『思い出の娘』・・・撮影報告



2016.6.27 model*さくら

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 娘は遠くで花を摘んでいる。やがて戻ってきた彼女の手から摘んだ花束を受取って花の冠を作った。

「君、冠作ったことない?」
「ええ、ありません」
「僕は幼少の頃、シロツメグサやれんげ草やススキで冠を作るのが好きだったよ」と言うと娘は微笑ましそうに笑った。
「そこに立っていてくれればいいよ。ずっと見ていたいから」と僕は見ているだけでは満たされないものを感じながら言った。
「ええ、でも何か指示してくださらないと」と娘は僕に懇願するような眼で言った。
「では、そのワンピースのボタンを外してみてはいかがでしょう」
「はい、ではそうしてみます」

 僕の前に立った娘の姿は、こうして僕といることがずっとずっと昔のことであるかのように霞んでいた。この娘は現在とかけ離れた何かを持っていて、それが時として空間そのものを過去に変えてしまうのだろう。

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□この作品はカメラマン誌8月号(7/20発売)に掲載されます。



2016-06-29 : 28thに向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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