『野草』・・・作品




2013.6.9 model*みや

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 この子と出会ったのは去年の今頃だった。ミニスカートからあふれんばかりの真っ白い太ももが眼をひき、まだ恋の経験など浅そうな直線的な眼差しと健康な青年を待つ柔らかい潔白な唇が印象的だった。地面に密かに咲いた野草の花を見つけた時のように、僕はこの子をそっとしておこうと思った。

 この子の美しさを言葉にすると危うさが生まれる。無理をせず、伝えようとせず、そっとしておけば良い。それがお互いの幸せにつながっていることはわかる。でも、彼女の美しさに触れないでいると、言葉はどんどん胸の内に溜まって別の意味を持ちそうになる。思い切って「君、美しいね」と言って手を差し伸べた瞬間に、止めておけば良かったと後悔がやってきた。そして、もう後戻りはできない。

 野に咲く野草は健やかである。それほど目立つことはなく、ひっそりと季節を彩っている。ある詩によると野草は、『手折られた時から型を失ひ決してもとのすがたをとどめない』ものらしい。美しさとは何と排他的だろう。

 この子を大木の下の草むらに寝かせると、梅雨の中休みに照らす蒸れた光が彼女の全身を刺した。ミニスカートから溢れた太ももにできた葉影の模様が僕の心をざわつかせた。僕は、右手に虫眼鏡を握らせ左手で服の胸元を下げるように言った。このポーズの理由は遠い少年時代の思い出の中にある。

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□この作品は2013.6.9に開催した127th写真塾にて撮影させて頂きました。。
□第3回グループ展が開催されます。
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2013-06-16 : ファンタジー2013 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :
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いつもブログ記事を拝見しています。自分でも、本の少しだけ写真を撮るようになって、一層、魚返さんの写真の素晴らしさが分かったような気がしています。とても美しく素晴らしいです。
2013-06-19 20:27 : エトワール URL : 編集
感謝
いつも褒めてくださって感謝しています。もっともっと良い作品を撮って行きます。ブログでは露出の多いものをアップできなくて残念です。個展では展示します。
2013-06-19 22:00 : 魚返一真 URL : 編集
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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