『夏』・・・個展にて


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 女の子は白い丸襟の付いた薄いオレンジ色の半袖ワンピースの上に透けた白いカーディガンを羽織り、きれいに磨かれた赤い靴をはき、和風の妖精という感じだった。

 女の子は僕の正面奥の壁面に飾られた写真に見入りながら、うしろ姿で「わたしはここにいます」と囁いていた。その囁き声は、やがて会場に流れていたイギリス組曲の規律正しい旋律にのって僕の耳にも届いてきた。

 女の子が左側の壁面に飾られた写真の前に移ったとき初めて横顔を見た。彼女を見て僕の中に浮かんだのは1999年に撮影した『さくら』という潔癖な傑作で、モデルは品のあるミニのワンピースの裾をぎりぎりまで上げているのだが、かえってそれがモデルの清純さを際立たせていた。この作品のモデルには心の美しさまでが透かして見えるような透明な愛らしさと、疑う余地のない清純さが備わっていなければならない。そして、目の前の女の子こそ『さくら』のモデルに相応しいと思った。

「あの、モデルになっていただけませんか」
「わたしでよろしければ」 
「あの、名前を教えてください」
「わたしは羽菜と言います」

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二人だけの宴がはじまる
撮る人は夏の哀しみを携え
妖精は蝉の抜け殻を掌に載せている
祭りのあとのさみしさがもう見えている
来週僕は羽菜の夏を撮る


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□近日、羽菜さんを撮影します。期待する人は拍手をお願いします。。




2013-07-31 : スカウト : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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