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『妄想旅行・その2〜郷愁駅へ』

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2019.7.22 model*ちいも

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 僕とちいもは郷愁駅へ向かったけれど乗り継ぎが悪くとても時間がかかった。駅に着くとすぐに曲がりくねった路地を歩いた。家々を囲んでいる苔の生えたブロック塀は今では僕が住んでいる都会の街にはあまりない。僕の心に懐かしさがこみあげてきた。彼女も同じ感想を口にしていた。僕たちは昭和時代の集落のセットに迷い込んだみたいだった。

 家はあるが住人が見当たらない。何かの配達をしているオバさんにあの踏切のことを尋ねたが知らないという。あの踏切とは、ずっと昔、何度か訪れた小さな踏切のことだ。仕方なく、路地を下り小さな川に沿って曲がりくねった道路を歩いた。石垣の先で引き返すと踏切が見つかった。でも、踏切はあの頃のままではなかった。おそらく老朽化した部分の補修を繰り返した結果、やや雰囲気が変わったのだ。そのわずかな変化が僕をさみしくさせていた。

 ちいもはこのレトロな田舎の路地と妙に合っていて、まるでこの場所で生まれ育ったかのようだった。僕がこの娘に惹かれる本当の理由がわかったような気がした。ちいもは僕の少年時代に存在していた娘が時代を超えて今を生きているみたいなのだ。路地に彼女を立たせ乳房を露出するよう促した。その姿はとても美しく神々しささえあった。そして僕は粛々と撮影の儀式に及んだのだった。

 僕たちは帰りの電車に乗るために駅に戻り、あの本(妄想旅行へ導くためのガイド)を手にした彼女を撮影して妄想旅行を終えたのだった。


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□この作品の公開時期は未定。次回34th個展『果実の季節』でファイルに入れてご覧いただけるかもしれません。ただし別カット。
□この作品を気に入った方は拍手をお願いします。。


2019-07-23 : 鉄道と彼女、 : コメント : 0 :
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プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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