『純と書きました』・・・撮影報告


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2017.10.06 model*Olivia

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 少年時代のこと、たぶん10才の頃です。川に転がっている石が宝物に見えた時期がありました。石に興味を持った僕たちは石について知りたくて岩石の収集をしている老人を訪ねました。しかし、老人は自分が持っている石の自慢ばかりしました。そして、たったひとつ、「とにかく石を磨くことじゃ」と教えてくれたのです。僕は日曜日になると川へ行き、これはという石を持ち帰り渇いた雑巾で一日中磨きましたが、僕の机の周辺が石だらけになった頃、石への情熱は消えました。
 東京へ出てから、つげ義春の『無能の人』を読んだ時、そして同名の映画を観た時、懐かしさとともに涙がこぼれたのです。なぜ石に夢中になったのか今もわかりません。もしかして川に行きたかっただけでは?と思うこともありました。ただ、「虚しい」などという無情感を小学五年生で味わえたことは良かったと思っています。

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 僕とオリビアは電車に乗って川へやってきました。オリビアは白いブラウスを着て首に紺色のリボンをして濃紺のプリーツスカートはいていて清楚な女学生みたいでした。そして祖父が使っていたというクレヨンを持っていましたが、それは前日に僕が「川で拾った石に何か書いて欲しいのです」とメールしたからです。僕はそのメールを出したあと、また谷山浩子の『河のほとりに』という曲を繰り返し聴きました。
「さあ、何か書いてごらん」と平たい石を差し出すと、オリビアは大きく漢字で『純』と書きました。次に僕は川べりの岩の上に彼女を立たせ濃紺のプリーツスカートの裾を上げさせて、下着を隠すように『純』と書かれた石を手渡したのです。空を見つめるオリビアは神妙でした。僕はただただ虚しくて少年時代に知ったあの無情を甦らせたのでした。

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□この写真に興味がある方は拍手をお願いします。
□個展では別の作品を展示する可能性があります。
□YouTube==『河のほとりに』




2017-10-06 : 31th個展に向けて : コメント : 0 :

『檸檬列車』

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2017.10.02 model*スズキサキコ

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 サキコはグレーのベレー帽をかぶりロリータファッションの流れに沿った紺色のセーラーテイストのワンピースを身につけ、それは彼女の皮膚の一部であるかのうように馴染んでいて、この服装が昨日今日始めたものではないことを物語っていた。ホームで再会して、やっぱり僕は彼女のエクボをとてもカワイイと思った。こんなにエクボが似合う女の子に初めて会ったと言うのも大げさじゃない。サキコをひと言で表現するならアニメ少女。それはセル画の世界から僕たちが住むこの世に飛び出したみたいだから。僕はアニソンをほとんど知らない男だけど、これまでの人生で聴いた音楽の中でサキコに相応しいのは谷山浩子だと思っている。先日、僕の個展に現れたサキコを見た時から谷山浩子の曲が頭の中でぐるぐる鳴り始め、意味深な詩を暗い旋律に載せてあくまでもか弱く唄う彼女の細くてナイーブな声がサキコを包んでいる。サキコは笑顔がいいし明るく振る舞えるのもいい。だけどサキコが梶井基次郎の短編『檸檬』を好きだと言いうのは、内面に僕みたいな屈折を抱え込んでいるのかも知れない。いや、サキコにそういうところがあるといいなと、僕は思っているのです。

 今朝スーパーが開店してすぐに檸檬を買いました。そう、短編『檸檬』の真似事をするためです。僕とサキコは電車に乗りました。サキコが座席に座って太腿の上に檸檬を置いて膝を露出する。ただそれだけのことだけど、アニメチックで胸がキュンとしました。

 僕たちは電車を降りて多摩川の土手を歩いた。サキコが階段に腰掛けたら、お尻のヨコに白い花が一輪だけ咲いていた。なんて可愛らしいんだ!その時、僕の頭の中に谷山浩子の曲が流れてきた。何もかも素晴らしいのだけど、何もかもが儚く映る。サキコのエクボもロリータなワンピースも一輪の白い花も絵空事のようです。そう、谷山浩子の曲とは『まっくら森の歌』だったのです。

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 実はサキコには「そういうところ」があるのです。僕はあの完璧な笑顔の意味を知りたいと考えています。また撮りたいと、すごく思っています。

