『うす紫色の菊』・・・撮影報告


2016.5.7 model*tamako

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 朝から僕は武満音楽のるつぼに嵌っている。洗練された旋律のところどころに軽い裏切りと息苦しさがやってくる。そのさらに奥では澄み切った空気の中に深い愛が覗き見える。その総てはすぐそこにあるはずなのにとても遠く感じる。それは、うす紫色の菊の花の存在ように曖昧なのだ。武満の音楽に嵌りたいという気持ちとこの娘を撮ることとは無関係ではないと僕は考えている。

 娘は自分が選んだうす紫色の菊を一輪手にしている。そして自らの白い胴体を下着ごと赤い紐でぐるぐる巻きにして結んだ。娘が少し不自由になった手で紐の下のキャミソールを強引に下に引くと型の良い乳房がこぼれた。新緑をぬって木漏れ日が落ちてきて娘の黒髪、肩、胸、太ももを白く照らす。娘の胴体と一緒に赤い紐で縛られたうす紫色の菊も淡く光る。

 紫と緑の混濁。美しい乳房と虫たちの吐息。厳かな精神と背徳の高揚。娘はすぐそこにいるのにとても遠い。この儚きものを見せられた僕はただ呆然とするのみ。いや、僕にはカメラがある。無心にシャッターを押し続けることが、僕の生きること。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。



2016-05-08 : 28thに向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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