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「桜とサクランボと気まぐれな風」・・・2009.4.9

hirokoはもう三十分もサクランボのへたを指でつまんだまま桜の樹の下に立っている。サクランボは両手に一個ずつでやじろべえのようなポーズになっている。僕たちがこの桜の樹の近くを通りかかった時、風が吹いて散り始めた桜の花びらを舞い上がらせて、それを初夏の陽射しがキラキラと光らせていたのがとても美しかった。僕とhirokoはその光景を見て「これだね!」と同時に思った。つまり、その景色の中にサクランボを持ったhirokoがいればそれは美しい写真になるだろうと思った。だから、hirokoは両手にサクランボをぶら下げて、また風が吹いて花びらが舞うのを待っているのだ。ところがいっこうに風が吹いて来ない。来た!と思うと風向きが反対で、僕たちがそれに合わせて移動し終るころには風が納まってしまう。風は気まぐれにあっちこっちで花びらを散らし、その都度hirokoは花びらの方へ移動する。まるでモグラたたきゲーム。今度はさっきの場所へ花びらが散った。それを繰り返す。「じっと同じ場所にいれば良かったね」と何度かhirokoに言っては二人で笑った。hirokoは小柄な女の子で少しほっぺが赤くて、サクランボに似ていてとても可愛い。まるでサクランボをぶら下げて立つために生まれて来たようだ。「おかあさん、美人でしょうね」「後姿が若いと言われます」「へえ、、どこの生まれ?」「大分です」「僕もだけど、、で、大分のどこ?」「日田です」「ぎゃ!僕、日田高校出身。ああ懐かしい」などと話に夢中になった。僕は風をあきらめてhirokoの可愛い顔のドアップを撮った。「今日お母さんも着いて来るって言ってました。でも見学はダメですよね」「ああ、、ううん。じゃあ、いいよ、今度撮る時いっしょにどうぞ」本当は見学絶対禁止なのに、、、同郷の同世代の女性ってとても興味があるんだよ。この歳になるとね。どうでもいいけど、ハウス栽培のサクランボは高い!全然売れないから三割引だった。「あのぉ、このサクランボ、お母さんと一緒に食べてよ。ね。」「はい。そうします」オレ、今年はもう桜はいいや、と思った。
2009-04-10 : フルーツスカウト2009 : コメント : 0 :
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Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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