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□YouTube===『まっくら森の歌』
□この作品に興味がある人は拍手をお願いします。。。





2017-10-03 : 31th個展に向けて : コメント : 0 :

『国鉄宮原線』みやのはるせん・・・第一章

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 国鉄宮原線が廃線になった日、僕は田舎を離れ東武東上線沿線のアパートに住んでいたから少し悲しみから逃れることができたのです。時が経つにつれて国鉄宮原線は僕の心の中で大きくなって、ついに宮原線のことを想う時、レクイエムを聴く時のような切なさに襲われるようになりました。なぜなら僕にとって国鉄宮原線の廃線は、掛け替えのない故郷の一部を失われたと同じだからです。

 今、この写真集『国鉄宮原線』を編むことの決意は、故郷への愛と、貴重な文化遺産である国鉄宮原線の写真を残すことへの使命感と、鉄道ファンへと導いてくれた兄への恩返しと、僕の心を癒すことから発しているのです。最後に僕の少年時代を彩ってくれた亡き従兄弟とへのレクイエムという気持ちもあります。

                       2017.9.30 妄想写真家・魚返一真

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□この写真集に興味があったら拍手をお願いします。
□写真は1971年1月7日に撮影したものです。※中3の冬休み。風邪をひいて寝込んでいると親父が「行こうか」というので、重い体をおして撮影にでかけたと記憶している。


2017-09-30 : 国鉄宮原線 : コメント : 0 :

『秋晴れの日は妄想に返る』


2017.09.29 model*美月

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 小説『こころ』を繰り返し読んで主人公の真意を理解しようと考えるように、これまで何度も美月を撮ってきた。それは僕にとって美月はとても難解な女だからだ。それらの撮影の結果数々の傑作を残せたのだが、一方で美月を理解する努力は徒労に終わったのも事実だった。もはや万策尽きたと考えた時に、僕は25年前に女の子を撮り始めた時の、初期の手法で美月を撮ることが頭に浮かんだのだった。それは小細工や駆け引きのできない撮り方で、正にストレートな妄想写真が撮れる。カメラはプラナー50mm1.4着きのコンタックスRTSを選んだ。すると僕の心は静かになって、脳裏にマーラーのアダージェットが聴こえて来た。その時僕は初心に返るんだなと思った。

 駅のホームに降りて来た美月の服装は素敵だった。上半身は大きめのチェック柄でスカート部分は黒いオーガンジーに包まれたワンピースを着ていて、ややフォーマルな印象。靴とバッグもそれに合わせてコーディネートさていて、その姿は美月がすっかり大人の女の入口にさしかかっていることを物語っていた。

 僕はホームで美月をRTSで撮った。今となってはフィルムの一眼レフで撮ること自体にレトロな感覚がある。駅を出て私鉄に乗り換えた。終着駅に着く直前に車内の戸袋に美月を立たせる。そしてスカートを上げるように言った。今日も美月は白いパンティーを穿いてくれていた。その時の僕は言葉を失いかけていた。駅を出て少し歩く。青い空に白い雲に美月が映えた。僕は道路標識に美月を寄りかからせた。空とストレートな標識とのコントラストが美月を引き立たせていた。そこでも僕は美月に下着を見せるように言いRTSのシャッターを押した。最後に僕たちは遊歩道を歩いて美月を立ち止まらせると、人がいない隙を狙って、パンティーを露出させた。その姿は秋晴れに映えてずっと昔の妄想とダブって見えたのだった。

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□この作品に興味がある人は拍手してください。何らかの型でお見せしたいと思います。

スクリーンショット(2017-08-14 13.56.44)
○ミニ写真集『mizuki * 美月』通販受付中
○10/8(日)写真塾モデル=美月・・・参加受付中

2017-09-29 : 31th個展に向けて : コメント : 0 :

G7参加カメラマンへのメッセージ


( )内の数字は5段階評価

01.西牧直樹(4)=もともと上手い人です。自前でプリントすることでぐんと良くなりました。さらに良いプリントを作るためには、素材を大切にすることだと考えています。

02.Choku(5)=今回、僕はChokuさんからブレないことの大切さを学びました。今やグループ展にはなくてはならない人。これからが楽しみです。

03.Dancho(3)=氏の素晴らしい人柄を絵にして行くことが大切です。その片鱗は見えていますから、大丈夫だと思いますが、一つ心配なのは女の子に騙されなければ良いが、ということです。それほどピュアな人です。

