『鉄道ファンだからほのぼの』



2017.6.11 model*たま子

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 僕は1番線のベンチに座って彼女が下り電車でこの駅にやって来るのを待っていた。彼女から15分ほど遅れるという連絡が僕の心にぽっかり空白をくれた。遠い昔のことを思い出した。僕が高校三年生でどこへ進学するか考えていた時期のことだった。僕はこの街にある大学へ進学しようと考えていた。結局、そうはならなかったけれど、もしかしたらこの駅に毎日通って来たかもしれないと思っただけで何となく夢心地だった。ぼんやり線路を眺めていると妙なことに気づいた。あれ?この私鉄のレール幅ってこんなに狭かっただろうか?1067mmしかない!僕はすっかり勘違いしていた。つまり、1372mmのレール幅だと思い込んでいたのだ。眼を凝らしてもやはり1067mmしかない。

 そんな驚きの発見に感心していたら、彼女が各駅停車からホームの方へ降りてくるのが見えた。
「遅くなってすいません」
「いやいや、僕は鉄道ファンだからホームにはずっといられるんだ。それに・・・」そこまで言ったところで、驚きの発見について話そうとした自分をなだめた。

 ホームで、また少し美しくなった彼女を撮ったあと、連れだって改札を出た。少し歩いて踏切の前で立ち止まり彼女を撮った。少し蒸し暑かったけれど、ほのぼのして、鉄道ファンとしてはとてもいい気持ちだった。

「僕はバスで南の方へ向かうつもりなんだ」
「そうですか、私はそこらで買い物でもします」
「ではここでお別れ。さようなら」
「さようなら。またお会いしましょう」

 もう僕は家にいて、細野晴臣の『Hosono House』を聴きながらこの文章を書いている。鉄道ファンとしてとても幸せ。。。


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2017-06-11 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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