『スカウト放浪記 NO.2』


1992.9.27model*Kumiko*中野にて

□Point〜女の子はピンポイントの魅力で選べ
 どこがその子の魅力なのか、それを理解していれば作品にしやすい。僕はモデルをスカウトする時、女の子のどこを撮りたいのかを常に考えている。今回はロングヘアーが彼女の魅力だった。しかし、撮影現場に現れた彼女はショートヘアに!

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 僕はとにかく素人の女の子を撮りたかった。そのためにはスカウトするしかないと考えていた。(以下省略)

 雑誌カメラマンはとても忙しい。仕事の打診を受けたら打ち合せのために出版社の編集部へ。そして現場へ行き撮影し、その足でラボへ向いフィルム現像を依頼する。でき上がったころ再びラボに戻りフィルムを受け取りチェックを入れる。チェック済のフィルムを持って編集部へ。編集者とフィルムを見てOKカットを切り出してネガ袋に入れたり、ホルダーにはめ込んだりする。最後に経費とギャラの請求書を書く。通常、雑誌カメラマンは複数の雑誌から撮影依頼を受けているから、時間差でこれらの行程をこなさなくてはならないので非常に多忙だ。もし、時間に余裕があるとしたら、そのカメラマンは食べて行けない。僕は心身ともにボロボロの状態で、半ばスカウトをあきらめていた。(銀塩写真しかない1992年当時の話です)
 その日は音羽にある大手出版社の若者雑誌の編集部での打ち合せの帰りだった。車で帰る途中、ちょうど目白駅を過ぎたところ、左側の歩道を歩くロングヘアーの女の子を見つけた。道が少し渋滞していたから何度か彼女を追い越しては止まり、今度は彼女が僕の車の横を通り過ぎた。おかげで僕は何度か彼女の横顔を見ることができた。雰囲気が南沙織に似ている。僕は彼女のお尻まで届いているロングヘアーをとても気に入った。僕は車を測道に停めて、すぐに彼女の方へ走った。

「あの、モデルになってください。写真を撮らせてください」
「私を?」
「そう、君のそのロングヘアー、美しいですね。是非撮らせてください」
「撮って、それをどうするんですか?」
「いつか個展を開きたいんです」
「今までに撮った写真があったら見せてくれませんか?」
「それが、まだ一人も撮っていません。今日初めてスカウトをしたんです。きっと個展を開きます。お願いします。モデルになってください」

 僕は彼女の電話番号を聞くことができた。後日、彼女と会って写真を撮ることもできた。作品第一号だ。ただし、彼女はあの美しいロングヘアーをバッサリと切ってしまっていた。それが残念でならない。



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□この文章は2009-10-23 : 懐古編『フルーツスカウト』を引用した。
□連載『スカウトの極意を教えます』は『スカウト放浪記』と名称を変更しました。




2014-03-13 : スカウト放浪記 : コメント : 4 :
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スカウト
懐かしい。オールガールに載せた写真ですね。
2014-03-13 21:36 : ゆりこ URL : 編集
話を聞いてもらうには
こんばんは。

魚返さんは、プロの写真家であるしどういう使い方をされるか想像つきますから、信用できます。

アマチュアのカメラマンは、まず信用に値するかどうかを判断してもらわなくては、話も聞いてもらえません。

確かに今までの写真とか持っていると(今ならipadとか)説明しやすいですね。
しかし趣味でやってますでは、あまり話を聞いてもらえないような気がします。
2014-03-13 22:48 : 市来高久 URL : 編集
ゆりこさんへ
ゆりこさん、おっしゃるとおりです。
2014-03-14 09:08 : 魚返一真 URL : 編集
市来さんへ
そのお気持ち、とても良くわかります。僕もそこは大事だと思います。僕は初期はずっとアマチュアというスタンスでスカウトしていましたから、プロとして女の子に近づいてなかったです。それでも、熱意で女の子がモデルになってくれました。大事なのは情熱と写真を撮る目的です。僕は最初から撮った写真は個展で展示することが目的でしたから、それを伝えました。現在も、アマチュア精神を忘れることのないようにしています。スカウトは失敗がつきものなのでめげます。だけど、素人の女の子に近づいて写真を撮りたいのですから、それぐらいは仕方ないと、自分に言い聞かせて、スカウトしています。今でも、スカウトはつらいです。恥もかきます。でもやめる気はありません。お互いにがんばりましょう。
2014-03-14 09:15 : 魚返一真 URL : 編集
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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