05.Gou Yamada(4)=素晴らしいモデルたちを今風に撮れる人です。僕が避けている部分を全面に出して撮っていて、それが成功しているから驚きです。僕にとって反面教師的な作風ですが、その反面である部分は氏から学ばせて頂きました。それは作品に力があるからです。

07.鈴木碧(5)=自分のスタイルに固執しているのは素晴らしいですね。プリントも良かった。一つ納得が行かないのは、ディスプレイ。もっと普通で良いです。工夫してはいけません。普通って案外お洒落ですよ。

08.増田義隆(3)=良い作品が揃っています。でも以前の増田さんを考えるとかなりテンションが下がった感じがしました。誰が撮ったの?増田さんではないよね?と首をひねります。あの頃のピュアな増田さんが好きです。このままでは埋没してしまいます。

09.井上和俊(5)=プリントは最高です。他とまったく違う味わい。匠の領域に達しています。これができる氏に嫉妬すら憶えます。氏にはエロチックな写真に加えて是非とも正統派のポートレートを撮って頂きたい。プロでさえない技術と才能がもったいないです。

10.erock erichin(4)=写真を撮ることに悦びを感じます。モデル探しに苦労されているとか。それでも頑張って参加してくれた。感謝しています。

11.田代俊一(4)=うまくなりました。でも、これをやるならフィルムでしょうね。少し残念な反面ここまで撮るようになった驚きもあります。

12.真凛(3)=今年も最高得票でしたね。魚返一真賞をあげましょう。でも真凛さんには辛口です。理由はお若いのに写真が完成してしまっているからです。写真=人生は未完の方が夢があっていい。あなたを擁護すれば、謙虚さが画面を旅のパンフレット写真のように生真面目にしているのでしょう。将来を考えて辛口にしました。

13.篠田アキヒロ(4)=篠田さんらしいね。あの貼り方。僕は感心しました。頼りなく壁に垂れ下がった写真は何を意味しているのでしょうか。この世にあって人は風前のともしび。或いは、私は私です。それとも、写真は無情だ。僕はこの人の隠れた才能を信じています。

14.秋元達夫(5)=この人の写真に何かを感じ癒されるのです。上手いとか、素晴らしいとか、そういった理屈っぽい評価は彼に失礼な気がします。撮り手の真摯な内面が出ていると思うのです。

15.坂本ミツキ(4)=上手い人です。ここに何かが加わればプロフェッショナル。素人っぽさのない作風で、それもかなり上質。ただ、この手の写真は一度マスターしてしまうと伸びしろが少ないので注意も必要です。

16.高橋克之介(5)=やっと完成したね。過去にも優勝しているけど、今回こそ本物の優勝です。さて、これからが大変。次のステップをどう見せてくれるのか楽しみな人材です。

◎以上、僕の印象を忌憚なく書かせて頂きました。これを読んでムッとした人、嬉しかった人、すべての人に対して等しく愛情を込めて書いたつもりです。
2017.9.26 魚返一真
2017-09-26 : 写真塾 : コメント : 1 :

『30th個展が終わって』


 昨日無事に個展が終わりました。まず、ご来場頂いたすべての皆様に感謝申し上げます。

 感謝==遠方よりわざわざいらした方、古くからのファンの方、神保町画廊で出会った方、立正大学写真部の皆さん、モデルになってくれた女の子たち、昔モデルになってくださった女性たち、ふいに現れて展示と片付けを手伝ってくれた雨宮悟郎さん、貴重な情報をくださる大山真市さん、会計などのサポートしてくれた桂木京さん、ご来場頂いたあとG7の審査員を引き受けてくれた皆様(飯沢耕太郎さん、月カメ編集長・坂本直樹さん、ハービー・山口さん、フォトテクニック編集長・藤井貴城さん、*来場順)、そして写真塾の皆さん。本当にありがとうございました。

 僕は買って頂いた作品の発送をしながら、さっそく今週から新作を撮り始めます。僕に与えられた役目は、写真を撮って皆さんにご覧頂くことですから。来春に開催予定の、31th魚返一真個展『鉄道と彼女・完結編』(仮題)でお会いしましょう。


