『My favorite thing』・・・個展を前に、、



                 ♯

 僕が写真を撮るのは、写真が大好きだからです。もちろん、最初は写真を撮ってお金が頂ければ嬉しいと思ったし、実際にすぐに実現して多忙になっていきました。しかし、日々つのる疑問は僕を苦しめていました。商業写真に僕は何を期待しているのだろうか。

 いま僕が作品を撮り続けるのは、撮ることが生きている証だからです。芸術を語るための写真ではなく、バッハやジャズetcを聴いてもセザンヌetcを観ても小説etcを読んでも決して癒されない心の片隅に存在する塊に微量の電流を流してあげるためなのです。

 僕はそれを本にしようと考えました。国内での出版を考えたけど、もう十分に本は出ているし、売れる本でもないから出版社さんに迷惑もかけたくないと思い、それだったら海外だな、ヨーロッパかなと何となく考えました。

 8年前に僕に興味を持ってくれたヨーロッパのある国の中堅出版社との交渉がはじまりました。でも、そこは意見の違いと商業的な空気が充満していたのです。僕はまた、この出版社から本を出して何になるのだろうか、と思い始めました。その時、フランスの小さな出版社の編集者から出版したいととても率直な依頼がありました。彼は僕の作品にはポエムがあると表現しました。大げさな写真集より遥かに僕の世界を表現し伝え得る内容でしたから、僕はそのフランス人に僕の作品集を託すことにしました。

 僕は写真が好きです。死ぬまで写真家でいたい。でも写真で難しいことは続けること。それより難しいことは好きでい続けることです。これからも僕はずっと写真を嫌いにならないでいられる道を選んで生きていきたいと思っています。


                 ♯



□9/22〜9/27渋谷のルデコ5で開催する個展を前に少し写真についてしんみりと考える日々を送っています。。。

27thDM scan003



2015-09-05 : 鉄道と彼女、 : コメント : 2 :
コメントの投稿
非公開コメント

No title
はじめまして。たいへん共感を感じる記事でした。「作品にポエムがある」という言葉、うなずけます。
私は、他者の様々な写真を拝見した時、テイストを感じるという言葉を良く使います。魚返先生の作品には、まさにそのテイストを感じてます。
言葉で具体的にそのテイストの中身を表現するのは難しいのですが。
先生の写真の心を、撮影する立場の者としてちょっぴり直に感じてみたいと思いました。
若輩者が生意気な事を言って申し訳ありませんでした。今後の先生の作品さらに楽しみにしています。
2015-09-06 15:01 : 同郷人 URL : 編集
同郷人
はじめまして。コメントありがとうございます。僕もフランス人のこの言葉に感動しました。ちゃんとわかってくれる人は日本人だけじゃないと、ずっと以前から何となく考えていましたが、本当にいたとは。。。
2015-09-06 18:11 : 魚返一真 URL : 編集
« next  ホーム  prev »

プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
このブログのすべての写真や文章などコンテンツの無断コピー、無断転用を禁じます。

月別アーカイブ

ブログ内検索

FC2カウンター