『セル画の夏』・・・作品

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2013.8.19 model*優花

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 夏が僕を癒してくれることなどない。うらを返せば夏が好きで仕方ないということかもしれない。それは、恋をすれば癒しより苦しみの方が大きいこと感じることと遠回しに似ている。

 酷暑の小道を歩いていると、水の少なくなった小川へと落ちる土手に白い花の群生があった。「あっ、あの花は星の型をしている」と、はしゃぐでもない静かな口調で優花が感動を語った。この口調には、大切なものは内面にとどめていた方が良いとするような、乙女が宝物をそっと隠し持つような心が見え隠れしていた。

 ふと、優花の手を見ると、細部は省略され全体的に簡素化されていて、まるでアニメに出て来る主人公の少女の手と同じだった。海色のワンピースを着たスレンダーな優花を大木の下に立たせると、木漏れ日が小麦色に焼けた肌をちらちら揺らし、さも私は純粋ですと言わんばかりの眼をキラリと光らせた。そこへ南風が強めに吹き、手入れの良いしなやかな髪をサラリとなびかせたときの彼女の立ち姿は絵のようだった。別々の透明なシートに描かれた優花と夏を重ね合わせたような光景は、無骨な男の胸にさえジブリ的な感動を湧かせるのだった。

「今この瞬間、夏がとてもいいと思う」
「はい、わたしもそうです」

 僕はまさにこの瞬間、清々しい気持ちで磨りガラスに映ったセル画のような夏を撮った。

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□個展では別カットを展示する可能性があります。。





2013-08-23 : 26th個展へ : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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