『とりとめのないこと』


2015.4.18 model*tamako+sanagi

                 ﹆

 おさげ髪の女の子といるとき僕たちはほとんど沈黙していて、カーリーロングの女の子といるときの僕たちの会話には親しみはあるがぎこちない。三人でいるときは僕の言葉だけが中を舞っている。僕がふたりの存在を無視するとふたりは小声で話し始める。まるで姿を捜そうとすると鳴きやんで立ち去ると鳴きだす蝉みたいだ。ふたりは北国からやって来た無口な女の子の話になると瞳をくるくる動かして懐かしがる。そんなとりとめのないおぼろげな時間が嬉しい。

 僕が撮りたいのは、君たちの一方がもう一方に対して性的に迫っているような倒錯した写真なんだ。わかるかな、と言うと、ひとりは納得したように黙り、ひとりは首をかしげる。さて、撮影はぎこちなく進行し、それらのシーンには女の子同士の愛が滲んで見えた。

 撮影が終わってカフェへ行った。かなりの時間が経過したころ、おさげ髪の女の子が、静かなカフェの抑えたBGMにさえ掻き消されるほどに小さな声で、自分のことをカーリーヘアの子に短く語った。それが、この日彼女が発した唯一の意味ある言葉で、僕はそれを聞いていたく感動した。でも、その言葉は空耳ではなかったかとさえ今は思う。そんなとりとめのないことが僕を癒す。

 出来上がった写真を観ると、物言わぬふたりの倒錯した愛が写っていた。

                 ﹆



□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
□27th個展にて展示。




2015-04-22 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター