『厳かな九月の午後』





2014.9.6 model*たま子+美月

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 少年時代に飼ったいろいろな動物のことを考えていた。例えば鳩である。雌雄を見分けることさえできないままに二羽をカゴに入れると仲良く餌をついばんだ。そんな日々がつづいた。しかし、二羽の鳩はそれ以上仲よくなるでもなく結局ひなは生まれなかった。つまり二羽ともメスだったのだ。
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 たぶん夏がおわった。空気はまだ湿っているが楡の木を見上げると葉の間から射してくる陽射しは傾きがあって、もう夏がとおり過ぎたことを表していた。すると、かすかに僕の耳に受難曲の中のメロディアスなアリアが聴こえこえはじめていた。この旋律が聴こえるのは秋が近い証拠である。

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 ふたりの娘には共通の過去がある。それがきっかけでふたりが近づくことはなかった。僕はそのことが何となく懐かしかった。少年時代に飼ったメスの鳩のことを思い出したからだ。

 娘は金髪のロングヘアで、白いブラウスと黒いオーガンジーのミニスカートを履き、白い網タイツとガーターを着けている。もうひとりの娘はショートカットのコケティッシュな黒髪に、レースの襟がついた黒いワンピースを着て、黒いニーハイソックスを履いている。これは、金髪の娘の服装に合わせてくれたのだと思う。

 ふたりは地面に敷いたピンクの花柄の布の上に左右違えて寝ている。つまり、僕から見て、金髪の子は左に頭があり黒髪の子は右に頭がある。僕はふたりを俯瞰して間欠泉のようにほぼ決まった間隔で彼女たちに指示をした。

「スカートをあげなさい」
「パンティーを脱ぎなさい」
「あそこを完全に見せなさい」
「・・・」

 僕の中でアリアはさっきより鮮明に聴こえてきた。もう秋なんだ。あの忌まわしい夏が終わったんだ。僕は厳かな九月の午後に感謝した。


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□27th個展にて展示します。




2014-09-18 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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