『飯沢耕太郎さんの解説』


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 3月に神保町画廊で開催する個展『トロイメライ〜夢想』に向けて写真評論家の飯沢耕太郎さんに解説文を書いて頂きました。僕は僕自身のことを分かっていると考えていても、本当にそうだろうか、ともどかしく感じていたのですが、飯沢さんの文章を読んで胸のつかえが下りた感じがしました。加えて、飯沢さんの文章は散文詩のように美しいのです。実を言うと、僕は飯沢耕太郎さんに一度も会ったことがないのです。それなのにこの文章・・・。いま僕の気分はトロイメライしています。

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〜憧れと妄想〜
飯沢耕太郎(写真評論家)

 魚返一真さんの写真を見ていると、少年だった日々のことを思い出してしまう。頭の中はいつでも性的な妄想でいっぱいになっていた。憧れの女の子がいたとしても、声をかけることさえできない。精液の匂いのする夢に溺れながら、ずっと悶々と過ごしているだけだ。
 それでもいつのまにか、抑えきれない欲求に何とか折り合いを付けることができるようになってくる。気がつけば、あの憧れと妄想の季節のことなど、遠い彼方の出来事になってしまっている。それはそうだろう。誰でも、迷い惑った日々のことなど、思い出したくもないからだ。
 ごく稀に、あの少年の日々を純粋培養して保ち続けている人がいる。魚返さんもその一人なのだろう。むろん、誰でもできることではない。写真という魔法の道具を的確に使いこなすことができる能力と、それ以上に、無償の情熱がなければ、このような写真を撮りつづけるのはむずかしい。
 もう一つ、魚返さんのカメラの前で、惜しげもなく体と心を開いてくれる魅力的なモデルたちが必要だ。それも簡単なことではない。『トロイメライ〜夢想』は、そんな微妙なバランスで成立してきた、奇蹟的としかいいようのない写真群だ。

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2017-01-26 : 29th個展へ向けて : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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