                  2017.9.25 妄想写真家・魚返一真
2017-09-25 : 31th個展に向けて : コメント : 0 :

『来年開催のG8について』


『来年開催のG8について』

今年のグループ展はカメラマンのレベルが上がったとご来場者からの声がたくさんありました。主宰者としてとても嬉しいです。来年はさらなる飛躍を期待しています。

さて、来年のグループ展では二つのカテゴリーで展示を考えています。従来のように塾生の参加だけでなく一般のカメラマンによる展示も受付けて、2フロアでグループ展『ALL GIRL.8』を開催します。つまり、地方のカメラマンや、首都圏在住でも塾には参加できないカメラマンの参加も考えていきます。

二つのカテゴリー(全24名/予定)
1. 塾生(12名)〜一年間に二回以上魚返一真写真塾に参加の方
2. 一般(12名)〜魚返一真写真塾には参加していないが、魚返一真が審査して参加を許可したカメラマン。

開催時期は未定。

以上、来年のグループ展への展望ですが、途中修正を加えながら開催したいと考えています。
2017-09-24 : 写真塾 : コメント : 4 :

30th写真展『共犯者の為のマインドゲームス』

個展開催中です。。
会場が3Fから4Fに移動しました!!
全フロアをゆったりと使っています。
魚返は全日程在廊して皆さんをお迎えします。
是非、お話しましょう。

では、今日もお待ちしています。

2017-09-21 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :

『娘盛りは夏の始まり』・・・撮影報告



2017.7.30 model*たま子

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 浴衣姿の彼女は娘盛りである。いずれ僕の手を離れてしまうのではないかと想像したら胸が痛んだ。そもそも僕の娘ではないし恋人でもないから離れるもなにもないのだが。それでも心の中に一抹の寂しさがあった。

 彼女が着ているのは白地に桃色の花があしらわれた浴衣で、それがすごく似合っていた。僕は浴衣の前がすっかりはだけて白い乳房を曝したところを撮った。ごく自然な流れの中で浴衣の裾を大きくはだけさせて下半身を撮った。

 最後のお願いをきいてください。とばかりに両脚を大きく開いてあからさまに見せてもらった。そして中指直角に曲げてそっと・・・。

 娘盛りは夏の始まり。確かに寂しさがあったがその理由は定かではない。

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□この作品をご覧になりたい方は拍手をお願いします。。。
□この作品は30th写真展にて公開予定。(2017.9/19 – 9/24 渋谷ギャラリー・ルデコ3)




            

2017-07-31 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :

30th写真展『共犯者の為のマインドゲームス』

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※下記のサイトで展示作品のデザインができ次第、随時公開しています。
30th魚返一真写真展『共犯者の為のマインドゲームス』→→こちら

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 エロスを合い言葉に向かい合うモデルと写真家は、撮る側と撮られる側という立場の違いから完全に理解し合うのは難しい。心理戦の末に残されたエロチックな写真だけが両者を繋ぎ留め新たな写真を撮ることに合意する。やがて両者はエロチックな写真を撮るためにのみ依存し合うようになる。つまり、モデルと写真家は多くのマインドゲームスの後に共犯者となったのである。・・・魚返一真

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 ごく稀に、あの少年の日々を純粋培養して保ち続けている人がいる。魚返さんもその一人なのだろう。むろん、誰でもできることではない。写真という魔法の道具を的確に使いこなすことができる能力と、それ以上に、無償の情熱がなければ、このような写真を撮りつづけるのはむずかしい。もう一つ、魚返さんのカメラの前で、惜しげもなく体と心を開いてくれる魅力的なモデルたちが必要だ。それも簡単なことではない。・・・飯沢耕太郎 / 写真評論家

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□2017.9.19火〜24日 11時〜19時(最終日は17時まで)
渋谷ギャラリー・ルデコ3 http://ledeco.net/

○展示作品は新作中心に過去作も多数ファイルなどでご覧になれます。
○販売作品もいろいろ。全作品の販売。DVD(vol.1〜6)、ミニ写真集(vol.1〜5)、他。。



2017-07-30 : 30th個展へ向けて : コメント : 0 :
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プロフィール

ogaeri

Author:ogaeri
1992年より一般の女性をモデルに作品を撮り始める。2008年「鉄道と彼女」を発表した。
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