『センチメンタルな娘』・・・撮影報告


スクリーン20161010tamakoのコピー2


2016.10.10 model*tamako

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 ふと窓の外を見たら空は曇っていて景色は寒々しい。あの娘は今どうしているのだろう。娘は僕の生活圏外にいるのに心が乱れる。そんなムードに流されたくて僕はセンチメンタルな洋楽ばかり選んで聴いた。センチメンタル。それは或る時代に急に普通すぎる響きになってしまったフレーズ。今この言葉を口にしたとき、あまりの軽さに絶句する。ともあれ娘は僕が知る限りこの半世紀でもっとも日本的な美を感じさせる女の子のひとりでセンチメンタルという言葉が良く似合う。

 涼しくなった土手を歩き葦原の中を抜けた。途中ですすきを刈り束ねて娘に手渡した。

 今、僕はこの娘に何をしても構わないと仮定した。ならば僕はまず娘の美しい乳房を見たい。近づいて乳首のかたちと色を確かめよう。そしてピンク色の毛糸を渡し、あや取り遊びの基本形を作るように言う。この遊びは半世紀ほど前に絶頂期を迎え、その後ゆるやかに衰退してきた。案の定、娘は「できない」と小声で言った。僕は作り方を指導しながら至近距離で初心な乳首をみた。次に娘の手に花札の坊主を手渡すとファインダーの中に日本的倒錯が現れた。撮影中の娘はやはり僕の人生でもっとも可愛らしい女の子のひとりだった。
 
 撮影が終わり家に戻ってこの文章を書いている。しかし、僕が聴いたのは洋楽ではなく、少年時代に川で魚釣りをしながら口ずさんだ黛ジュンの『夕月』という悲し気な唄だった。ファインダーの中の娘を思い出してみると、このセンチメンタルな昭和の名曲がぴったりなのである。

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□この写真は個展で発表する作品ではありません。








2016-10-10 : 29th個展へ向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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