『禁断のバード・ウォッチング』



2017.6.29 model*Olivia

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 どうやら僕たちがいる場所は鳥たちの楽園のようなのだった。大木の幹の裏側に二人で息をひそめていると、バードウォッチャーが抜き足差し足と周辺を探しまわっている。僕たちは何も悪いことをしていないけれど、彼らに見つからないようにこうして潜んでいると、次第に禁断なムードに包まれてきた。しかし、それは僕の作品にはかえって都合が良かった。もしこの場所に流れる音楽があるとすれば、トリスタンとイゾルデの前奏曲がぴったりだと感じたのは、曇り空を遮る色濃くなった樹々の葉を撫でて通る湿った風が僕の気分を暗くしていたからだ。この時僕の頭をよぎったのは、ラース・フォントリアの映画『メランコリア』なのは明白だった。というのは、ここへ来る前に娘と同じ監督の『ニンフォマニアック』の話をしたところだったから。

 娘に国鉄時代に貨物操車場で使った緑と赤の手旗を渡し、娘の左後方にある樹の枝におもちゃの釣り竿を立てかけた。僕の心の中では、その意味付けは正しいけれど、この娘には理解できないだろう。

「この作品のタイトルは何だかわかる?」
「いいえ、わかりません」
「『禁断のバード・ウォッチング』っていうんだ」
「わからないけど、そんな感じかも・・・」
「お願いがある。君が着ている服を可能な限り脱いでほしい。もちろん、すべて拒否することも可能だよ」
「???」

 バードウォッチャーが立ち去ると、僕たちの周りにたくさんの小鳥が舞い降りてきた。どうやら、鳥たちは真面目なバードウォッチャーより自慰的な写真を撮ろうとしている僕たちを友だちに選んだみたいだ。

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2017-06-29 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :
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1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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