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『妄想旅行・その1〜清純駅へ』

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2019.7.19 model*オリビア

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 駅の脇にひっそりとあった小さな書店の棚にその本はあった。二度ちゅうちょしたあと、やはり買うことを決めた。ふたりの迷える女の子(オリビアとちいも)を妄想旅行へ導くためのガイドとして使うのだ。買うのを迷ったのは、その本に書かれた銀河への旅が夢ものがたりに思えて、この本に影響を受けることになれば、これから彼女たちと向かう妄想旅行に混乱が生じ、ふたりが迷子になったりするかもしれないし、悪くすればふたりを失ってしまうかもしれないと思ったからだった。

 オリビアは紺色のジャンパースカートを着ている。街でこの服を着た娘とすれちがうと決まって厳かな気持ちになるのが不思議だった。同時にそれを着た娘たちの姿には清純とエロスの境目が見えやすく少年時代に受けた妄想の啓示を蘇らせることにもなった。

 これからオリビアと僕は清純駅へ向かう。電車はこの駅から遠いところにある私鉄の混乱の影響で遅れていた。何度か乗り換えなくてはならず、本当に清純駅の踏切につけるのか心配になった。

 やっと辿り着いたとき空は晴れ渡っていた。僕たちはすぐに踏切に向かった。清純踏切はひっそりしていて、ずっと昔に亡くなった誰かのために奉納された小さな遊園地みたいだった。僕たちは汗だくになり夢中で撮影を終えたけれど、彼女の白い下着が見えた瞬間にシャッターを押せなかったことが残念だった。そしてその後悔は永遠に消えないだろうと思われた。とても暑かったから駅前にあった駄菓子屋でアイスクリームを買って食べた。それにしてもこの駄菓子屋はいったい誰のためにあるのだろう。僕たちがこの駅に着いて、撮影が終わり帰りの電車を待つまでの間、だれ一人この店を訪れる人がいなかった。もしかしたら、この店も奉納されたものかもしれない。空を見上げると、もうさっきの青空はなく曇って雨が降り出しそうだった。

「ここは時間が不規則みたいだ。さあ、帰ろう。さもないと、永遠にここに足止めされそうだから」
「はい。わかりました。ふたりが無事に戻れるように私は祈ります」

                  ﹅


□この作品の公開時期は未定。次回34th個展『果実の季節』でファイルに入れてご覧いただけるかもしれません。ただし別カット。
□この作品を気に入った方は拍手をお願いします。。






2019-07-20 : 鉄道と彼女、 : コメント : 0 :
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プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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