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『幸せと危うさ』

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2019.7.5 model*ちいも

                  ﹅

 川へ行くと土手の緑が梅雨の潤いによって生き生きしている。女はしゃがみこんで愛でるように草たちに手をさしのべている。当然、その小さな花の名前を知っている。穏やかな空。ゆっくり流れる時間。少しの幸せがここにあるはずなのに、僕の気持ちはそうではない。少年時代、僕にとって川はあぶない空気が漂う危険な場所だった。

 鉄橋の下を歩いて川べりまでやってくる。女は穏やかに微笑んでいる。僕たちが立っている場所から水面まで数メートルほどの高さがある。女の胴体をロープで縛った直後に鉄橋の上をけたたましい音を立てて電車が通過。ふとこの川の下流で入水自殺した保守派の論客のことが頭をよぎる。今なら娘を突き落とすこともできると思った。しかしこの女に対して微かに愛情を抱き始めたことに気がつくと「許そう」と心の中でつぶやきながら、ロープをほどき亀甲縛りに自縄自縛させた。

「脱げる?」
「ええ」

 川を背景にして女の乳房を執拗に撮った。女に対してさらなる行動を起こしてしまいそうになる。女の顔を覗き込むと微笑んでいる。

「近いうちにまた撮ろうか」
「ええ」


                  ﹅



□この作品の公開時期は未定。次回34th個展『果実の季節』でファイルに入れてご覧いただけるかもしれません。(ただし別カット)
□この作品を気に入った方は拍手をお願いします。。


2019-07-06 : 35th個展に向けて : コメント : 0 :
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ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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