びた彼女の丸い乳房をじっと眺めていた。

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□個展では別カットを展示予定。
□その日本童話祭だが、この小さな町だけが盛り上がっているにすぎないことがずっと後に東京から祭りを眺めてわかった。僕はその虚しい事実を知ってから、むしろ小さな町ができうる最大の営みの尊さを知り、何の手伝いもしなかった自分を恥じた。





2013-06-01 : ファンタジー2013 : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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