『僕の中のマニアック』





2014.12.3 model*Gemma

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 誰しも他人には容易に受け入れてもらえない趣向というものが幾つかある。それは理解されないからといってやすやすと止めてしまえるような表面上の好みではなく、例えばその趣向を止めようと心に決めても禁酒禁煙よりはるかに難しく、もはや己の一部と化してしまった船底のフジツボのようなものである。
 僕の場合、趣向のひとつが鉄道である。詳しく言えば貨物操車場の入れ替え業務である。なぜそんなマニアックな趣向が僕の心の中に棲み着いたのかと言えば、少年時代に遊んだ貨物操車場ごっこが原因で、その遊びには永遠に終わりがなく、ついに小学校の授業中も心の中に妄想操車場が現れるのであった。僕は国鉄職員になり貨物列車のある車両の手すりに捕まって赤と緑の旗を降り蒸気機関車の運転士に数種類の合図を送っている。大事なところは急ブレーキによりあらかじめロックを解かれた連結器が外れ貨車はポイントを通過し所定の場所に仕分けされるところである。操車場をご存知の方ならその様子は容易に理解できるはずだが、その他の方にはわかりにくい妄想だと思う。
 そして、夢の中でそれら幾つかの趣向にエロスが絡みつくことがあった。誰にも説明のつかない息苦しい妄想であった。操車場の他には川釣りにも僕だけの趣向があった。そしてどちらにもエロスが棲み着いていたのだ。

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 すこぶる端正で無垢な娘と武蔵野を歩く。僕は小脇に折り畳み椅子を抱えている。これからこの娘に強いる儀式はまだ観ぬ映画ニンフォマニアックの断片の僕なりの想像の産物である。娘は草むらに折り畳み椅子を置いて座り、操車場で国鉄職員が使う赤い旗を頭上にかざし緑の旗の持ち手の部分を股間にあてて意味深なポーズをとっている。

 この作品が訴えるものは何もない。ただ、僕の中の趣向に絡み付いたエロスを撮って作品にし、たとえ僅かでも自分を慰めたいだけである。

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2014-12-14 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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