『彷徨うこと』


2014.10.10

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 秋晴れの今日、敬愛する三島由紀夫の墓をたずねた。広大な霊園の中でその墓を探しあぐね迷いまよっているときの、あたかも夢の中を彷徨っているような感覚がわたしの心ときめかせていた。もうすぐ墓が目前に現れるその瞬間を想像するが、彷徨う気持ちがずっとつづく喜びを考えると、いっそ墓が見つからなければよいとも思った。
 家に戻り、アダージェットを聴きながら『禁色』の冒頭から夥しい数のふせんを繰りながら読み返した。この小説には何度読んでもわからない部分がある。それも何か所もある。わたしは、そのわからなさの中を彷徨うのが好きである。いっそ理解できずに終われば良いとさえ思いながら読んでいる。

 自分の作品を考えるとき、同じような感覚がある。つまり、どこか彷徨っていて、理解できない部分が含まれる写真がわたしのこころを掴むのである。
 いま次回作について、苦しみながら撮影している。その理由は何だろうか。もしかして、少しわかりやす過ぎるのかも知れない。

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2014-10-11 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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