『夏休みのレッスン』


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2014.08.01 model*みか

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 雑木林に囲まれた古い洋館のほうからピアノの音が聞こえてきた。銀行の支店長がこの小さな町へ赴任してくると代々この家に住みついた。つまり、ピアノは支店長の娘が弾いているのだ。そのころ僕は小学生で、この家の庭にこっそり入り込んでは娘を探したが、とうとう娘を直に見ることはできなかった。だが、確かにピアノの音は聞こえていた。それもかなり上手だった。「エリーゼの為に」や「乙女の祈り」みたいな手習いではなく、時として優雅で叙情的、また激しく感情をむき出しするような本格的なソナタだった。それがベートーベンのピアノソナタだとわかったのは僕が大学生になってからだった。
 
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 みかと僕は雑木林へやってきた。みかはお嬢様のような服装をしている。ミニのフレアスカートから少し日焼けした太めの足を出し、白い半袖のブラウスの胸元をぱんぱんに膨れ上がらせて、無頓着な表情で僕を見た。みかはエロチックな娘だが大人の色気のように汚れていない。みかは豊満な身体をもて余し気味にしているところが少女的で、まだ賢く振る舞うことを知らない無垢さが、僕の心の奥底にある隠れた少女崇拝を呼び起こした。

「みか、夏休みの個人レッスンをしよう」
「はい。どんなレッスン?」
 僕は持ってきたヘンレ版の分厚いベートーベンのソナタ第2集を手渡した。

「ボタンはずせる?」
「はい」
「パンティーを脱げる?」
「はい」

 僕は家に帰ってからバックハウスのテンペストを聴きながら、この文章を書いている。





□27th個展にて展示します。


2014-08-10 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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