“Early Summer Breeze!” 初夏の風の中で


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2017.5.4 model*Olivia

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 そよ風がロングヘアを乱しながら通りすぎていく。この優しさは1976年の風に似ている、と直感した。あのころ街を歩けば聴こえてきたジョージ・ベンソンの『Breezin’』のメロディー。ディストーションのない滑らかなギターが奏でる軽やかなギターのリフはバリー・ホワイトの名曲『愛のテーマ』のデビッド・T・ウォーカーのようでもありあくまでも涼しく彷徨っている。
 あの頃の僕はこの種のサウンドに対してあえて興味のないふりをしていたことが今になってわかる。何故なら、今聴きながら僕の瞼は熱くなっているしハートは今にも泣き出しそうなくらいなんだ。

 初夏真っ盛りに美しい娘と歩く。髪は子馬の尾ほどに長い。二人で水が流れていない川を歩く。少し歩いたところで上流から水が流れ始めたことに気づいた。僕は娘の靴が濡れてしまわないうちに大慌てで引き返し、去年の秋に見つけた第二スタジオ(勝手に名付けた)まで戻り、雑草の上にゴザを敷いた。寝転んでみると幾種類もの雑草はみんな小さな花が咲いていて美しい。上を見上げると樹の枝には新緑が芽吹き、少し離れたところでウグイスが鳴き声の稽古をしている。何て幸せな時間なんだ。やっぱり雑草が一番幸福なんだな。

 僕はゴザの上に娘を座らせてバナナを渡した。そう、またバナナだ。昨日別の娘の口にくわえさせたことに刺激を受けたということでもないけれど、とにかくバナナなのだ。今の僕にはバナナしかないのだ。さあ、くわえてごらん、バナナをね。僕の頭の中で『Breezin’』と『愛のテーマ』が交互に流れている。つまり、昨日はエロチックなバナナだったけど、今日は幸福のバナナなんだ。Are You Understand?


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□この作品は個展での展示作品ではない可能性があります。



2017-05-04 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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