『復讐のエロス』



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 女たちを美しく魅力的に撮ることに命を燃やしている。それが私・妄想写真家の真実である。私はそのことを疑ったことなど一瞬たりともなかった。
 ある本を読んだ。それは禁断の物語である。早朝、まだ人々が寝静まる暁の時間にこの本の核心部分にさしかかった。その章を読み終えた私は、自分の心をもう一人の自分が見透かす事態に遭遇したのである。
 14才の私に降りたエロスの啓示は奥深く美しく微妙な屈折を伴っていた。その古い想い出を慈しむがごとく長年にわたって女たちに敬意はらいながらエロスを撮影してきたことは事実である。しかし、私が気づかされたもう一つの逆説的な真実は思いもよらぬことだった。それを言葉にするならば『復讐』であろう。私は私の青春に復讐しているのかもしれない。そう思った時、私のどこか不毛な作風の理由が私の心のまん中で暴かれたような気がした。

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2014-04-29 : コラム : コメント : 0 :
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ogaeri

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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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