『レモンイエロー』撮影報告

2017.7.2 model*麻菜

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 コンビニへ入ると麻菜は何とはなしにレモンを手に取っていた。僕はそのレモンは何かの暗示だと思い、麻菜の手からかすめ取ってレジへ歩いた。

 武蔵野の林に分け入って拾った籐椅子に麻菜を座らせ、さっき買ったレモンを彼女の掌に載せた。やはりレモンを買った僕は正しかった。緑の中でレモンイエローが映えていた。少しふくよかになった麻菜の身体を見て何かに思いを巡らす。そして中世ヨーロッパの誰かの画集で見た女の肖像画に辿りついた。麻菜がカーディガンを肘まで下げると肩から二の腕にかけてと二つの乳房が中世の肖像画のように見事に露出した。そう言えば、梶井基次郎の『檸檬』の中で丸善の棚から引っ張り出したのは画集だったなと思った。

 僕は麻菜に神々しさを感じていた。僕は梅雨時の蒸し暑さで全身から汗が流しながらカメラを覗いた。籐椅子に座った麻菜は涼しげにレモンと戯れている。ふくよかな女を目の当りするとこんなにも幸福感に満たされるものなのか。

「君って美しいね!」
「でも少し太めかなって・・・」
「中世だったら、まだ足りないよ」
「・・・」

 僕は帰宅するとすぐに梶井基次郎の短編集を探し出し貪るよう『檸檬』に読み、中世の肖像画を探してみると、そこに描かれていた女の艶が麻菜のふくよかな身体と似て見えたのだった。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。。。
□この作品はグループ展『ALL GIRL.7』において発表する予定です。




2017-07-02 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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