『君がいなくなったら』






2014.8.25 model*美月(みづき)

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 昨日までの暑さが去って今は小雨が降っている。これで夏が終わるのかと思うと少し寂しい。ひどく暑い夏でさえ、夏の終わりを受入れがたく思う気持ちが心の底にある。それは、暑い季節に甦る少年時代の思い出とまたさよならしなくてはならないから。

 とつぜん僕の前に現れた金髪の女の子は、白いノースリーブのワンピースを皮膚の一部のように着こなして、つぶらな瞳と小ぶりの唇に隠された二本のビーバーのような愛らしい前歯を持ち、細身で肌は白く、言葉少なく穏やかで、まるで少年時代に人形好きだった母が僕のベッドサイドに置いたフランス人形のようだった。「君はかわいい、人形みたいに美しい」と女の子を好きになりそうな少年の自分を感じながら言った。

 僕はむかしと何ら変わらない夏草たちの生え方に敬意を払いながら、草むらの上に花柄の布を敷きその周囲に厚紙で作った果物を置いて、そこに金髪の女の子を寝かせた。女の子は白いワンピースを腰までおろし、レースでかがったタンクトップもおろし最後にブラジャーをはずした。女の子の乳房は小ぶりで、あのベッドサイドにあったフランス人形も同じ型の乳房を持っていたかもしれないと思った。僕は女の子の横に立ち俯瞰しカメラを構えた。少し撮ったあと女の子のパンティーをさげて最後の数枚を撮った。

 少年時代、意味さえ告げられることなくベッドサイドに置かれたフランス人形が半世紀の時を経て生きた女の子になって僕の前に現れたのかもしれない。もし夏といっしょにあの子がいなくなったらとても寂しい。女の子の名前は美月。やっぱり美しいという文字が入っている。

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□27th個展にて展示します。


2014-08-31 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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