『昭和の青空娘』・・・撮影報告



2015.6.13 model*郁美+夏子



                  ⁂

 あの頃、病気がちの僕でさえ生き生きとしていた。なぜならこの国ははつらつとしていて時代そのものが青春のまっただ中にあったからだ。ぼくの中に芽生えた青いエロスは時代が醸し出す性欲の洗礼のたまものだったに違いない。そして、あの頃とは昭和三十年代のことである。

 ぼくが受けた刺激のひとつが平凡や明星という芸能雑誌からのものだった。小学生のぼくがそれらを見たのは、母の実家である農家の擦れた畳が敷かれた暗い六畳間で、雑誌の所有者は当時女子高生の従姉だった。表紙は決まって笑顔の男女のスタアで、本編もすべてスタアの写真や記事だった。ぼくは心がむずむずしていた。何と、キレイな女の脚が写っているだけで興奮したのだ。

 それらの記憶を呼び覚ましたのは、映画スタアの若尾文子が主演した映画『青空娘』のポスタアを見たからだ。白い七分袖のブラウスと赤い膝下丈のフレアスカートを着た若尾文子は青空に向かって立っている、それだけの絵柄。それなのに、すでにぼくは欲情の前戯へと導かれていた。すると、ぼくは若尾文子の白いパンツを見たいという欲望を感じたのだ。そう、結局パンチラなのである。

 ぼくは若尾文子のパンチラを撮ろうと決めた。もちろん若尾文子役は代役をたてざるをえない。若尾文子のスカートを持ち上げてパンチラ状態を作るのは、もうひとりの清純な昭和娘だ。ついでに、この娘もパンチラにしてしまおうと考えた。

 多摩川の土手に二人のレトロな女を連れてやってきた。さて、若尾文子役の女は新調した白いブラウスに赤いフレアスカートを着ている。清純娘も同じく新調した白いブラウスと紺のスカート姿。若尾文子役の女はこれ以上色白の日本人はいないと思うほど肌が艶やかで、丸い手鏡を持たせると昭和の女になった。清純娘はやや小麦色でその健康的な手に小説『夏子の冒険』をもたせると、娘は偶然にもそれを読んだことがあり、とても好きな小説だと言ったことに少し驚いたが、小説談義でせっかくのパンチラへの欲望がそがれるのを恐れ構わず撮影に入る。

 ふたりは寄り添うように土手に立ち、互いのスカートの裾を鷲掴みにして持ち上げるとパンチラになった。もちろんふたりともパンツは白だ。ついに、念願だった若尾文子のパンチラを撮影した悦びに浸っていると、ぼくの汗だくの顔に夏のような日ざしがさしてきた。「ありがとう!」とこの世のすべてに感謝したのだった。

                  ⁂

「露出過多と思われるこの頃のポートレートだが、さらに露出に対してあからさまである海外への扉を開こうとしている最中に出会った、若尾文子のポスタアに疼いた正直な気持を表現しました。この作品を同じ時代に少年時代を送ったすべての男たちに捧げたいと思います。」

 






□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。
□27th個展にて展示。






2015-06-14 : 27th個展へ向けて : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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